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アルコールチェック義務違反に対する罰則とは?罰則の内容を解説

現在は緑ナンバーの業務車両だけでなく、白ナンバーの社用車にも、日々の点呼時にアルコール検知器を使用した飲酒有無の確認と記録が義務付けられています。対象事業者および対象者であるにも関わらず、アルコールチェックを実施しなかった場合、どのような罰則が科されるのでしょうか。
本記事ではアルコールチェック義務化に関する罰則とその内容を詳しく解説します。

アルコールチェック義務違反に対する罰則とは?罰則の内容を解説

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アルコールチェック義務化の対象者

国土交通省の一般貨物自動車運送事業許可(運送業許可)を取得し、営業用として車両を使用する、トラックやタクシー、フォークリフト、バスなどの運送業や旅客運送業などの事業者(いわゆる緑ナンバー)は、2011年5月1日より、事業所にアルコール検知器の備え付けと点呼時のアルコールチェックの実施が義務付けられています。

一方、白ナンバーの車両を保有する次の事業者については、2021年6月に千葉県八街市で発生した白ナンバートラックによる飲酒事故をきっかけに、安全運転管理者によるアルコール検知器を用いたアルコールチェックが義務付けられました。この法改正により対象となった事業者は以下のとおりです。

・乗車定員が11人以上の白ナンバー車両1台以上を保有する企業。
・白ナンバー車両を5台以上保有する企業(事業所ごとの台数、オートバイについては0.5台として計算する)。

関連記事:【2025年最新】アルコールチェック義務化とは?対象者や罰則、アルコールチェックの方法を解説!

アルコールチェック義務化に関する法律

◆白ナンバーに関するアルコールチェック義務化の法律

道路交通法施行規則第9条の10(安全運転管理者の業務)

(1)運転前後の運転者に対し、当該運転者の状態を目視等で確認することにより、当該運転者の酒気帯びの有無を確認すること(第6号)。
(2)前記(1)の確認の内容を記録し、当該記録を1年間保存すること(第7号)

(1)の確認を、国家公安委員会が定めるアルコール検知器を用いて行うこと(第6号)。
(2)アルコール検知器を常時有効に保持すること(第7号)。

道路交通法施行規則第9条の10第6号の規定に基づき、(2)の国家公安委員会が定めるアルコール検知器は、呼気中のアルコールを検知し、その有無またはその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有するものとすること。

◆白ナンバーに関するアルコールチェック義務化の流れ

2021年6月28日、千葉県八街市で下校中の小学生の列に飲酒運転のトラックが突っ込むという、非常に重大な交通事故が発生しました。ドライバーが運転していたのは白ナンバーのトラックで、当時はアルコールチェックが義務付けられていませんでした。また、該当のドライバーが所属する事業者は安全運転管理者も選任していなかったといいます。このような飲酒運転による悲痛な事故を撲滅することを目的に、道路交通法施行規則が改正され、事業で使用する白ナンバーの社用車にも安全運転管理者による運転前後のアルコールチェックと測定値の記録・保管が義務付けられました。

アルコールチェック義務化の延期

しかし、アルコール検知器の使用によるアルコールチェックの義務化は当初、2022年10月から開始とされていましたが、半導体不足や新型コロナウイルス感染拡大による物流の遅延などにより延期になりました。延期検討の背景として、アルコール検知器の供給状況があると記載しています。実際に、世界的な半導体不足や全国から一斉発注があったことなどを背景に、2022年10月までに在庫を確保することが困難になっていました。

その後、コロナ禍が落ち着き、物流が安定してきたことから、2023年12月1日よりアルコール検知機を用いたアルコールチェックの運用が開始されています。

ポイント

2021年11月10日

「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令」が公布され、2022年より、業務で運転を行うドライバーに対し、運転前後の飲酒の有無を確認することが義務付けられる。

2022年4月1日〜

道路交通法改正に伴い、事業で使用する白ナンバーの社用車・営業車を一定台数以上使用している企業や事業者に対して、当該ドライバーの酒気帯びの有無を目視などで確認し、その内容を記録する。

2022年10月1日〜

アルコール検知機を用いたアルコールチェックの義務化が開始予定だったが、半導体不足やコロナ禍の物流停滞などにより、延期。

2023月12月1日

2023年6月に警察庁から『「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」に対する意見の募集について』という掲題にてパブリックコメントが募集され、2023年12月1日より正式にアルコールチェック義務化の開始を発表。アルコール検知器を用いた酒気帯びの確認が必須化された。

◆緑ナンバーに関するアルコールチェック義務化の法律

旅客自動車運送事業運輸規則第24条

4.旅客自動車運送事業者は、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であって、国土交通大臣が告示で定めるものをいう。以下同じ。)を営業所ごとに備え、常時有効に保持するとともに、第一項及び第二項の規定により酒気帯びの有無について確認を行う場合には、運転者の状態を目視等で確認するほか、当該運転者の属する営業所に備えられたアルコール検知器を用いて行わなければならない。

5.旅客自動車運送事業者は、第一項から第三項までの規定により点呼を行い、報告を求め、確認を行い、及び指示をしたときは、運転者等ごとに点呼を行った旨、報告、確認及び指示の内容並びに次に掲げる事項を記録し、かつ、その記録を一年間(一般貸切旅客自動車運送事業者にあっては、その内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第二十六条第一項において同じ。)を三年間)保存しなければならない。

貨物自動車運送事業輸送安全規則第7条

4.貨物自動車運送事業者は、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であって、国土交通大臣が告示で定めるものをいう。以下同じ。)を営業所ごとに備え、常時有効に保持するとともに、前三項の規定により酒気帯びの有無について確認を行う場合には、運転者の状態を目視等で確認するほか、当該運転者の属する営業所に備えられたアルコール検知器を用いて行わなければならない。

5.貨物自動車運送事業者は、第一項から第三項までの規定により点呼を行い、報告を求め、確認を行い、及び指示をしたときは、運転者等ごとに点呼を行った旨、報告、確認及び指示の内容並びに次に掲げる事項を記録し、かつ、その記録を一年間保存しなければならない。

国土交通省は、事業用自動車における事故削減を掲げ、事業用自動車に係る総合的安全対策委員会によりまとめられた『事業用自動車総合安全プラン2009』を踏まえ、旅客自動車運送事業運輸規則(1956年運輸省令第44号)および貨物自動車運送事業輸送安全規則(1990年運輸省令第22号)、関係通達の一部を改正しました。その中で、2011年5月1日より、点呼時に酒気帯びの有無を確認する場合には、目視等で確認するほか、アルコール検知器を用いてしなければならないことと明記しています。(旅客自動車運送事業運輸規則及び貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部改正)。

事業用自動車の運転者の飲酒運転を根絶する目的で、バスやタクシー、トラックなどの運送業など、有償で人や物を運ぶ事業者(緑ナンバー)に対しては、2011年5月1日よりアルコールチェックが義務化されたのです。

アルコールチェックに関する罰則

アルコール検知機によるアルコールチェックを怠っていた場合、安全運転管理者の義務違反に該当します。道路交通法などの法律には、直接的な罰則については現時点で設けられていませんが、安全運転管理者の義務違反が著しいと判断された場合、公安委員会より、安全運転管理者の是正措置命令や解任が命じられ、これに従わなかった場合、命令違反に対する罰則が科されるおそれがあります。(道路交通法第74条3第5項

また、アルコールチェックを行わず、運転者が業務中に飲酒運転を行った場合は、道路交通法の酒気帯び運転等の禁止違反として、代表者や運行管理責任者などの責任者も、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるおそれがあります。(道路交通法117条の2第1号)場合によっては刑事責任が科される場合があるだけではなく、企業のマネジメント不足として、社会的信用を失う事につながりかねません。万全な体制を整えておきましょう。

出典:警視庁HP

関連記事:安全運転管理者の罰則金は50万円。飲酒運転の事故事例や罰則強化の背景を解説

事業用自動車(緑ナンバー)におけるアルコール検知器を用いたアルコールチェックに関する罰則

緑ナンバーにおいては、2011年4月1日より、次の罰則が設けられています。

違反内容行政処分
アルコール検知器備え義務違反アルコール検知器の備えがなかった場合(備えなしとはアルコール検知器が1器も備え付けられていない場合をいう)・初違反 60日車・再違反 120日車
アルコール検知器の常時有効保持義務違反
①正常に作動しないアルコール検知器により酒気帯びの有無の確認を行った際に適用する。②正常に作動しないアルコール検知器であることを理由に酒気帯びの有無の確認を怠った場合に適用する。・初違反 20日車・再違反 40日車

酒気帯び運転と飲酒運転に関する罰則

行政処分上、飲酒運転は次の3つに分類されています。

  1. 酒酔い運転(※) ・・・基礎点数は35点
    点数制度上、35点は前歴0回の人で免許取り消し処分(欠格期間3年)
  2. 酒気帯び運転(基準値:呼気1ℓ中のアルコール濃度が0.25mg以上)・・・基礎点数は25点
    前歴0回の人で免許取り消し処分(欠格期間2年)
  3. 酒気帯び運転(基準値:呼気1ℓ中のアルコール濃度が0.15mg以上0.25mg未満)・・・基礎点数は13点
    前歴0回の人で90日間の免許停止処分

※酒酔いとは、アルコールの影響により、車両の正常な運転が困難な状態を言います。
※運転免許が取り消された場合、新たに運転免許を受けることができない期間を欠格期間と言います。

出典:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警察庁Webサイト

飲酒運転に対する罰則

車両等を運転した者(運転者)

  • 酒酔い運転をした者は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転をした者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金

車両等を提供した者(事業所、管理者)

  • 運転者が酒酔い運転をした場合、5年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • 運転者が酒気帯び運転をした場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金

酒類を提供した者、または同乗した者

  • 運転者が酒酔い運転をした場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 運転者が酒気帯び運転をした場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金

なお、飲酒運転で人を死傷させた場合、刑法により「危険運転致傷罪」や「危険運転致死傷罪」として処罰を受けることもあります。飲酒運転や酒気帯び運転は違法であると理解をしていても、「少ししか飲んでいないから」「安全運転だから大丈夫」といった過信により飲酒運転事故を起こしてしまうと、刑事上の責任を問われるだけでなく、社会的信用の喪失や失職など、その後の人生にも大きな影響を及ぼすことになります。飲酒運転はしない・させないを徹底しましょう。

さらに、自転車の飲酒運転も、飲酒の程度にかかわらず禁止されています。今までは酩酊状態で運転する「酒酔い運転」のみ処罰の対象でしたが、2024年11月1日より酒気帯び運転についても罰則規定が整備され重罰化されました。血液1mlにつき0.3mg以上または呼気1ℓにつき0.15mg以上のアルコールが検知された場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

アルコールチェック義務化のルールや記録簿の保存期間

アルコールチェッカーを用いたアルコールチェックの実施内容は次のとおりです。

  • 運転前と運転後の2回、アルコールチェッカーを用いて酒気帯びの有無を確認する。
  • 酒気帯びの有無について計測結果を記録し、その記録内容を1年間保存する
  • アルコール検知器は故障や電池切れなどで使えないようなことがないよう、常時有効に保持する

アルコールチェック義務化における酒気帯びチェックのタイミングとルール

アルコールチェックの方法(対面)

原則として、アルコールチェックは運転前後の1日2回、対面で行います。ドライバーの顔色や呼気のにおい、声の調子、応答の様子などを目視で確認し、アルコールチェッカーを使用して計測を行います。これらの記録は記録簿へ記入し保管をしましょう。

アルコールチェックの方法(非対面)

直行直帰や出張など、遠隔地で業務を行うドライバーには、携帯用のアルコール検知器を所持させ、毎日運転前後に1回ずつ、確実に実施するように周知させてください。また、その際に、テレビ電話やアプリなどを活用し、管理者がオンラインで立ち会うことで不正やチェック漏れを防止することができます。深夜帯などで管理者が記録をすぐに確認できない場合、クラウドのシステムやツールと連携しておくなど、確認体制の運用ルールを設けておくと運用がスムーズです。

また、アルコールチェックの記録は、警察などへ提出することが義務付けられていませんが、ドライバーが業務中に交通事故を起こしてしまった場合、記録の提出を求められるケースがあります。そのため、必ず記録は保存しておきましょう。

関連記事:直行直帰のアルコールチェックはどうする?出張や確認者がいない場合、タイミングについて解説

アルコールチェック後に記入する8つの必須項目

  1. 確認者名・・記録に立ち会った安全運転管理者、または副安全運転管理者の氏名を記入します。
  2. 運転者名・・アルコールチェックを行った運転者の名前をフルネームで記入します。
  3. 運転者の業務に係る自動車登録番号または識別できる記号、番号など・・運転者が利用する車のナンバーを記入。車の特徴などもあると尚良いでしょう。
  4. 確認の日時・・アルコールチェックを実施した日にち・時間・曜日を記入します。
  5. 確認方法・・アルコール検知器の有無や対面・非対面などアルコールチェックをどのように行ったのか記入します。対面でない場合は、「Zoom」や「スマホでの通話」など具体的な実施方法も書きます。
  6. 酒気帯びの有無・・結果的に酒気帯びか否かを記入します。
  7. 指示事項・・酒気帯びの有無以外に、体調不良など異変を感じた際は、必ず記入を。
  8. その他必要な事項・・注意事項や連絡事項などがあれば記入します。

指定のフォーマットはなく、上記項目が正しく記録できれば、紙、Excelシート、クラウドシステム、どのようなツールで記録・保存をしても問題ありません。自社で確実に運用ができるツールを利用してください。

関連記事:【テンプレート付き】アルコールチェック記録簿を簡単に!記入例解説

まとめ

対象企業は、ドライバーの乗車前後に必ずアルコールチェックを実施し、その記録を1年間保管することが義務付けられています。未実施だったり、数値を上回るにも関わらず運転させたりした場合、重大な飲酒運転事故を起こす可能性があるだけでなく社会的信用の喪失や業務停止など、非常に重い責任を課せられることになります。飲酒運転は絶対に見逃してはならない行為です。飲酒運転撲滅に向けて徹底した管理体制を構築しましょう。

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筆者紹介

株式会社スマートドライブ
編集部

株式会社スマートドライブ編集部です。安全運転・車両管理・法令遵守についてわかりやすく解説します。株式会社スマートドライブは、2013年の創業以来、「移動の進化を後押しする」をコーポレートビジョンに掲げ、移動にまつわるモビリティサービスを提供しています。SmartDrive Fleetは、1,700社以上への導入実績があり、車両に関わる業務の改善や安全運転の推進などに役立てられています。また、東京証券取引所グロース市場に上場しています。 SmartDrive Fleetは情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度「ISMS認証(ISO/IEC 27001:2013)」を取得しています。

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