白ナンバー(自家用車)の令和4年度アルコールチェック義務化について
道路交通法施行規則の改正により、令和4年度から白ナンバー(自家用車)でもアルコールチェックが義務化されます。本記事では、その背景や対応方法についてまとめて解説します。
目次
※ 2022年10月から開始とされていたアルコール検知器の使用義務化は「当面の間延期」とされていました。しかしその後「2023年12月1日より施行予定」として同年6月9日にパブリックコメントの募集が開始されています。
詳しくは【速報】アルコールチェック検知器の使用義務化が2023年12月1日に施行予定! -パブリックコメント募集開始-を御覧ください。
白ナンバー(自家用車)にアルコールチェックが義務化される背景
緑ナンバー(営業車)におけるアルコールチェック義務化
日本における飲酒運転の厳罰化は1970年から始まりましたが、事業者におけるアルコールチェック義務は2011年からスタートしています。
国土交通省主導の元、有償で人や物を運ぶ事業者(タクシーやトラックなどの緑ナンバー)では、アルコール検知器を使用した運転者の酒気帯び有無の確認が義務化されたのです。
こちらの記事でもアルコールチェック義務化について詳しく学べます。
【2024年最新版】アルコールチェック義務化を徹底解説!対象者は?安全運転管理者の対応は?
警察庁による道路交通法施行規則の改正
その後、2021年6月に千葉県八街市で白ナンバーのトラックが起こした飲酒運転による交通事故をきっかけに、警察庁が2021年9月より、白ナンバー(自家用車)を5台以上もしくは定員11人以上の車を1台以上使う事業所に対し、運転前の点呼・アルコールチェックを義務化する道路交通法施行規則の改正案を国家公安委員会に提出。2022年4月より改正道路交通法施行規則が順次施行されることになりました。
白ナンバー(自家用車)と緑ナンバー(営業車)の違い
白ナンバー(自家用車)とは?
白ナンバーとは、多くの方が持つマイカーと同様に「白ナンバー(白地に緑文字)」のナンバープレートをつけている事業用自動車以外の一般的な車両です。法人の場合は自社の荷物や人員を「無償で運搬」する車両です。具体的には、営業担当者が渉外活動に使う社用車、自社で製造した部品や商品などを取引先へ運ぶ配送用の車両などが含まれます。
緑ナンバー(営業車)とは?
緑ナンバーとは、運賃をもらって他社の荷物や人員を運搬する事業用の車両です。旅客(利用者)や貨物を輸送することで対価(運賃や配送料)をもらうことを目的としており、緑ナンバーを取得するためには様々な条件があります。
詳しくはこちら:
営業車などに使う事業用ナンバーの取得方法と、車のナンバーの種類
安全運転管理者とアルコールチェック義務化
安全運転管理者選任事業所が対象
白ナンバー(自家用車)の乗用車を5台以上、定員11名以上の車両なら1台以上を保有し、道交法にて「安全運転管理者選任事業所」として規定されている事業所を持つ企業や団体が対象です。最新の届け出数によれば全国で約34万の事業者と、その管理下にある約782万人のドライバーが対象であり、多くの企業が義務化の対象になります。
安全運転管理者がアルコールチェックを推進
警察庁によると、アルコールチェックは安全運転管理者の業務を拡充することによって実施します。安全運転管理者は、管理下の運転者に対し、交通安全教育指針に従った安全運転教育と内閣府令で定める安全運転管理業務を行う必要があります。
安全運転管理者に追加で定められた業務とは?
改正前の安全運転管理者の業務(2022年3月まで)
道路交通法施行規則第9条の10に記載の通り、運転者の適性の把握/運行計画の作成/交替運転者の配置/異常気象時の安全確保の措置/点呼と日常点検/運転日誌の備付け/安全運転指導の7項目の業務が定められていました。
改正後の安全運転管理者の業務(2022年4月以降)
2022年4月からは、運転の前後に、運転者に対して目視による酒気帯びの確認、及び酒気帯び確認の記録を1年保管することが業務として追加されました。また、2022年10月から(※)は運転の前後に、運転者に対してアルコール検知器を使用した酒気帯びの確認と、正常に機能するアルコール検知器を常備することが業務として定められます。
安全運転管理者の業務内容詳細は、まるわかり!安全運転管理者編資料にてまとめています。
今後の課題と対策
アプリを活用したアルコールチェック業務負荷軽減と生産性向上
多くの企業がアルコールチェッカー(検知器)の導入を前提に運用設計を進めていますが、日常の運転前後にアルコールチェックを行い確認・記録・管理していく業務は相乗以上に現場に業務負荷がかかります。
紙の日報に項目を追加することで一時的に対応している企業もありますが、現場の業務負荷軽減への対策として、クラウド型のアルコールチェッカーやスマートフォンのアプリを活用したアルコールチェック記録といったIT活用も、一部企業では既に進んでいます。
コロナ感染対策とアルコール消毒による誤検知
2022年4月現在、いまだにコロナウイルスは猛威を奮っていますが、2022年3月には島根県でアルコールチェッカー(検知器)が原因と疑われるクラスターが発生し、県が注意を呼びかけました。
コロナ対策として行っているアルコール除菌が要因で、アルコール検知器の誤検知も発生しています。今後は各メーカー毎に推奨される消毒方法などを確認し、対応していくことが求められています。
アルコールチェッカーの寿命と買替え
2022年10月の施行(※)を見据え、多くの企業がアルコールチェッカー(検知器)の導入を急いでいますが、アルコールチェッカーには検知方式が複数存在します。方式によってはセンサー寿命は1年〜2年という機器も多く、今後アルコールチェックの定着が進んでいく中で、今後各社は運用面とコスト面の両方を鑑みて、最適なアルコールチェッカーを選定する必要があるでしょう。
アルコールチェッカーの選定には、目的別にアルコールチェッカーのタイプをご紹介した記事もご覧ください。