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アルコールチェック実施義務の対象者と対象外を解説

2022年4月1日に道路交通法施行規則が改正されたことで、白ナンバーの社用車を保有する事業者にもアルコールチェックが義務付けられました。アルコールチェックは、安全運転管理者が運転前後に目視とアルコール検知器を用いた測定で飲酒の有無を確認しなくてはなりません。では、対象者には社長や役員も含まれるのでしょうか?また、未成年などでそもそもお酒を飲まない人もチェックが必要なのでしょうか?この記事ではアルコールチェックの対象者と非対象者について解説します。

アルコールチェック実施義務の対象者と対象外を解説

3分でわかるSmartDrive Fleet Basic クラウド型アルコールチェック機能

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SmartDrive Fleet Basic クラウド型アルコールチェック機能の概要についてご紹介します。

アルコールチェック義務化対象者/対象外リスト

アルコールチェックが必要な対象者と、対象外の場合をそれぞれご紹介します。

関連記事:【2025年最新】アルコールチェック義務化とは?対象者や罰則、アルコールチェックの方法を解説!

アルコールチェック対象者

アルコールチェックの対象となるのは、事業所における業務のために車両を運転する人すべてです。ただし、業務として車両を運転しない人については対象外になります。

台数:白ナンバー車両を5台以上保持する企業、または乗車定員が11人以上の白ナンバー車両1台以上を保有する企業

職位:社長や取締役、役員、事務員、正社員、派遣社員、アルバイトなど、業務で運転を行う人は全て対象です。

車両種別:役員車、営業車、トラック、レンタカー、カーリース、従業員のマイカーなど、公道で業務利用するものは全て対象です。なお、フォークリフトなどの特殊車両は公道を走行しない車両のため、対象外となります

業界:運送業、建設業、介護(デイサービス)、運転代行業、そのほか業務で白ナンバー車両を使用する場合はすべて対象です。

タクシーやライドシェアで自家用車(白ナンバー)を使用する場合、アルコールチェック義務化の対象となります。2024年4月から開始されたライドシェアでは、運行管理者がドライバーのアルコールチェックを実施する必要があります。

関連記事:2024年4月より本格スタートした「ライドシェア」の現在地と課題

アルコールチェックが不要なケース

  1. 事業所ごとの自動車数が5台未満

事業所(本社や支店)ごとに使用する自動車の台数が5台未満である場合。たとえば、本社で3台、支店で2台など。

  1. 通勤のみ使用するマイカー

従業員のマイカーを通勤のみに使用する場合。業務には使用されないため、台数の算定に含まれません。

  1. 運行管理者を配置済み

運送業などにおいて、緑ナンバーで運行管理者が既に配置されている場合、白ナンバーが5台以上でも安全運転管理者の専任の必要はありません。

  1. 50cc以下の原動機付自転車

50cc以下の原動機付自転車は台数の算定に含まれないため、選任が不要。

  1. 法人内専用の車両使用

法人内で他部門間の移動にのみ車両を使用し、外部業務に使用しない場合。

  1. ナンバーのついていない特殊車両

ナンバーのついていない特殊車両(農耕用トラクター、フォークリフト、ショベルローダー等)については台数に算定に含まれません。

アルコールチェック義務化のこれまでのスケジュール

◆緑ナンバー

2011年5月より、事業用自動車による飲酒運転根絶を目的に、国土交通省が運送事業者で業務前に実施されていた点呼で、アルコール検知器を用いたドライバーの酒気帯びの有無確認をすることを義務付けました。

遠隔地にいるドライバーについては、携帯型アルコール検知器を携行させることが規定されていましたが、2013年12月に一部改正され、バス・タクシー・トラック事業者のドライバーが遠隔地で検査する場合は、出先営業所所属の運行管理者などの立ち合いが必要になりました。

概要:乗務の開始前、終了後等において実施することとされている点呼の際に、運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子を目視等で確認することに加え、アルコール検知器を使用することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認すること。

対象の事業者:

  • 一般旅客自動車運送事業者
  • 特定旅客自動車運送事業者
  • 一般貨物自動車運送事業者
  • 特定貨物自動車運送事業者
  • 貨物軽自動車運送事業者

※また、貨物自動車運送事業法第三十七条第三項の特定第二種貨物利用運送事業者も対象です。

◆白ナンバー

2021年6月、千葉県八街市で発生した白ナンバートラックによる飲酒運転事故を受け、同年8月に発表された「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」のなかで、安全運転管理者の確実な選任や乗車前後のアルコールチェックなどを推進することが発表されました。その後、2022年4月に施行された改正道路交通法により、白ナンバー事業者にも、安全運転管理者立ち会いのもと、アルコール検知器を用いた対面でのアルコールチェックが義務付けられました。

当初は2022年10月よりアルコールチェックが施行されることになっていましたが、半導体不足やコロナ禍による物流遅延などで事業者がアルコール検知器を入手することが困難となり、「当面の間延期」とされました。その後、警察庁は2023年6月に「白ナンバー」の車を使う事業者に対するアルコール検知器によるドライバーの飲酒検査を12月から義務化すると発表し、2023年6月から同年7月までパブリックコメントを募集。12月より正式にスタートしています。

ポイント

2021年11月

「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令」が公布され、2022年より、業務で運転を行うドライバーに対し、運転前後の飲酒の有無を確認することが義務付けられる。

2022年4月

道路交通法改正に伴い、事業で使用する白ナンバーの社用車・営業車を一定台数以上使用している企業や事業者に対して、当該ドライバーの酒気帯びの有無を目視などで確認し、その内容を記録する。

2022年10月

アルコール検知機を用いたアルコールチェックの義務化が開始予定だったが、半導体不足やコロナ禍の物流停滞などにより、延期。

2023年12月

2023年6月に警察庁から『「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」に対する意見の募集について』という掲題にてパブリックコメントが募集され、2023年12月より正式にアルコールチェック義務化の開始を発表。アルコール検知器を用いた酒気帯びの確認が必須化された。

関連記事:【2024年】アルコール検知器はいつから必要?4月?10月?

関連記事:白ナンバー(自家用車)のアルコールチェック義務化について

アルコールチェック義務化のルールや記録簿の保存期間

アルコール検知器を用いたアルコールチェックの実施内容は次のとおりです。

  • 運転前と運転後の2回、アルコール検知器を用いて酒気帯びの有無を確認する。
  • 酒気帯びの有無について計測結果を記録し、その記録内容を1年間保存する
  • アルコール検知器は故障や電池切れなどで使えないようなことがないよう、常時有効に保持する

アルコールチェック義務化における酒気帯びチェックのタイミングとルール

アルコールチェックの方法(対面)

原則として、アルコールチェックは運転前後の1日2回、対面で行います。ドライバーの顔色や呼気のにおい、声の調子、応答の様子などを目視で確認し、アルコール検知器を使用して計測を行います。これらの記録は記録簿へ記入し保管をしましょう。

アルコールチェックの方法(非対面)

直行直帰や出張など、遠隔地で業務を行うドライバーには、携帯用のアルコール検知器を所持させ、毎日運転前後に1回ずつ、確実に実施するように周知させてください。また、その際に、テレビ電話やアプリなどを活用し、管理者がオンラインで立ち会うことで不正やチェック漏れを防止することができます。深夜帯などで管理者が記録をすぐに確認できない場合、クラウドのシステムやツールと連携しておくなど、確認体制の運用ルールを設けておくと運用がスムーズです。

また、アルコールチェックの記録は、警察などへ提出することが義務付けられていませんが、業務の際に自社のドライバーが交通事故を起こしてしまった場合、記録の提出を求められるケースがあります。そのため、必ず記録は保存しておきましょう。

関連記事:アルコールチェックのタイミングはいつ?直行直帰の場合はどうする?シーン別に解説

関連記事:アルコールチェック義務化における酒気帯びチェックのタイミング

アルコールチェック後に記入する8つの必須項目

  1. 確認者名・・記録に立ち会った安全運転管理者、または副安全運転管理者の氏名を記入します。
  2. 運転者名・・アルコールチェックを行った運転者の名前をフルネームで記入します。
  3. 運転者の業務に係る自動車登録番号または識別できる記号、番号など・・運転者が利用する車のナンバーを記入。車の特徴などもあると尚良いでしょう。
  4. 確認の日時・・アルコールチェックを実施した日にち・時間・曜日を記入します。
  5. 確認方法・・アルコール検知器の有無や対面・非対面などアルコールチェックをどのように行ったのか記入します。対面でない場合は、「Zoom」や「スマホでの通話」など具体的な実施方法も書きます。
  6. 酒気帯びの有無・・結果的に酒気帯びか否かを記入します。
  7. 指示事項・・酒気帯びの有無以外に、体調不良など異変を感じた際は、必ず記入を。
  8. その他必要な事項・・注意事項や連絡事項などがあれば記入します。

指定のフォーマットはなく、上記項目が正しく記録できれば、紙、Excelシート、クラウドシステム、どのようなツールで記録・保存をしても問題ありません。自社で確実に運用ができるツールを利用してください。

関連記事:【テンプレート付き】アルコールチェック記録簿を簡単に!記入例解説

アルコールチェックをしなかった場合と義務違反があった場合の罰則

アルコール検知器によるアルコールチェックを怠っていた場合、安全運転管理者の業務違反に該当します。道路交通法などの法律には、直接的な罰則については現時点で設けられていませんが、安全運転管理者の業務違反が著しいと判断された場合、公安委員会より、安全運転管理者の是正措置命令や解任が命じられ、これに従わなかった場合、命令違反に対する罰則が科されるおそれがあります。(道路交通法第74条3第5項

また、アルコールチェックを行わず、運転者が業務中に飲酒運転を行った場合は、道路交通法の酒気帯び運転等の禁止違反として、代表者や運行管理責任者などの責任者も、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるおそれがあります。(道路交通法117条の2第1号)場合によっては刑事責任が科される可能性があるだけではなく、企業のマネジメント不足として、社会的信用を失う事につながりかねません。万全な体制を整えておきましょう。

出典:警視庁HP

関連記事:安全運転管理者の罰則金は50万円。飲酒運転の事故事例や罰則強化の背景を解説

酒気帯び運転・飲酒運転罰則

行政処分上、飲酒運転は次の3つに分類されています。

  1. 酒酔い運転(※) ・・・基礎点数は35点
    点数制度上、35点は前歴0回の人で免許取り消し処分(欠格期間3年)
  2. 酒気帯び運転(基準値:呼気1ℓ中のアルコール濃度が0.25mg以上)・・・基礎点数は25点
    前歴0回の人で免許取り消し処分(欠格期間2年)
  3. 酒気帯び運転(基準値:呼気1ℓ中のアルコール濃度が0.15mg以上0.25mg未満)・・・基礎点数は13点
    前歴0回の人で90日間の免許停止処分

※酒酔いとは、アルコールの影響により、車両の正常な運転が困難な状態を言います。
※運転免許が取り消された場合、新たに運転免許を受けることができない期間を欠格期間と言います。

出典:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警察庁Webサイト

飲酒運転に対する罰則

車両等を運転した者(運転者)

  • 酒酔い運転をした者は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転をした者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金

車両などを提供した者(事業所、管理者)

  • 運転者が酒酔い運転をした場合、5年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • 運転者が酒気帯び運転をした場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金

酒類を提供した者、または同乗した者

  • 運転者が酒酔い運転をした場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 運転者が酒気帯び運転をした場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金

なお、飲酒運転で人を死傷させた場合、刑法により「危険運転致傷罪」や「危険運転致死傷罪」として処罰を受けることもあります。飲酒運転や酒気帯び運転は違法であると理解をしていても、「少ししか飲んでいないから」「安全運転だから大丈夫」といった過信により飲酒運転事故を起こしてしまうと、刑事上の責任を問われるだけでなく、社会的信用の喪失や失職など、その後の人生にも大きな影響を及ぼすことになります。飲酒運転はしない・させないを徹底しましょう。

まとめ

アルコールチェックは業務で車両を運転するすべての人が受ける必要があります。実施していないことが公になった場合、企業が社会的な責任を問われることになりますので、必ず実施し、記録を1年保存できる運用体制を構築しましょう。

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筆者紹介

株式会社スマートドライブ
編集部

株式会社スマートドライブ編集部です。安全運転・車両管理・法令遵守についてわかりやすく解説します。株式会社スマートドライブは、2013年の創業以来、「移動の進化を後押しする」をコーポレートビジョンに掲げ、移動にまつわるモビリティサービスを提供しています。SmartDrive Fleetは、1,700社以上への導入実績があり、車両に関わる業務の改善や安全運転の推進などに役立てられています。また、東京証券取引所グロース市場に上場しています。 SmartDrive Fleetは情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度「ISMS認証(ISO/IEC 27001:2013)」を取得しています。

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