【例文付き】安全運転宣言の書き方と事例を解説~社用車における安全運転の重要性
交通事故の防止は、企業のみならず、社会的にも大きな課題のひとつです。とくに、日常的に車両を活用して事業を行う企業・団体であれば、なおのこと安全運転に努めなくてはなりません。安全運転を重要な使命として、具体的にどのような行動を取るのか、宣言としてまとめたものが「安全運転宣言」です。
この記事では、安全運転宣言の書き方とポイントについて、例文を交えながら解説します。
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目次
社用車における安全運転の重要性
統計上では年々、交通事故の死者数が減っていますが、それでも大小合わせて全国で危険な交通事故が発生しています。企業にとって、負傷者を出したり、社会的な信用を失ったり、業務が遅延したりなど、大きな損失を受ける事故は確実に防止したいもの。最近では、どのような交通事故が多い傾向にあるのか、事故の原因は何か、統計データをもとに見ていきましょう。
まず、保有台数1万台あたりの人身事故発生件数に着目すると、事業用乗用車による事故件数はもっとも多く、トラックなどの事業用貨物の3倍にものぼります。
また、事故の原因としておよそ7割を占めていたのは安全運転義務違反で、その内訳を見ると、安全不確認、脇見運転、動静不注視など、意識の低下が事故を招いていたことがわかります。安全運転の強化を図るための手段としては、安全運転講習や勉強会、安全運転診断などがありますが、
この記事では、安全運転を社内外へ宣言し、安全運転への意識を高める「安全運転宣言」について次の項より解説します。
- 安全不確認・・・徐行や一時停止はしたが、安全確認が十分ではないこと
- 動静不注視・・・人や相手の車両を認識していたが、危険はないだろうと判断し、動静の注視を怠ること
- 脇見運転・・・運転中に前方、進行方向を確認せず、スマホや別の対象に注目してしまうこと
安全運転宣言とは
安全運転宣言とは、日々の業務において車両を使用する企業や団体が、交通安全への取り組みを強化するために、社内外へ向けて掲げた宣言のことを言います。
この宣言は、企業や団体が自らの社会的責任を果たすために、従業員や関係者の安全を最優先に考え、交通事故の予防や安全運転の推進に向けて、具体的にどのようなことへ取り組んでいるかを公言するものです。
また、安全運転宣言のほかにも、健康企業宣言など、企業が自らの取り組みや価値観を示すために行う宣言もあります。これらの宣言は、企業や団体が社会的な責任を果たし、持続可能な社会の構築に向けて積極的に貢献する姿勢を示す重要な手段となっています。
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安全運転宣言 例文や事例一覧
安全運転を推進するために宣言を行った企業の事例を紹介します。これらの宣言は、社内外の関係者に対して安全運転の重要性を訴え、具体的な行動指針を示すものです。
事例①株式会社沖一ハイヤー
沖一ハイヤーは、沖縄県に本社を構える観光ハイヤー専門会社です。車両をメインとした事業を提供している企業だからこそ、安全運転への取り組みを徹底し、自社の取り組みを社外に向けて宣言しています。
交通事故の防止は重大かつ緊急な社会課題であり、私たちハイヤー事業はお客様への観光案内を通じて社会に貢献することを使命としております。しかし、基本はお客様の安全な輸送が最重要であるということを再確認するとともに、交通事故を絶滅し、安全な交通社会を確保する事が、私たちの願いでもあります。
私たちは、プロドライバーとして交通法規を遵守し、他のドライバーの模範となる運転を心がけ、特に交通死亡事故の根絶を期すため、交通安全意識の高揚と交通マナー・接客マナーの向上を図り、安全運転第一で業務に精励するため、次の安全運転の基本5則を守ります。
安全運転基本5則
- 安全速度・交通ルールを必ず守る。
- 交差点の手前で減速し、また一旦停止する。
- 交差点では必ず安全を確認し、譲り合いの気持ちで運転する。
- お客様のシートベルト着用の声掛けをする。
- 一時停止で横断歩行者・二輪車の安全を守る。
以上の交通安全の基本を遵守し、プロドライバーとして絶対事故は起こさないを第一と認識し、強力に安全運転を推進していくことを全員で決意し、ここに宣言します。
引用元:交通安全宣言 | 沖一ハイヤー
事例② 株式会社ケーエスケー
医療用医薬品や医療機器の卸売、介護事業など、医療関連のサービスを提供しているケーエスケー。医薬品をお届けする際に車両を利用していますが、地域の医療に関わる会社だからこそ、安全運転における責任と行動指針を安全運転宣言で表明しています。
当社は、交通安全の取り組みを強化するため、「安全運転宣言」を制定しています。本宣言は、営業活動の手段として使用する車両が時には「危険」な乗り物となることを理解し、その上で医薬品を安全かつ迅速に供給するために制定するものであります。
- 常に交通法規を遵守し、思いやりとゆずり合いの心をもって運転します
- 走行中に携帯電話は一切使用しません
- 黄色信号では安全に止まれるような運転を心がけます
- 運転時には車両を事前に確認し、シートベルトを着用してから発進します
- 体調管理に努め、無理な運転はしません
- 夕暮れ時における早めの点灯、雨天時など視界が悪いときには点灯を心がけます
営業車両使用に関するルール
引用元:安全運転宣言 | 株式会社ケーエスケー
- 車両の清掃・整備・点検を行い、安全に運行できるよう万全の体制をとる
- 時間や心に余裕をもって、常に冷静かつ慎重な運転を心がける
- 駐車時はバックで駐車し、前進発進できるよう心がける
- 「だろう運転」ではなく「かもしれない運転」を心がける
事例③ 北海道農業共済組合
北海道を中心に複数の事業所を構えている北海道農業共済組合では、地域に密着しているからこそ果たすべき責任であるとして、安全運転に取り組んでいます。
当組合ではこのたび、交通安全への取り組みを強化するため「交通安全宣言」を制定いたしました。
地域とともに歩んできた当組合において、地域社会の一員として社会責任を果たすべく、役職員一丸となって交通安全へ取り組み、以下を宣言いたします。交通安全宣言
- 交通安全を最優先し、法定速度を遵守します。
- 交通マナーに心掛け、思いやりのある運転を行います。
- 運転中は、携帯電話の操作は一切いたしません。
- 車間距離を十分に取り、急発進や急加速はいたしません。
- 飲酒運転は、しません、させません、許しません。
車両使用の基本ルール
引用:交通安全宣言 | 基本方針 | NOSAI北海道(北海道農業共済組合)
- 駐車時はバックで駐車します。
- 無理な車線変更や割込み、あおり運転は絶対に行いません。
- "かもしれない"(危険予知)運転を心掛けます。
- 荒天候時の状況を把握し、危険を伴う場合は運転を中止させます。
- 出発前はアルコールチェックを実施するとともに、体調が優れないときは、無理な運転を控えさせます。
社内への交通事故の注意喚起の例文
社員に安全運転を徹底させ、交通事故を防ぐために用いる、注意喚起のメール例文を紹介します。社内に通達し、周知させることで、社員が安全運転に励むように促す効果があります。
社内への交通法規順守の依頼メール例文
件名:【交通法規順守のお願い】春の全国交通安全運動 取り締まりの件について
社員各位へ
お疲れ様です。総務部の○○です。
以下の内容にて、次週より春の全国交通安全運動による取り締まりが実施されます。
この期間においては、国道○号線交差点付近において違反車の取り締まりが行われますため、いつも以上に交通法規順守を心がけるようにしてください。安全運転は運転をするみなさんの安全を守るものでもあります。
何とぞ、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
交通安全週間取締まりに関する概要
・△△月△△日(月)〜△△月△△日(日)
公開取締り情報
・△△月△△日(月)〜△△月△△日(水)国道○号線○信号付近
違反対象・・・スピード違反、携帯電話を使用しながらの運転、信号無視、シートベルト未着用など
参考:警視庁ホームページ - 重点取締場所(一覧・地図)
社内への安全運転の協力依頼メール例文
件名:安全運転ご協力のお願い
社員各位へ
お疲れ様です、総務部の○○です。
2024年3月某日、当社の従業員が業務中に国道○号線において、一般車両に追突する事故を起こしました。
前方不注意による事故で、幸い、怪我人はございませんでしたが、一つ間違えば、大きな事故に発展していた可能性もあります。
今回の事故は、日常的に安全運転を心掛けていれば防止できた事故ですので、
今後、同じような事故を繰り返さないためにも、皆さまには交通法規を順守し、余裕を持った、安全な運転を心がけていただけますようお願い申し上げます。
安全運転宣言ステッカーやポスター
安全運転宣言の内容を日々思い出し、安全運転への意識を保つためには、普段から目に留まる場所へポスターやステッカーを貼るのも有効です。
安全運転宣言ステッカーは、安全運転宣言の内容がわかりやすく、簡潔にまとまっており、色や形が目立つデザインのものを選びましょう。色は赤・青・黄色・黒など原色がベストです。
参考例1:安全運転5則ステッカー
70mm×100mmの、程よいサイズ感で社内に貼っても邪魔にはなりません。黄色が目立つ、安全運転5則が記載されたステッカー。10枚1式参考基準価格(税別)は1,000円、販売価格(税別)は879円。
参考例2:安全運転の心得シート
社内で周知徹底をしたい安全運転の心得を記載したステッカー。600mm×450の大盤サイズで、両面シートテープが付属しています。事務所に貼って、出発前のドライバーに復唱してもらうなど、習慣化することで、より安全運転への意識が高まるかもしれません。社内でポスターを独自に作成するのもおすすめです。警視庁のサイトでは、飲酒運転撲滅や運転中のスマホ使用厳罰化など、安全運転啓発ポスターやリーフレットが無料でダウンロードできます。あわせて活用し、事故防止に役立ててください。
安全運転宣言制定における4つのポイント
安全運転宣言は、誰にでもわかりやすい表現と明確な言葉で簡潔に伝えることが重要です。共感を呼ぶ言葉を使用したり、具体的な行動を書いたりすることで、従業員や関係者に強い印象を与えることができます。
安全運転宣言を自社で策定する場合、以下のポイントを押さえて内容を検討しましょう。
1. 目的の明確化
なんのための宣言か、この宣言が誰に対し、何を約束するものか、目的を明確にします。
2. 目標の設定と宣言の明確化
「この宣言によって事故を年間0件にする」「自社を起点に地域全体で安全運転を推進していく」など、宣言によって何を成し遂げたいかを明確にします。このとき、難しい言い回しではなく、社内外の誰が聞いてもわかりやすい言葉を選びましょう。
運転とサービスが密接に関わる物流企業の場合は、「お客様のもとへ、早く、確実に荷物をお届けするためにも、交通安全への取り組みを強化し、全従業員が安心・安全な運行を心がける」なども良さそうです。
3.共感を呼ぶ内容を盛り込む
この宣言は社内だけでなく、社外に対しても公表するものです。そのため、誰もが共感できるような一文があると、関心が高まります。
【例文】
「地域に住む皆さまに、安心して心地よく過ごしていただくために、会社全体で安全運転へ取り組み、次の内容を守ることを宣言します」
4. 具体的な行動指針の設定
前項でご紹介した例文を参考に、安全運転に向けて実際にどのようなことを行うのか、行動指針をまとめます。
【例文】
交差点では必ず安全をたしかめる、法定速度は必ず守る、飲酒運転は絶対にしない・させない、運転中に携帯電話は絶対に触らない、など
まとめ
安全運転宣言は、社用車を使用する企業や団体にとって、自社の社会的責任を果たす、重要な取り組みの一つです。従業員や関係者の安全意識を高めるために、はっきりとわかりやすい内容と表現方法で制定し、交通事故防止に取り組んでいきましょう。