【2025年最新】アルコールチェック義務化とは?対象者や罰則、アルコールチェックの方法を解説!
アルコールチェック義務化とは、改正道路交通法の施行により、2022年4月から白ナンバー車両でも義務化になったことです。2023年12月からは検知器を利用した酒気帯び有無の確認も必須となり、各企業で運用体制が構築されています。
この記事では、改正道路交通法(道路交通法施行規則の改正)に伴い必要となったアルコールチェックの記録方法や罰則、直行直帰・出張時における遠隔地での確認方法など、アルコールチェック義務化に関する情報を網羅し、詳しく解説します。

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目次
- アルコールチェック義務化とは
- アルコールチェック義務化の対象者が拡大された背景
- アルコールチェック義務化の対象者
- アルコールチェックの概要とやるべきこと
- アルコール検知器に関する警視庁のパブリックコメントと通達
- アルコールチェック義務化の対象企業
- アルコールチェック義務化で必要なこと
- 記録・保存が必要なアルコールチェック項目
- アルコールチェック記録方法と保存期間
- アルコールチェック義務化違反の罰則
- アルコールチェック義務化に対し企業がやるべきこととは?
- 弁護士が解説する平時に必要なコンプライアンス
- [まとめ] アルコールチェック義務化をきっかけに企業のリスクマネジメントを強化しよう
- アルコールチェック義務化対応アプリ導入事例3選
アルコールチェック義務化とは
アルコールチェック義務化とは、2022年4月に施行された改正道路交通法により、「安全運転管理者のアルコールチェック業務が、白ナンバー事業者においても義務になったこと」です。
今まで、タクシーやトラックなどの緑ナンバーの車両では運行管理者によって毎日2回、アルコールチェックが義務づけられていましたが、今後は社用車や営業車などの白ナンバーの車両も運転前後のアルコールチェックを必ず実施しなければなりません。
新たにアルコールチェック義務化の対象者となった白ナンバー事業者とは、事業用自動車以外の一般的な車両(白ナンバー車両)を事業利用する事業者のことを言い、法人企業であれば自社の荷物や人員を無償で運搬する車両や営業活動に使用する車両の利用などが挙げられます。

アルコールチェック義務化の対象者が拡大された背景
アルコールチェック義務化の対象範囲が白ナンバー車両にまで拡大された経緯には、非常に痛ましい背景があります。2021年6月、千葉県八街市で、下校中の児童5人が飲酒運転のトラックにはねられ、死傷するという悲痛な事故が発生。この事故を受け、同年8月に発表された「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」のなかで、安全運転管理者の確実な選任や乗車前後のアルコールチェックなどを追加することが発表されました。
そして、道路交通法施行規則の一部を改正し、これまで運送業など緑ナンバーの車を使用する事業所のみに義務付けられていたアルコールチェックの対象者が、社用車、営業車など、規定台数以上の自家用車を保有する白ナンバー事業所にも拡大。国土交通省は、これまでも飲酒運転の根絶に向けてさまざまな取組を行ってきましたが、この事件を受けてさらに厳罰化を進め、対象外であった白ナンバー車両にもアルコールチェックの義務を広げたのです。
アルコールチェック義務化の対象者

白ナンバーにおけるアルコールチェック義務化の対象者となる安全運転管理者は、「乗車定員11人以上の自動車は1台以上、その他の自動車を5台以上使用している事業所(自動車使用の本拠地)」において、選任が必須となります。
また、使用する自動車の台数が20台以上になった場合、20台以上・40台未満は1人、以下20台ごとに1人ずつ安全運転副管理者の選任が必要です。なお、自動二輪車1台は0.5台として計算し、50cc以下の原動機付自転車は含みません。
自らが勤務している事業所(自動車使用の本拠地)であれば、社長を安全運転管理者に選任することもできます。ただし、運転代行業を事業としている企業の場合、「自動車運転代行業の業務適正化に関する法律」によって、営業所ごとに安全運転管理者を選任し、保有車両が10台を超えるごとに一人以上の副安全運転管理者を選任してアルコールチェックをすることが義務付けられています。
アルコールチェックが必要ない・対象外となるケース
アルコールチェック義務化の対象外となるケース | 具体例(※乗車定員11人以上の自動車がないことを想定) |
---|---|
事業所ごとの自動車の数が5台未満 (事業所ごとの自動車の数が4台以下) | 各事業所(本社や支店)ごとに使用する自動車の台数が5台未満である場合。 例:本社で3台、支店で2台。 |
通勤のみ使用するマイカー | 従業員のマイカーを通勤のみに使用する場合。 業務には使用されないため、台数の算定に含まれない。 |
運行管理者を配置済み | 運送業などで緑ナンバーで運行管理者が既に配置されている場合、白ナンバーが5台以上でも安全運転管理者の専任の必要はありません。 |
50cc以下の原動機付自転車 | 50cc以下の原動機付自転車は台数の算定に含まれないため、選任が不要。 |
法人内専用の車両使用 | 法人内で他部門間の移動にのみ車両を使用し、外部業務に使用しない場合。 |
ナンバーのついていない特殊車両 | ナンバーのついていない特殊車両(農耕用トラクター、フォークリフト、ショベルローダー等)については台数に算定に含まれません。 |
※ナンバーのついた小型特殊車両、大型特殊車両については台数計上されるため、5台以上ある場合は選任が必要です。
出典:富山県警察
アルコールチェックの概要とやるべきこと
アルコールチェック義務化に関する概要は次の通りです。
- 運転前と運転後の2回、酒気帯びの有無のアルコール検知器を用いて確認する。
- 酒気帯びの有無について計測結果を記録し、その記録内容を1年間保存する。
- アルコール検知器は故障や電池切れなどで使えないようなことがないよう、常時有効に保持する。
白ナンバー事業者におけるアルコールチェックの実施と記録と、その保管は安全運転管理者が行います。営業所が各地にある場合も各々の拠点で管理者が状況の把握を行い、記録の管理を行いましょう。
直行直帰や出張など、遠隔地で業務を行うドライバーには、携帯用のアルコール検知器を所持させ、毎日運転前後に1回ずつ、確実に実施するように周知させてください。深夜帯などで管理者が記録をすぐに確認できない場合、クラウドのシステムやツールと連携しておくなど、確認体制の運用ルールを設けておくと運用しやすくなります。とくに手書きによる記録は抜け漏れが発生したり、文字が崩れて読めなかったりすることもあるため、注意が必要です。
※アルコール検知器の使用義務化は「当面の間延期」とした後、2023年12月より施行されています。
アルコール検知器に関する警視庁のパブリックコメントと通達
2021年9月、警視庁は改正案に関するパブリックコメントを募集。
同年11月、発表された募集結果をもとに、以下のように定めると公表しました。
定めようとする命令などの題名
「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令」(令和3年内閣府令68号)
「道路交通法施行規則第9条の十第六号の規定にもとづき、国家公安委員会が定めるアルコール検知器を定める件」(令和3年国家公安委員会告示第68号)
根拠法令条項
「道路交通法施行規則第9条十第六号の規定にもとづき、国家公安委員会が定めるアルコール検知器を定める件」道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令による改正後の道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)第9条の10第6号これに伴い、2021年11月に警察庁では、「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令等の施行に伴う安全運転管理者業務の拡充について」という通達を発表しています。
この通達の中で、安全運転管理者によるドライバーの運転前後のアルコールチェックが義務化されたこと、そしてアルコールチェックに関する具体的な内容が記されました。
以下より、アルコールチェックの方法について詳しく解説します。
アルコールチェック義務化の対象企業
アルコールチェックが義務化されるのは、安全運転管理者等の選任が必要となる、下記いずれかの条件を満たす企業です。
- 自動車5台以上を保有する事業所
- 乗車定員が11人以上の自動車1台を以上保有する事業所
(道路交通法74条の3第1項)(道路交通法施行規則9条の8第1項)
※安全運転管理者を選任していない場合、道路交通法120条1項11号の3によって50万円以下の罰金が発生
※上記は1事業所あたりの台数として計算
※自動二輪車に関しては1台を0.5台として計算
アルコールチェック義務化で必要なこと
企業がチェック体制を整えるために必要なのは安全運転管理者の選任とアルコール検知器の用意です。
安全運転管理者の選任
アルコールチェックは原則、安全運転管理者が実施しなくてはなりません。安全運転管理者が不在であったり、別の業務などで確認が困難だったりした場合は、安全運転管理者以外に副安全運転管理者や安全運転管理者の業務を補助する人の実施が可能です。
安全運転管理者の選任と役割:
乗車定員11人以上の自動車を1台以上保有している、またはトラックを含むその他の自動車を5台以上保有する場合、1事業所ごとに安全運転管理者を1名、選任しなくてはなりません。選任後は15日以内に事業所の管轄の警察署へ届出を提出し、年に一度実施されている安全運転管理者等講習を受講する必要があります。届出と講習に関する詳細は、管轄の警察庁へお問い合わせください。
現時点において安全運転管理者を選任していない会社、事業所は、まずは安全運転管理者の選任が一番の優先事項です。安全運転管理者は、今までの業務に加え、アルコールチェックの義務が追加となったため、以下9点が必須の業務項目となりました。
- 運転者の適性や処分などの把握
- 運行計画の作成
- 長距離、夜間運転時の交替要員の配置
- 異常気象時の措置
- 点呼による健康のチェック、日常点検
- 運転日誌の備付け
- 運転者に対する安全運転指導
- 運転者の酒気帯びの有無の確認
- 運転者の酒気帯びの有無の確認内容の記録、保存、アルコール検知器の常時有効保持
社員と企業、そして社会的な立場において安心・安全を守るためにも、安全運転管理者の選任と業務の遂行は必須です。
アルコール検知器の用意
国家公安委員会が定めるアルコール検知器の定義とは
「呼気中のアルコールを検知し、その有無またはその濃度を警告音や警告灯、数値などで示す機能を有する機器」とされています。機能や精度は機器によって異なりますが、音・色・数値などでアルコールを検知できれば性能上の要件としては問題ありませんし、製品の指定もありません。また、自動車に備え付けられた「アルコールインターロック装置(アルコールを検知してエンジンが始動できないようにする装置)」もアルコール検知器として含まれます。
アルコール検知器の種類とおおよその特徴
半導体式 | 燃料電池式 | |
メリット | ・比較的低価格なものが多い・反応が早い | ・高精度なセンサーでアルコール以外に反応しない・測定時間が短い・消費電力が少ない・物品交換できるものがある・安価で購入しやすいものからデータ管理などが搭載されたものまで種類が多様 |
デメリット | ・感度が高く、アルコール以外のガスにも反応する・気温や湿度など、環境の影響を受けやすい・物品交換不可のものが多い | ・半導体式と比較すると少し価格が高い・定期的にメンテナンスが必要 |
寿命 | 使用開始から1年、または使用回数1,000回程度 | 使用開始から1年、または使用回数10,000回程度 |

アルコール検知器協議会とアルコール検知器
アルコール検知器協議会とは、国土交通省をはじめとした各省庁や関連機関・団体が連携し、アルコール検知器の品質向上と普及を通じて、飲酒運転の根絶とドライバーの健康管理を提唱することを目的として発足した業界団体です。
同協会では、アルコール検知器の認定制度を設け、一定の品質基準をクリアしている製品をウェブサイトにて紹介しています。
車両を保有する企業にとって必要不可欠なアルコール検知器ですが、中には品質面が劣っていたり、正しい使い方ができていなかったりするケースも少なからずあるようです。そうした課題を解決するために、商品の性能や技術要件、品質管理体制、利用者および販売者に対する説明内容など、16項目を検査し、認定された機器を同協会のサイト上で公開しています。
購入を検討している企業は同団体のサイトを参考に、現在リリースされているアルコール検知器やアルコールチェッカーを比較検討して、自社にとって適切な機器を購入しましょう。
関連記事:【2024】業務用アルコールチェッカーおすすめ6選!使い方も紹介
「常時有効に保持する」ために
酒気帯びの有無を確実に確認するため、アルコール検知器は「常時有効に保持すること」が定められています。正常に作動し、故障がない状態を保持するために、電源が入るか、損傷がないか、取扱説明書にもとづいて耐用年数はどれくらいかを把握し、定期的に故障や不具合を確認して、トラブルなく利用できる状態しなければなりません。
アルコール検知器は営業所ごとに備え付け、遠隔地で業務を開始・終了する場合や早朝・深夜の運行がある場合、また、直行直帰や出張の場合は、運転者にアルコール検知器を携行させましょう。
関連記事:目的によって使い分ける!アルコールチェッカーのタイプについてまとめてみた
関連記事:白ナンバーのアルコールチェックには携帯型の検知器をおススメする理由
アルコールチェックのタイミングと確認方法

アルコールチェック義務化の対象者とタイミング
アルコールチェックは、道路交通法施行規則第9条の10第6号に定める「運転しようとする運転者および運転を終了した運転者」に対して実施することになっています。この「運転」とは、一連業務としての運転のことを指すため、個々における運転の直前・直後にその都度行うものではありません。運転を含む業務(事務作業など)の開始時間や出勤時間、業務終了後や退勤時に実施します。

なお、業務の途中で帰宅するなど、勤務が途切れた際は「一連業務」ではなくなるため、勤務時間ごとにそれぞれアルコールチェックを行う必要があります。
対面の場合
アルコールチェックは、毎日の業務開始前後、1日2回の確認が義務となっています。
安全運転管理者が運転前後の運転者にアルコール検知器やアルコールチェッカーを用いて酒気帯びの有無を確認し、計測した結果を日報やエクセル、クラウドのシステムなどに記録します。また計測する際、運転者の顔色や応答の状態、呼気(匂い)なども目視で確認するとより確実です。
非対面(遠隔地)の場合
非対面の場合も携帯型のアルコール検知器等を利用して、1日2回の業務開始前後に、必ず実施しなければなりません。結果を記録します。なりすましを防止するために、カメラなどを利用し、運転者の顔色や状態、本人によるアルコール検知器の測定結果を確認することが警察庁のパブリックコメントにおいても推奨されています。

尚、事業所に備えてあるアルコール検知器を複数名で使用する際はインフルエンザやコロナウイルスの感染防止策として、使用後はアルコール消毒を徹底しましょう。
関連記事:アルコールチェックのタイミングはいつ?直行直帰の場合はどうする?シーン別に解説
記録・保存が必要なアルコールチェック項目
アルコール検知器で測定した結果は、必ず記録して1年間保存しなければなりません。
記録するのは下記8つのチェック項目です。
- 確認者名
- 運転者名
- 運転者の業務に係る自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
- 確認の日時
- 確認の方法
・アルコール検知器の使用の有無(アルコール検知器の使用は必須です)
・非対面の場合はカメラ・モニター、またはスマートフォンや携帯電話などを使用 - 酒気帯びの有無
- 指示事項
- その他必要な事項
アルコールチェック記録方法と保存期間
アルコールチェックは実施して終了ではなく、必ず記録を残し、1年間、保存しなくてはなりません。
※様式例

決められた様式がないため、自ら記録様式をつくることも可能です。
計測後に手書きでノートやメモに記録しても問題ありませんが、必須項目の記入漏れが発生することも考えられるため、上記の8項目をまとめたフォーマットをあらかじめ用意しておくと抜け漏れがなく安心です。
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関連記事:【テンプレート付き】アルコールチェック記録簿を簡単に!記入例解説
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アルコールチェック義務化違反の罰則
アルコールチェックを怠っていた場合、安全運転管理者の業務違反となります。道路交通法などの法律には、直接的な罰則については現時点で設けられていませんが、公安委員会より、安全運転管理者の解任や、命令違反に対する罰則が課せられる可能性があります。(道路交通法第74条3第5項)
また、アルコールチェックを行わず、運転者が業務中に飲酒運転を行った場合は、道路交通法の酒気帯び運転等の禁止違反として、代表者や運行管理責任者などの責任者も、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるおそれがあります。(道路交通法117条の2第1号)
場合によっては刑事責任が科される可能性があるだけではなく、企業のマネジメント不足として、社会的信用を失う事につながりかねません。万全な体制を整えておきましょう。

関連記事:安全運転管理者の罰則金は50万円。飲酒運転の事故事例や罰則強化の背景を解説

飲酒運転に対する行政処分内容

行政処分上、飲酒運転は次の3つに分類されています。
- 酒酔い運転(※) ・・・基礎点数は35点
点数制度上、35点は前歴0回の人で免許取り消し処分(欠格期間3年) - 酒気帯び運転(基準値:0.25mg以上)・・・基礎点数は25点
前歴0回の人で免許取り消し処分(欠格期間2年) - 酒気帯び運転(基準値:呼気1ℓ中のアルコール濃度が0.15mg以上0.25mg未満)・・・基礎点数は13点
前歴0回の人で90日間の免許停止処分になります。
※酒酔いとは、アルコールの影響により、車両の正常な運転が困難な状態を言います。
※運転免許が取り消された場合、新たに運転免許を受けることができない期間を欠格期間と言います。
出典:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警察庁Webサイト
アルコールチェック数値目安表

関連記事:アルコールチェッカーの数値の見方について解説
関連記事:運転前に知っておくべし!あのお酒は何時間で抜けるのか
飲酒運転に対する罰則
車両等を運転した者(運転者)
- 酒酔い運転をした者は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 酒気帯び運転をした者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金
車両などを提供した者(事業所、管理者)
- 運転者が酒酔い運転をした場合、5年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 運転者が酒気帯び運転をした場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金
酒類を提供した者、または同乗した者
- 運転者が酒酔い運転をした場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 運転者が酒気帯び運転をした場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金
飲酒運転で人を死傷させた場合、刑法により「危険運転過失致死傷罪」や「危険運転致死傷罪」として処罰を受けることもあります。
アルコールチェック義務化に対し企業がやるべきこととは?
アルコール検知器やチェックシステムなど必要なツールを導入する
先述したように、国家公安委員会が定めるアルコール検知器の導入を進めましょう。また、合わせて検知器と連動したチェックシステムなどのソリューションを活用すると、安全運転管理者の業務負担を減らしつつ、測定と記録がスムーズになるためおすすめです。規模の大きい事業所であればこうしたツールの導入も検討しましょう。
アルコールチェック機能があるおすすめ車両管理アプリ
SmartDrive Fleet

車両管理システムと連携して使用できるSmartDrive Fleetは、Bluetooth対応で、測定値を自動で記録します。据え置きタイプ、ハンディタイプ、どんな検知器にも対応しているので、買い替えは不要です。アルコール検知器の結果表示画面を取り込めるOCR機能や、遠隔での立ち合いを証明するワンタイムパスワードの発行で証跡を強固に残します。また、アルコールチェックをせずに運転を開始した場合にドライバーと管理者へ注意を促す通知機能、そして閾値を超える呼気アルコール濃度が記録された際に管理者に報告する通知機能があり、飲酒運転と危険運転を確実に防止します。
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アルコールチェックの体制やフローを確立
実際に運用を始めていくと、運転者から「こんな時はどのように対応すべきか」といった質問や疑問が出てきます。確認方法や管理方法など、保管方法など、誰が、どのように対応するのか、緊急など時の対応はどうするのかなど、アルコールチェックの手順からトラブル時の対応をまとめたQ&A、緊急時の運用の流れなどをマニュアルへと落とし込んでいきましょう。
アルコールチェッカーを用いたアルコールチェックの方法と注意点
1. 呼気測定前の準備
口内に残留物等があると、アルコールチェッカーが正しく呼気測定できない場合があります。そのため、しっかりうがいをして口内を洗浄しましょう。喫煙後やニオイが残りやすいメントール系の食べ物や飲み物を食べた後は特に入念なうがいがおすすめです。ただし、歯磨き粉やマウスウォッシュの中にはアルコール成分が含まれるものもあるため注意してください。
2. 正しく呼気測定する
アルコールチェッカーを使用したアルコールチェックの呼気検査は、運転前と運転後の2回、実施することが定められています。原則として、対面でアルコールチェッカーを使用したアルコールチェックを行うことに加え、安全運転管理者は目視などでドライバーの顔色や呼気のにおい、声の調子などを確認する方法が義務付けられています。
また、直行直帰や出張などで対面での確認が困難なときは、スマホやタブレット、業務用の無線などを利用してドライバーと対話しながら確認作業を行ったり、カメラやモニターなどで顔色や声の調子、アルコールチェッカーの計測結果を確認する方法をとりましょう。
引用元:警視庁HP - 道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令の施行に伴うアルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認等について
アルコールチェッカーは、センサーに息を吹きかけ、その際に出た呼気内のアルコール濃度を検知する仕組みになっています。測定器へ息を吹きかけても、吹き込んだ量が少なかったり、吹きかけ方が誤ったりした場合、アルコールチェッカーが正しく反応しない場合があります。正確な数値を測るには、持続的にしっかりと息を吹きかけることが大事です。
3. 測定結果の記録方法:測定結果の記録と報告の方法
アルコールチェックを実施したら、必ず測定結果を記録します。また、このとき、万が一アルコールが検出された場合は、実施したドライバーが安全運転管理者に報告をして、必要な対応などについて指示を受けたり、安全運転管理者がドライバーに対して運転中止の指示を行ったりするなど、安全を守るために必要な対応を確実に取ることが求められます。当たり前のことですが、アルコールが検出された場合、該当のドライバーに運転をさせてはいけません。
確認者がいない場合のチェック
白ナンバー車両におけるアルコールチェックの確認は、原則として安全運転管理者が行います。ただし、勤務時間外など、やむを得ない理由により、安全運転管理者によるアルコールチェックが実施できない場合、副安全運転管理者が設置されていれば副安全運転管理者、または安全運転管理者の業務を補助する人が代理で実施します。補助者は、安全運転管理者などの資格を持っていないとしても確認に立ち会うことができます。
目視とアルコール検知器を用いたチェック・確認方法が基本ですが、直行直帰などで目の前に確認する人がいない場合は、アルコール検知器を所持させ、必ず、運転前後にアルコールチェックを行い、安全運転管理者に報告するようにします。
運転者への周知と安全運転教育
飲酒運転は「絶対にしない、させない、許さない」を徹底すべきですが、二日酔いのまま運転してしまった、時間が経過したので大丈夫だと思ったなど、飲酒時間や飲酒量を把握しないままに翌日、業務につく運転者もいるようです。アルコールの影響が大きい状況では、車両単独による死亡事故を起こす確率が高まりますので、運転者にも随時、飲酒の影響について教育を受ける、就業規則に記載して定期的に周知させるなど、啓蒙活動を行いましょう。
警視庁では、飲酒運転根絶に向けアルコールチェック義務化の周知徹底を浸透させるため、公式サイトで以下のリーフレットを提供しています。印刷して事業所内の目に入る場所へ掲示し、社内で周知徹底させましょう。
引用:安全運転管理者の業務の拡充|警察庁Webサイト
また、安全運転管理者が毎年受講すべき法定講習では、法改定のポイントやそれに伴う業務における重要事項を学ぶことができますし、アルコールチェック義務化に伴い、各地、各民間企業で講習、説明会などに関するセミナーも開催されていますので、有効活用して定期的な安全運転対策を実施しましょう。
弁護士が解説する平時に必要なコンプライアンス
アルコールチェック義務化に関しては、多くの企業が対応を必須とされていますが、一方で、車両を業務に利用する企業に求められているのは、アルコールチェックだけではありません。これを機に、改めて道路交通法を含む関連法令を理解し、社内のコンプライアンス体制を見直すことも必要です。
弁護士が解説するオンデマンド動画も是非ご参照ください。
[まとめ] アルコールチェック義務化をきっかけに企業のリスクマネジメントを強化しよう
万が一、従業員が業務中の交通事故を起こしたら、企業は経営者責任や損害賠償義務、刑事上、行政上、民事上と、多くの責任を負うことになります。その原因が飲酒であった場合は、社会的な信頼を失ってしまうことも考えられます。従業員個人、安全運転管理者、会社が一体となり、アルコールチェックを必ず実施しつつ、事故や違反を起こさないよう、安全運転管理者は定期的に運転者への教育・指導を行い、事故防止に努めましょう。
アルコールチェック義務化は、安全運転管理業務を見直し、的確なリスクマネジメントを図るチャンスと捉え、社内で運用ルールを構築してください。
アルコールチェック義務化対応アプリ導入事例3選
アルコールチェック義務化対応アプリ導入事例①株式会社湘南ベルマーレ様

アルコールチェック義務化対応アプリ導入前の課題
- 紙での管理をしていたため、100%アルコールチェックを実施できているか検証が難しかった。
- 早い段階からアルコール検知機を導入していたが、直行直帰も多く、検知器の台数が足りていなかった。
サッカークラブを中心とした総合型スポーツクラブを運営している湘南ベルマーレ様では、上記を理由に、運用が難しいと感じられていたそうです。昨年度のアルコール検知機を用いたアルコールチェック義務化に備え、SmartDrive Fleetとアルコール検知器のプランを導入いただきました。
導入後は管理画面からの名前検索により特定のドライバーの情報だけが抽出できるようになったことで管理者の確認作業が大きく改善。忘れがちだった運転後のチェック漏れもなくなったといいます。導入開始からすぐにスマートドライブのカスタマーサクセスが勉強会と運用キックオフを実施し、全ドライバー様が利用可能な状態までフォローさせていただきました。スムーズに運用を開始でき、スタッフ様からも便利になったと嬉しいお声を頂戴しております。
【アルコールチェック義務化対応アプリ導入事例記事】
サッカーJ1・湘南ベルマーレが、アルコールチェック運用にSmartDriveを選んだ理由
アルコールチェック義務化対応アプリ導入事例②株式会社エイワット

当初の課題
- 義務化以前は口頭で酒気帯びの有無を確認し、紙で記録していたが、毎日運転する従業員と月に数回しか運転しない従業員とでアルコールチェックの頻度やルール理解にばらつきがあった。
- 早朝勤務や出張に出る従業員も多いため、遠隔でアルコールチェックの記録と保存ができるクラウド型サービスを探していた。
太陽光や風力、水力発電システムなど、新エネルギー事業を展開するエイワット様。管理体制に限界を感じ、効率的かつ管理を徹底できるサービスの導入を検討し、SmartDrive Fleetとアルコール検知器のプランを選んでくださいました。
講習会で検知のコツやアプリ操作の疑問点を解消したため、紙での運用からスムーズに移行ができたそう。また、タイヤの点検やオドメーターの記録など、漏れてしまいがちだった業務もアルコールチェックと同様の流れで実施できるようになり、より安全な運行が可能に。アルコールチェックの実施について履歴で確認ができるため、チェック漏れの不安も解消されたといいます。
【アルコールチェック義務化対応アプリ導入事例記事】
コスト・手軽さ・拡張性。すべてが揃ったクラウド型アルコール検知器プランは、会社の“不”を解消する
アルコールチェック義務化対応アプリ導入事例③アニコム損害保険株式会社

当初の課題
- サステナビリティの観点から、コピー用紙の枚数を減らすなど、ペーパーレス化に取り組んできたため、車両管理やアルコールチェックもシステム上で管理したかった。
- 手書きで記載した紙を管理していたため、チェックに時間がかかり、不備があった際は確認作業に何時間もかかっていた。
ペット保険事業を展開するアニコム損害保険様では、SmartDrive Fleetとアルコール検知器のプランの導入によって、アルコールチェックをはじめとする車両管理業務において、確認作業時間が80%削減、事故率は10%以上改善しました。アルコールチェックのほか、速度超過や点検漏れのフィードバックもタイムリーに実施できるようになり、管理の質も大幅に向上。安心・安全な運用を実現されています。
【アルコールチェック義務化対応アプリ導入事例記事】
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