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【例文付き】ヒヤリハット報告書の書き方を解説

「危うく大きな事故になるところだった」。重大事故につながらなくとも、危ない思いをしてヒヤッとしたことはないでしょうか。ヒヤリハット報告書は、業務中の事故やトラブルを防止することを目的に使用する大事な書類です。
本記事では、ヒヤリハット報告書の作成方法やヒヤリハットの事例、今すぐ使用できるテンプレートをご紹介します。

【例文付き】ヒヤリハット報告書の書き方を解説

【Excel】自動車事故報告書テンプレート

【Excel】自動車事故報告書テンプレート
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SmartDrive Fleet導入実績

交通事故の発生状況、被害状況、対応方法、再発防止策等を記入することができます。また主要記号や補助記号を使用することで現場の略図を簡単に描くことができます。

ヒヤリハット報告書とは

運転中、急に割り込んできた車にヒヤリとしたり、赤信号なのに横断歩道を直進しそうになって「ハッ」としたり、危険な交通事故や他者を巻き込むトラブルといった重大な事故につながらなくても、ひとつ間違えたら重大な事態に陥りそうだったできごとのことを「ヒヤリハット」と言います。

スリップして、停車中の乗用車に衝突しそうになったビニール袋が風で舞い、運転手の視界を妨げた路地から勢いよく出て来た車と衝突しそうになった
出典:ヒヤリハット事例 - 職場のあんぜんサイト - 厚生労働省

業務の中でもヒヤリハットが発生するシーンがいくつかあります。重大事故やトラブルを防止するために、原因となりそうな事象を事前に捉え、危険を回避する策を取る必要があります。そこで重要な役割を果たすのがヒヤリハット報告書です。なお、他者に直接、危害を加えたり、器物を破損したりする事象ではないため、警察や保険会社などへは報告書の提出義務がありません。

業務の中で実際に起きたヒヤリハットをヒヤリハット報告書にまとめて共有し、原因を分析して危険回避やリスクマネジメントに繋げていきましょう。

ヒヤリハット報告書の書き方

ヒヤリハット報告書は、業務上のどんな時にどんなヒヤリハットが発生したのか、「当時の状況(場所・時間など)、原因(なぜそうなったのか)、今後の対策(どうすれば防止できるか)」をわかりやすくまとめて共有する書類です。フォーマットに規則やルールはありませんが、誰もがすぐに内容が把握できるよう、次のような項目を記しましょう。

  1. 氏名・所属部署
  2. ヒヤリハットが起きた日時

いつ、どのようなタイミングで起きたのかを把握します。

  1. ヒヤリハットが起きた場所

作業現場か、移動中か、事務所内か、どこで起きたか記載します。車で移動中だった場合、住所や場所の特徴も記しておくと良いでしょう。

  1. 何をしていた時に起きたのか

積荷の作業中、ルート営業で移動中など、具体的な作業内容を記載します。

  1. ヒヤリハットの内容

「大きい資材を持っていたので足元が見えず、階段を踏み外しそうになった」「営業車で直進をしていたら、信号無視した自転車が横切り、ぶつかりそうになった」など、ヒヤリハットの経緯と事象をわかりやすく記します。

  1. どんな事故につながる可能性があったか

その事象によって、どんな事故やトラブルが発生する可能性があったかを記します。

  1. 今後の対策

同じようなヒヤリハットを防ぐために、どんな防止策が考えられるか、それによってどのような改善ができるかを記します。

相手の不注意によるヒヤリハットもありますが、情報を共有することで「こんなことも起こりえる」と他の従業員にも予測でき、危険を回避することができます。危機管理能力を高めるためにも情報を共有できる体制を整えましょう。

SmartDriveでは「ヒヤリハット操作を自動検出・通知することで、頻繁に危険運転をするドライバーの事故を未然に防ぎたい」「新人ドライバーの運転能力に不安がある」企業さまに、車両管理システムの導入から安全運転の推進までを支援しています。
⇒ 走行履歴・ 運転診断機能に関するページはこちら

【業界別】ヒヤリハットの事例

運転ミスから他車の割り込みや追い越し、自転車や歩行者の信号無視、障害物や荷物の積み込みミス…さまざまなヒヤリハットがありますが、業界ごと、目的ごとにヒヤリハットの特徴があります。

実際には日々、もっと細かなヒヤリハットが発生しているので、それぞれどんなことが起きて、その際どのように回避したのか、情報共有の機会をつくるのも良いかもしれません。

運送業界におけるヒヤリハット事例

運送業は、荷物を積んでトラックやバンといった一般車よりも大きな車両で業務を行うため、荷物を取り扱うシーン、走行中のシーン、それぞれの場面においてヒヤリハットが起きやすいと言えます。

  • 配送トラックで目的地のA社へ移動中、道幅の狭い○○通りで逆車線のトラックと接触しそうになった。
  • 配送トラックが出発する際に、積んでいた荷物が崩れてしまった。
  • コンテナにシートをかけている際に足が滑って落下しそうになった。
  • 重い荷物を卸している時に、荷物が足の上に乗りそうになった。
  • 荷物の固縛が甘く、カーブを走行中に荷物が崩れかけた。
  • 前方を走行していたトラックの積荷が高く、信号が見えなかった。そのため、黄色信号になっているところ、侵入しそうになってしまった。

参考:一般社団法人和歌山県産業資源循環協会

製造業におけるヒヤリハット事例

製造業においては、工場内で機械による巻き込み、挟まれ、転倒、墜落など、製造工程においてさまざまなヒヤリハットが発生します。

  • フォークリフトを方向転換していたところ、歩行中の作業員がいて追突しそうになった。
  • ベルトコンベアに置いた加工品を触ろうとして、手が巻き込まれそうになった。
  • 食品を作る工場内で、床面が油で滑りやすくなっており転倒しそうになった。
  • ピッキングリフトを操縦し、棚から商品をピックアップしていたところ、バランスを崩して墜落しそうになった。
  • 切断する機械を清掃中、カット箇所に指が挟まれそうになった。
  • 2階から工具を落とし、下にいた作業者に当たりそうになった。
  • 小型アーク溶接機の点検中、端子部分を取り外す際に、電源のメインスイッチを切り忘れており感電しそうになった。

医療・介護業界におけるヒヤリハット事例

訪問医療や訪問介護で多く利用されているのがハイエースバンです。普通車より大きいため、利用者宅へ伺う際に狭い道路を走行する必要があったり、駐車スペースが小さかったりした場合、ぶつける可能性も少なくありません。また、集合住宅の場合は人や自転車も多く、注意が必要な場面も。

  • ○○様のお宅があるマンションのエントランスに複数台の車が停まっており、寄せるスペースがなく、乗降に時間がかかってしまった。
  • ○○様宅へ向かう際に利用する大通りは、朝の通勤時間と重なると交通量と人の往来が非常に多く、小学生が飛び出して接触しそうになった。
  • 送迎車を法定速度通りに走行していたら、左から配達中のバイクが追い越してきた。もう少し距離が近かったら接触していた可能性がある。
  • T字路から右に曲がろうとハンドルを切った時、左側から車が出てきた。
  • 夕方の送迎時、無灯火の車が飛び出てきて焦ってしまった。
  • ○○様宅へお迎えに上がり、路肩に停めて助手席のドアを開けたときに、ドアの角が縁石に当たってしまった。
  • 利用者が乗車したので敷地内で方向転換をしていたところ、昇降機の操作支柱と接触し、右後方部のテールランプを破損した。

ヒヤリハット報告書の例文

ヒヤリハット報告書を作成する時に使える例文をまとめてご紹介します。

運送業におけるヒヤリハット報告書の例文

氏名・所属部署○○   
発生日時○月○日○曜日 ○時○分ごろ  晴れ
ヒヤリハットが起きた場所○○区○○配送センター A倉庫入り口 
何をしていた時に○○へ荷物を届けるために、一人でトラックへ資材を積みこんでいた時
何が起きたのか時間がなく急いで積込み作業をしていたら、積んでいた最中に積荷が崩れ、資材がトラックから落ちた
それによってどんな事故が発生する可能性があったか下に人がいたら大怪我をしていたかもしれない
ヒヤリハットをなくすには積荷時間に余裕を持って、バランスを考慮しながら丁寧に荷物を積み込む。または、必要に応じて複数名で対応し、資材が崩れそうにないか確認しながら作業する。

製造業におけるヒヤリハット報告書の例文

氏名・所属部署○○
発生日時○月○日○曜日 ○時○分ごろ  曇りのち晴れ
ヒヤリハットが起きた場所○○県○○市にある○○製造工場 生産○ライン
何をしていた時に製造工程において、製品がつまり機械が停止したため、確認していた。
何が起きたのか確認中、急に機械が再稼働したため、服が引き込まれそうになった。
それによってどんな事故が発生する可能性があったか最悪の場合、体が巻き込まれて大怪我をしていた可能性がある。
ヒヤリハットをなくすには必ず機械が停止しているかを確かめて故障やトラブルの原因を確認すること。停止しているかどうか、声を掛け合って確認をすること。

医療・介護業界におけるヒヤリハット報告書の例文

氏名・所属部署○○  担当エリア○○
発生日時○月○日○曜日 ○時○分ごろ  雨
ヒヤリハットが起きた場所○○市の○○通り 見通しが悪く、車一台分が通れるくらいの道路
何をしていた時にデイサービス利用者のお迎えに行っていた。
何が起きたのか道路が狭く、路地で曲がろうとした際に右のドアをぶつけそうになった。
それによってどんな事故が発生する可能性があったか利用者様を驚かせてしまう。車をぶつけてしまい、他の利用者様宅への到着が遅れてしまう。
ヒヤリハットをなくすには事前に地図などで大きめのバンが通れるかどうか確認すること。左右の道路幅の確認をしながら安全な走行を心がけること。

ヒヤリハット報告書のテンプレート

ダウンロードをすれば無料で使用できるテンプレートをいくつかご紹介します。

出典:事故、ヒヤリ・ハット情報等の収集・活用の進め方 - 国土交通省大臣官房 運輸安全監理官室
出典:厚生労働省  「ヒヤリハット・想定ヒヤリ報告書

記入例がいくつかあるので参考にしながら簡単に作成できます。

出典:株式会社石井マーク 「ヒヤリ・ハット報告書

建設・設備工事・製造現場向けのヒヤリハット報告書です。PDF形式、無料で活用できます。

出典:西予市 「ヒヤリハット報告書

西予市が提供しているのは介護業界で活用できるヒヤリハット報告書です。記入例のPDFと合わせて活用してください。

まとめ

ヒヤリハットの事例を蓄積し、共有することで、事故につながりそうな要因を特定し、改善策を打つことができます。安全への意識を高めるためにも非常に役立つため、うまく活用して安心・安全・効率的に業務を行いましょう。

筆者紹介

株式会社スマートドライブ
編集部

株式会社スマートドライブ編集部です。安全運転・車両管理・法令遵守についてわかりやすく解説します。株式会社スマートドライブは、2013年の創業以来、「移動の進化を後押しする」をコーポレートビジョンに掲げ、移動にまつわるモビリティサービスを提供しています。SmartDrive Fleetは、1,700社以上への導入実績があり、車両に関わる業務の改善や安全運転の推進などに役立てられています。また、東京証券取引所グロース市場に上場しています。 SmartDrive Fleetは情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度「ISMS認証(ISO/IEC 27001:2013)」を取得しています。

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