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ETCが使えなくなるって本当? 2022年問題と2030年問題について徹底解説!

料金所の入り口まで行くと自動でゲートが上がり、キャッシュレスでスムーズに進行できる。便利でなおかつ渋滞緩和につながるとして、今や高速道路利用者のおよそ9割が利用するまで普及したETC。これだけ生活に密着するようになったETCですが、昨今、ETCの2022年問題と2030年問題が話題になっています。

この記事では2022年問題および2030年問題の概要、そして対応方法について詳しく解説します。

ETCが使えなくなるって本当? 2022年問題と2030年問題について徹底解説!

ETCの2022年問題とは

ETCの2022年問題とは、2007年より前に製造されたETCの車載器が、2005年に改正された電波法関連法案により、2022年12月1日以降、使用できなくなるというものです。

※ただし、昨今の新型コロナウイルス感染拡大による影響で、期日が延長となっています。公式な発表があり次第、改めて本サイトでも随時、情報を更新してお伝えします。

2022年にETCが使えなくなるのは、法改正と電波利用環境に伴うもの

ETCは、5.8GHz帯の電波によって車載器と料金所の間で必要な情報を無線通信し、スムーズな高速道路への出入りとキャッシュレス決算ができるシステムですが、今回、問題となっているのが通信時に発生する「スプリアス」の存在。スプリアスとは、必要周波数帯以外の外側に発射される不要電波のことで、スプリアスが多いと電波障害の原因になるため、電波法で発射強度の許容値が規定されています。

世界無線通信会議の中では、不必要な電波を極力、低減して、電波利用環境の維持と向上、電波利用の推進を図ることを目的に、無線設備のスプリアスの強度の許容値に関する無線通信規則(RR)が改定されました。現行の電波法による許容値は2005年12月に適用され、2年の経過措置期間を経て、2007年12月から全面適用になりましたが、現場の混乱を提言するため、旧規格で認証を受けた無線設備が2022年11月末まで延長して使用できる“猶予期限”が設けられたのです。つまり、猶予期限が切れる2022年12月1日をもって、「2007年以前の技術基準適合証明・工事設計認証(旧スプリアス認証)を受け製造されたETC車載器」は、法律上、使用不可となります。これが2022年問題として近年、話題になっているのです。

2022年問題が与える人々への影響とは

旧規格に則って製品化されたETC車載器の使用期限は2022年11月30日とされていましたが、新型コロナウイルス感染症による社会経済への影響などにより、無線設備の製造や整備作業に遅れが生じているため、2021年8月に無線設備規則の一部を改正する省令を改正、国土交通省では新スプリアス規格の移行期限を「当分の間」に変更したことを発表しています。

現時点では明確な日時は明かされていませんが、いずれにせよ、猶予期間をすぎると旧規格の製品は使用できなくなるため、今までのようにETCゲートをスムーズに通過できない可能性がありますのでご注意ください。

2022年12月に使用困難となるETCはごくわずか…?

現時点において、2022年以降もETCが使用している電波帯は変わらないため、車載器の通信機能が失われるわけではありません。また、日本の高速道路でETCが本格的に使われ始めたのは2001年11月からですが、国交省のHPで関連情報では、ETC車載器に関する規格「ARIB STD-T55」に準拠している機種は、2022年12月以降も使用可能とされています。

この規格が最後に改定されたのは2012年11月。つまり、2001年から2002年に発売開始され、かつ旧規格で作られているごく初期のETC車載器だけが、2022年12月から法律上使用不可の対象になります(先述したように現在、延長となっています)。

2022年問題で使用できなくなる機器と見分け方

パナソニック

公式サイト「スプリアス規格について

対象機器

  • C03002T (0321)
  • C03002B(0354)
  • CN-RX0600AK(0389)

( )内は車載器型式登録番号です。

デンソー

公式サイト「旧スプリアス規格に基づき製造されたETC車載器に関するお知らせ

対象機器

  • 型式DIU-3102 (型式登録番号 0209/ 2001年4月〜2004年4月製造品)
  • 型式DIU-3104 (型式登録番号 0211/ 2001年6月製造品)

イクリプス/デンソーテン

公式サイト「スプリアス規格の変更に関するお知らせ

ECLIPSEブランドで過去に販売した、または現在販売中の全てのETC車載器およびETC内蔵AVNは、見直し後のスプリアス規格に対推しており、2022年12月1日以降も問題なくご使用いただけますのでご安心ください。

矢崎エナジーシステム

公式サイト「【重要】旧スプリアス規格に基づき製造されたETC車載器に関するお知らせ

対象機器

  • ETC-YM2N  0218
  • ETC-YM5    0258

※ETC-YM2Nと同じ外装であるETC-YM2、ETC-YM3については、適法機種のため、2022年12月1日以降も使用可能。

三菱電機

公式サイト「スプリアス規格の変更に関するお知らせ

三菱電気が提供する全てのETC/ETC2.0車載器は新スプリアス規格に対応しているため、新スプリアス規格への移行後も安心してご使用いただけます。

古野電気

公式サイト「旧スプリアス規格のETC車載器の利用について

古野電気製、三菱重工業製(三菱自動車向け含む)のETC車載器はすべて新スプリアス規格に対応しており、新スプリアス規格への移行後も安心してご使用いただけます。

クラリオン

公式サイト「旧スプリアス規格 特定小電力無線機器に関するお知らせ

対象機器

  • ETC920 (EA-1188B-A) 工事設計認証番号:01CYBA1004

アルパイン

公式サイト「アルパイン製ETC車載器に関するスプリアス規格変更に関するお知らせ

アルパイン製のETC/DSRC/ETC2.0車載器は新企画に対応していますので、2022年12月1日以降もご使用いただけます。

カロッツェリア/パイオニア

公式サイト「スプリアス規格について

弊社のETC/ETC2.0(DSRC)車載器は、平成17年12月1日に改正された無線設備規則(昭和25年電波監理委員会規則第18号)の技術基準をいたす新スプリアス規格に対応済。一部生産完了商品(ND-ETC1)につきましても、無線設備規則の一部を改正する省令(平成17年総務省令第119号)附則第5条第3項法令により、2022年12月1日以降も利用が可能となっています。

ケンウッド

公式サイト「新旧セキュリティ/スプリアス規格 機種別比較一覧表

旧スプリアス規格のものがないため、2022年12月1日以降も問題なく使用可能です。念のため、公式サイトでもご確認ください。

マツダ

公式サイト「ETC/ ETC2.0 新セキュリティ/新スプリアス対応表

対象機器

  • パナソニック製 C9N1V6380

日産

公式サイト「ETC車載器の新スプリアス規格対応について

ビルトインタイプとビルトイン以外のETC車載器において、下記の型式登録番号の車載器が2022年12月1日以降、使用不可となります。

カルソニックカンセイ製のETC車載器の下記登録番号の車載器が対象です。

ビルトインタイプ一覧

車種(モデル)ETC車載器型式登録番号販売期間
セドリック(Y34)0222/02602002年5月〜2004年9月
スカイライン(Y35)0222/0260/03182002年5月〜2004年11月
ステージア(M35)0222/0260/03182002年5月〜2007年9月
エルグランド(E51)0222/0260/03182002年5月〜2007年9月
フェアレディZ(Z33)0222/02602002年4月〜2008年11月
ティアナ(J31)0222/0260/03182002年10月〜2008年5月
エクストレイル(T30)0222/0260/03182003年3月〜2007年7月
プレサージュ(U31)02602003年4月〜2006年4月
プレジデント(PF50)シーマ(F50)0222/0260/03182002年5月〜2008年4月
プリメーラ(P12)0222/02602001年10月〜2003年6月
ウイングロード・AD(Y11)02662004年5月〜2005年10月
フーガ(Y50)02942004年7月〜2006年4月
ティーダ(C11)ティーダラティオ(SC11)02942004年7月〜2005年12月
ラフェスタ(B30)02942004年7月〜2006年12月

ビルトイン以外のタイプ一覧

ETCモデルNo.ETC車載器型式登録番号販売期間
SS60002662003年3月
SS70003202004年12月
SS30002532002年9月
SS61002912004年3月
SS71003192004年12月
SA2000223/01122002年5月

トヨタ自動車

公式サイト 「Q 自分のETC車載器は、新スプリアスに対応していますか?

トヨタ純正ETC車載器については、すべて新スプリアス規格に対応しています。旧スプリアスの使用期限後も、継続して使用可能です。

本田技研工業

公式サイト「スプリアス規格変更について

ホンダ社製のETC車載器は過去の販売製品も含め、電波法上問題がないことが確認できているため、引き続き使用可能です。

スズキ

公式サイト「ETCのスプリアス規格、セキュリティ規格変更についてのお知らせ

スズキ標準装備品、スズキ純正アクセサリーのETC/ETC2.0車載器は、過去の製品も含め、新しいスプリアス規格に対応しており、電波法関連法令の改正以降も引き続きご使用いただけます。

12月1日以降、旧規格を使用していたら…?(現在、延長)

万が一、旧規格機種と知らず2022年以降高速道路で使用、もしくは電波が発生する状態で車載した場合、免許が必要な無線機器の不法設置・運用とみなされ「電波法違反」となり、次のような処罰を受ける可能性があります。

  • 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(不法設置・運用のみ)
  • 5年以下の懲役又は250万円以下の罰金(公共性の高い無線局に妨害を与えた場合)

2022年問題の後に発生する「2030年問題」とは?

2022年12月1日から使用不可となるのは、サービスが開始草創期に販売・設置されたETCに限られますが、国交省など関連機関が取り組んでいるセキュリティー対策の影響で使用不可の機種が一気に増える「2030年問題」も看過できません。

2030年問題が発生するのは、セキュリティ強化が目的である

国交省は情報漏洩のリスク軽減や改ざんなどの不正防止を目的として、ETCに関わる料金所・車載器・ICカードについてセキュリティー規格を定めていますが、2017年10月、同省はシステムそのものの規格を変更すると発表しました。これは昨今のIT機器の能力向上による驚異の増大に備えたセキュリティ機能の拡充が理由であり、国交省は現行セキュリティに大きな障害が発生しなければ、2030年ごろまでに変更するとしています。

言い換えると、セキュリティに何らかの脅威が発生した場合は、2030年より早い段階で規格が変更される可能性があるということです。いずれにしても新しいセキュリティー規格に対応していない機種は、近い将来、使用不可となる場合も。現時点において、具体的な日時は公表されていませんが、2030年までにはセキュリティ規格が変更になるため、2022年問題とともに「2030年問題」として注視されています。

2022年以降もETC車載器を安心かつ便利に使いたいのであれば、電波法に抵触しないことを必ず確認したうえで、新セキュリティ対応モデルへの買い替えを検討しましょう。

2030年問題で使えなくなるETC車載器の判別方法

2022年問題に該当する機種と異なり、確認方法は容易です。2030年以降の新セキュリティー対応の判別をするには、購入・取付時に商品に付随、もしくは販売店から受け取った「取り扱い説明書・保証書・セットアップ申込書・証明書」に記載されている、19桁の「車載器管理番号」をチェックしてください。

出典:一般財団法人 ITSサービス高度化機構「セキュリティ規格の変更について

画像内で赤い丸に囲まれた数字の1桁目の数字により、次のように判別できます。

「1」から始まっている・・・新セキュリティー規格対応モデル

「0」から始まっている・・・旧セキュリティー規格モデル

前述した書類を紛失した場合は、ETCをいったん車から外し、本体裏面に貼られているシールに記載された管理番号を確認してください。なお、一度剥がしたETCの両面テープは粘着力が弱くなるため、再設置する際は改めて両名テープで補強するなど、運転中に剥がれないようにしましょう。

そもそも説明書などが付属されていない、または経年劣化によって数字がうまく読み取れない時は、ETC本体記されたセキュリティー対応を示す「識別マーク」で判別します。

  • ETC・・・ETCロゴの下及びカード挿入口付近に「●●●」のマークがある。
  • ETC2,0・・・カード挿入口付近に「■」のマークがない。

上記に当てはまらないETC・ETC2,0および、「DSRC」という文字が記された機種は、すべて旧セキュリティー機種ですので、買い替えを検討してみましょう。

一目でわかるセキュリティ規格の比較表

新セキュリティ規格の特徴旧セキュリティ規格の特徴
・車載器管理番号が1から始まる。
・ETCカード挿入口付近に●●●のマークがある。
・カード挿入口付近に◼️マークがない。
・車載器管理番号が0から始まる。
・カード挿入口付近に◼️マークがある。

2022年問題、2030年問題…情勢に応じて買い換えを検討しよう

2022年問題と2030年問題によって、今のETCが使えなくなった場合、どちらの影響によるものか、または高速道路の利用頻度が多いか否かによって対策スピードや方法が異なります。電波法違反で処罰される可能性がある機種の場合は、早急な買い替えを検討すべきですが、高速道路の利用頻度が低いユーザーであれば、車体から取り外し、利用しないという選択肢も一つとして考えられるでしょう。

気を付けたいのは、スプリアスが発生する状態だった場合、一般道を走行している時はもちろん、仮に駐車場で停車していても、電波法違反で検挙される可能性があること。おそらく2022年12月(現在は延期の見込み)の猶予期限終了直後は、警察による適用外ETCの取り締まりが強化されるとみられるため、使用停止する場合は電源を抜くだけではなく、完全に取り外して保管したほうが無難です。

また、国交省によると旧スプリアス規格に則り製造された一部製品について、発射強度などを再測定し、新スプリアス規格への適合を継続使用とする動きもあるため、情勢に応じた買い替え時期を決めることも重要になります。再認証されれば利用を再開できますので、すぐに買い替えず、一旦取り外して様子を見るのも一つの手です。加えて、適合する中古機種を購入し2022年問題を乗り切る方法もありますが、ヤフオクなどの個人オークションで安価に出品されている商品、及び中古車に搭載されているETCは旧スプリアス規格の機種である可能性もあるため、前述した手順で事前に判別してください。

一方、2022年問題をクリアしている機種なら最長10年は問題なく使用できますが、現在販売されている車載機は「ETC2.0」が主流であり、ETC2.0限定の通行料金割引サービスも登場しています。ETC2,0はETCより多くの個人情報をやり取りするため、頻繁に高速道路でETCを使用するのであれば、古い機種から個人情報保護にもつながる新セキュリティー対応のETC2,0へ思い切って買い替えることも検討しましょう。

必要に応じて機種を変更し、2020年問題、2030年問題を乗り切ろう

猶予期限は2022年12月1日から延長となりましたが、万が一、電波法違反を犯さないよう、自分のETCが迷惑なスプリアスを発信していないか、なるべく早めに確認と対策を実施しましょう。

筆者紹介

株式会社スマートドライブ
編集部

株式会社スマートドライブ編集部です。安全運転・車両管理・法令遵守についてわかりやすく解説します。株式会社スマートドライブは、2013年の創業以来、「移動の進化を後押しする」をコーポレートビジョンに掲げ、移動にまつわるモビリティサービスを提供しています。SmartDrive Fleetは、1,700社以上への導入実績があり、車両に関わる業務の改善や安全運転の推進などに役立てられています。また、東京証券取引所グロース市場に上場しています。 SmartDrive Fleetは情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度「ISMS認証(ISO/IEC 27001:2013)」を取得しています。

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