【数値表付き】アルコールチェッカーの数値の見方について解説
2023年12月から、アルコールチェッカー(アルコール検知器)を使用した酒気帯び有無の確認が義務化されました。しかし、アルコールチェッカーが正しく使用できていなかったり、メンテナンスや日々の点検を怠ったりしてしまうと、きちんと計測ができないことも…。
この記事では、アルコールチェッカーの数値を正しく見る方法から、点検やメンテナンスまでをまとめて解説します。
3分でわかるSmartDrive Fleet Basic クラウド型アルコールチェック機能
SmartDrive Fleet Basic クラウド型アルコールチェック機能の概要についてご紹介します。
目次
アルコールチェッカーとは
アルコールチェッカー(アルコール検知器とも言います)は、息を吹きかけるだけで体内の残留アルコール濃度を数値化し、酒気帯び運転の有無を確認する測定器のことを言います。目視だけでは確認できない細かなアルコールも検出でき、飲酒運転撲滅と安全運転の徹底に欠かせません。
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飲酒運転による死亡事故は、通常の交通事故より死亡率が高い
2023年の飲酒運転による交通事故件数は2,346件で、前年と比べると179件(+8.3%)増加、そのうち死亡事故の件数は112件でした、飲酒運転を起因とした死亡事故は2002年以降、飲酒運転の厳罰化と飲酒運転根絶に対する社会的機運の高まりなどによって、減少傾向にありましたが、2008年以降はほとんど減少を見せていません。
また、警視庁の統計データによると、飲酒運転による死亡事故の件数は、飲酒なしの死亡事故の件数よりもおよそ6.1倍も高いことがわかっており、通常の事故より危険性が高いことがわかります。
全体的に見ると飲酒運転による事故は減少しつつありますが、依然として悲痛な事故が後を絶ちません。企業としても、ドライバー一人ひとりに「飲酒運転を絶対しない、させない」ことを徹底し、運転前に必ずアルコールチェッカーを使用して数値を確認しましょう。
アルコールチェッカーの仕組みと方式による比較
アルコールチェッカーの数値の見方
基準となる数値
道路交通法施行令の第四十四条の三では、「法第百十七上の二の二第一項第三号の政令で定める身体に保有するアルコールの程度は、血液一ミリリットルにつき0.3ミリグラムまたは呼気一リットルにつき0.15ミリグラムとする。」と定められています。
なお、道路交通法第65条においては、取締りの対象となる数値基準を呼気中のアルコール濃度が0.15mg/1ℓ以上を含んだ状態の場合、酒気帯び運転としています。しかし、0.15mg以下であっても、酒酔い運転と判断された場合は罰則の対象になるため注意が必要です。
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罰則対象となる基準値と違反点数
酒気帯び運転には数値の基準が設けられていますが、酒酔い運転はアルコールチェックの数値で判断されません。酒酔い運転とは、アルコールの影響を受けて注意力や判断力が鈍り、正常な運転ができない状態にも関わらず運転することで、主に、次のような症状をみて、酒酔い運転かどうかが判断されます。
- 直線の上をまっすぐ歩けるか
- 警官の質疑応答でしっかり受け答えができるか・ろれつが回っているか
- 視覚や視点から認知能力が機能しているか
違反点数は酒気帯び運転よりも高く、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられるなど、処分が重くなります。
違反点数
違反種別 | 酒酔い運転 | 35点 |
酒気帯び運転 (呼気1ℓ中のアルコール濃度0.25mg以上) | 25点 | |
酒気帯び運転 (呼気1ℓ中のアルコール濃度0.15mg以上0.25mg未満) | 13点 |
飲酒運転者の罰則
酒酔い運転 | 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
酒気帯び運転 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
管理者など、運転者以外の責任と処罰内容
車両提供者
運転者が酒酔い運転 | 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
運転者が酒気帯び運転 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
酒類の提供や車両の同乗者
運転者が酒酔い運転 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
運転者が酒気帯び運転 | 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金 |
業務中のドライバーが飲酒運転をしてしまったら?
業務中のドライバーが飲酒運転をした場合、企業も行政責任や民事責任など、責任を問われることになります。
民法715条及び自動車損害賠償保障法3条において規定されている、「使用者責任」にもとづく損害賠償請求では、飲酒運転を軽視する社風であったり、飲酒の有無を確認するシステムを構築していなかったりした場合、会社側の責任が重く問われることになります。
物流・運送など、車を日常的に業務で使用する事業者の場合、車両使用停止・事業停止・営業許可取消といった行政処分を、一定期間科せられる可能性もあります。
飲酒事故は単なる交通違反ではなく犯罪行為とされるうえ、業務中の事故で重大な被害が出た場合は、新聞やメディアでニュースとして大々的に取り上げられることも考えられます。
飲酒運転による事故を確実に防ぐために、必ず、アルコールチェッカーを利用し、正確な数値を確認しましょう。
アルコールチェッカーの正しい使い方と注意点
1. 測定前の準備
口内に残留物等があると、アルコールチェッカーが正しく測定できない場合があります。そのため、しっかりうがいをして口内を洗浄しましょう。
喫煙後やニオイが残りやすいメントール系の食べ物や飲み物を食べた後は特に入念なうがいがおすすめです。ただし、歯磨き粉やマウスウォッシュの中にはアルコール成分が含まれるものもあるため注意してください。
キムチや味噌汁、ヨーグルトなどの発酵食品、エナジードリンクやノンアルコールビールなどに微量のアルコール成分が含まれているものもあり、アルコールチェッカーに反応する可能性があります。
前日にたくさん飲酒をしたり、遅くまで飲酒をしていたりした場合は、翌朝にもアルコールが残っている場合もあるため、朝早くから運転をする場合は飲酒を控える、または飲酒量を減らすなど工夫しましょう。
2. 正しい方法で測定する
アルコールチェッカーを使用したアルコールチェックは、運転前と運転後の2回、実施することが定められています。
原則として、対面でアルコールチェッカーを使用したアルコールチェックを行うことに加え、安全運転管理者は目視などでドライバーの顔色や呼気のにおい、声の調子などを確認しましょう。
また、直行直帰や出張などで対面での確認が困難な場合は、スマホやタブレット、業務用の無線などを利用してドライバーと対話しながら確認作業を行ったり、カメラやモニターなどで顔色や声の調子、アルコールチェッカーの計測結果を確認したりします。
引用元:警視庁 道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令の施行に伴うアルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認等について
アルコールチェッカーは、センサーに息を吹きかけ、その際に出た呼気内のアルコール濃度を検知する仕組みになっています。
測定器へ息を吹きかけても、吹き込んだ量が少なかったり、吹きかけ方が誤ったりした場合、アルコールチェッカーが正しく反応しない場合があります。正確な数値を測るには、持続的にしっかりと息を吹きかけることが大事です。
3. 測定結果の記録方法:測定結果の記録と報告の方法
アルコールチェックを実施したら、必ず測定結果を記録します。
また、このとき、万が一アルコールが検出された場合は、実施したドライバーが安全運転管理者に報告をして、必要な対応などについて指示を受けたり、安全運転管理者がドライバーに対して運転中止の指示を行ったりするなど、安全を守るために必要な対応を確実に取ることが求められます。
当たり前のことですが、アルコールが検出された場合、該当のドライバーに運転をさせてはいけません。
アルコールチェッカーの点検とメンテナンスは必須!
国土交通省では、使用するアルコールチェッカーを使用したアルコールチェックの義務化に伴い、アルコールチェッカーを常時有効に保持することを義務付けています。
不備や故障、トラブルが起きないように、日常的に問題なく使用ができるかどうか確認し、毎週または10日に一度など、定期的にメンテナンスを行うようにしましょう。
なお、アルコールチェッカーはその特性上、身の回りにあるアルコールに反応しやすくなっています。
アルコールチェッカーは半永久的に使用できるものではなく、測定回数の上限や使用期間が定められています。
必ず、使用する前に取扱説明書や保証書で有効期限や使用回数の上限を確認しましょう。
有効使用回数の上限を超えた場合は、新しい機器に取り替えることで正確性を担保しましょう。
有効期限未満なのに、アルコールチェッカーが反応しない、うまく作動しない場合はメーカーに問い合わせて取り替える、または修理に出すなど必要な処置を行います。
アルコールチェッカーの日々の点検項目(使用する前に確認しましょう)
- 電源は入りますか?
- 正常な呼気なのに、アルコール検知の反応は出ていませんか?アルコールが含まれていないのに作動しないことはありますか?
- 計測された数値は正しく表示されていますか?
- 落としたりぶつけたりした場合は、正しく作動するか必ず確認してから使いましょう。
アルコールチェッカーの日常点検方法
- 水でうがいをして10分おき、アルコールのチェックを行います。そこで、測定値が0.000mg/lであることを確認してください。
- アルコールチェッカー用の点検スプレーを口腔内に噴霧します。再び、アルコール測定を実施し、アルコールが検出されたことを確認しましょう。アルコールが検出された後は水でうがいし、10分以上時間を空けて、通常通りの測定を実施します。
- 測定値が0.000mg/lであることを確認できたら終了です。
週に一度のチェック項目
- 酒気を帯びてないドライバーがアルコールチェッカーを使用した際に、アルコールが検知されていないか確認しましょう。
- アルコールを含有する飲み物や希釈した飲み物を口内へ噴霧し、その後アルコールチェッカーを使用した際に、アルコールが正しく検知されているか確認しましょう。アルコールチェッカーの有効性を確認するための点検キットも販売されていますので、そちらを活用するのもおすすめです。
定期的なメンテナンスとセンサー交換の重要性
各メーカーでは、定期的なメンテナンス・クリーニングの対応や購入後のセンサー交換を実施しています。センサーは使用回数や使用時間が長くなればなるほど精度が低下していくため、使用上限期間や回数を確認し、必ず新しいセンサーに交換してください。
メンテナンスについては、購入した期間をもとに(おおよそ1年程度)、メーカーから「メンテナンスの案内」がメールや封書で届きますので、指定された内容で対応してください。
企業におけるアルコールチェックの運用
道路交通法の改正により、2022年4月1日から白ナンバーにおいてもアルコールチェックが義務づけられ、2023年12月からはアルコールチェッカーを利用した酒気帯び有無の確認が義務化となりました。
アルコールチェックの実施は、従業員の飲酒運転防止を徹底するためのリスク管理であり、企業としての責任でもあります。正しく運用をしないと、万が一の飲酒運転事故が起きるケースも0ではありません。飲酒運転事故が起きると、最悪の場合、事業停止や社会的な信用の喪失、経営が困難に陥ることも考えられます。そうしたリスクに備えるためにも、アルコールチェックを徹底し、飲酒運転のしない・させないを周知徹底しなくてはなりません。
アルコールチェックを就業規則に記載する
就業規則は企業の規則やルールを明示するものです。そのため、アルコールチェックの実施を追加することで、従業員に周知させることができ、不正なく、確実に実行すべきことという認識が周知されます。
飲酒運転は従業員にとっても企業にとってもリスクしかありません。運用ルールや直行直帰や出張など、想定される利用シーンにおける使用方法、管理方法など、整理をした上で記載をしましょう。また、従業員がアルコールチェックの結果を改ざんしたり、アルコールチェックを拒否したり、万が一の酒気帯びが発覚したりした場合について、どのような罰則を設けるのかも記載しましょう。そうすることで、確実にチェックを行うこと、飲酒運転を絶対にしないという認識をさせることができます。
アルコールチェックの運用と記録方法
アルコールチェックアプリで管理する
アルコールチェックアプリは、アルコールチェッカーと連動させて、計測結果を自動で記録したり、未実施の場合にアラートで知らせたりできるアプリのことです。アルコールチェッカーの数値が規定値を超えていた場合、安全運転管理者に通知が届いたり、運転できないように車両にロックをかけたりすることもできるため、飲酒運転を防止するのに役立ちます。
関連記事:【2024】法人向けアルコールチェックアプリおすすめ9選
Excelで記録と保存をする
アルコールチェックの記録をエクセルで管理する方法もあります。目的や用途に合わせてさまざまなフォーマットがあるので、使いやすさ、まとめたい情報が管理できるものを使用しましょう。【テンプレート付き】アルコールチェック記録簿を簡単に!記入例解説の記事では、無料でダウンロードして使えるテンプレートをご紹介しています。ぜひ、ご活用ください。
SmartDrive Fleetを活用したアルコールチェック運用事例
株式会社湘南ベルマーレさまのアルコールチェック運用事例
湘南ベルマーレがSmartDriveのクラウド型アルコールチェック機能を導入した理由は、紙での管理が難しく、検証の不正確さや検知器の不足による運用の煩雑さが解決できなかったためです。導入前は紙管理で「100%実施」の検証が難しく、検知器の台数不足も問題でした。SmartDriveの導入により、全社員に1台ずつ検知器を配布し、PC上で簡単にデータ管理が可能になりました。これにより、スタッフの手間が大幅に削減され、運用がスムーズに行えるようになりました。今後は車両予約や日報管理など、さらにSmartDrive Fleetを活用し、業務の効率化を進めていく予定です。
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株式会社エイワットさまのアルコールチェック運用事例
株式会社エイワットは、アルコールチェックの効率的な管理を求めて、SmartDriveのクラウド型アルコールチェック機能を導入しました。元々は口頭確認と紙記録で対応していましたが、管理体制の限界を感じ、2023年12月の検知器義務化を機にクラウド型サービスを選択しました。SmartDriveの選定理由は、コストパフォーマンスの良さと操作の簡便さです。導入後は、全従業員に対する講習でスムーズに運用を開始し、日常点検や業務の抜け漏れも改善されました。データの可視化により、不安が解消され、管理が格段に楽になったと評価しています。今後は、車検や免許証の情報も一元管理し、さらなる効率化を図る予定です。
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株式会社アクシスプロジェクトさまのアルコールチェック運用事例
株式会社アクシスプロジェクトは、ISO39001認証(道路交通安全マネジメントシステム)を持つ軽貨物運送業者で、アルコールチェック管理の効率化を図るため「SmartDrive Fleet Basic」を導入しました。以前は手書きと電話での確認が主流で、対応が遅れたり、折り返しの手間がかかっていましたが、SmartDrive Fleet Basicの導入により、アルコールチェックがデジタル化され、記録の管理がスムーズに。これにより、電話による確認のタイムラグが解消され、履歴の検索も容易になりました。ISO39001の取得背景には、交通安全への注力があり、法令遵守や事故防止のため、車両管理の徹底が行われています。将来的には、さらに広範な車両管理機能の活用を検討しています。
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