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車両管理とは?メリットや導入方法についてわかりやすく解説

必要不可欠でありながら、流動的であるため管理が煩雑で手間がかかる車両管理。企業で車両を一台でも保有をしている場合、リスクマネジメントの観点からは必ず行わなくてはなりません。本記事では車両管理とは何か、その必要性と業務内容、効率化できる方法について解説します。

車両管理とは?メリットや導入方法についてわかりやすく解説

車両管理とは

車両管理とは、企業が保有する社用車(リース契約も含む)やトラックに関する業務全般のことを言います。その内容は、各車両とドライバーの情報、運転日報の取りまとめ、車両の点検や定期的なメンテナンス、事故後の対応、各車両の稼働率の把握、運行管理、車両台数の最適化など、非常に多岐に渡ります。

車両管理はなぜ必要なのか〜重要な4つの理由〜

車両とドライバー、企業を守るため

車両管理を行う最たる目的は、企業と重要な資産である従業員、保有する車両を守り、適切かつスムーズに業務を遂行するためです。正確な情報を取りまとめ、日々の状況を確実に把握することで、事故のリスクを軽減し、会社の信用を守りましょう。

ドライバーの安全を守り、事故を防止するため

訪問診療や訪問介護、電気工事やメンテナンス、従業員や生徒の送迎、生鮮商品の配送、営業マンの顧客訪問など、様々な用途で車両が使われていますが、車両は常に流動的で、管理者の目が届く範囲にいないため、ドライバーの行動を正しく把握することは非常に困難です。

とはいえ、管理不足により重大な事故が発生してしまうと、被害者はもちろん、加害者のドライバーである従業員自身も肉体的・精神的な苦痛を受けてしまいます。また、会社としても社会的信用を失い、事故後の対応などで大きな損失を受けることになります。リスクマネジメントの観点からも車両管理は不可欠なものだと言えるでしょう。

リスク回避によるコストの最適化

大なり小なり、事故を起こしてしまうと、賠償金や保険金の支払い、車両の修理代だけでなく、業務がストップしたことによる損害も少なくはありません。日々、正しく車両管理を行うことでリスクを回避し、円滑な業務遂行を支援できるのです。

法的責任

車両管理は言い換えると、企業にとってリスクマネジメントのひとつです。適切な管理を行っていれば、事故につながりそうな原因や要因を見つけ、改善への施策を打つことができ、リスクを回避することも可能です。

ドライバーが交通事故を起こしてしまうと、ドライバー自身が損害賠償責任を負うことになりますが、雇っている側の企業にも、民法第715条にもとづき、損害賠償責任を問われることになります。ただし、この中では「使用者が被用者に選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであった時は、この限りでない」と記されており、日々、しっかりと車両管理業務を行い、ドライバーへの教育を徹底していていた場合は例外となるケースも。そうした観点からも車両管理業務がいかに重要であるかがわかるのではないでしょうか。

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車両管理業務において大事な3つのポイント

車両管理業務をする上で特に大事なのは「安全運転管理者の選任」「車両管理規定の作成」「管理部門の明確化」の3点です。

安全運転管理者の選任 

「道路交通法施行規則」では、乗車定員11人以上の自動車1台またはその他の自動車を5台以上所有している事業者は、安全運転管理者を選任しなければならないと定められています。安全運転管理者の資格要件は下記の通りです。

  • 年齢が20歳以上 (副安全運転管理者をおく場合は30歳以上)
  • 自動車の運転の管理に関し、2年以上の実務経験有※副安全運転管理者は20歳以上で管理経験1年以上または運転経験3年以上の方が対象
  • 過去2年以内に公安委員会から解任命令(道路交通法第74条の3)を受けていないこと
  • 「酒酔い・酒気帯び運転」「飲酒運転にかかわる車両・酒類等の提供・同乗」「麻薬等運転」「ひき逃げ」「過労運転」「放置駐車違反」「積載制限違反」「無免許・無資格運転」「最高速度違反」「自動車使用制限命令違反」といった交通違反をした日から2年を経過していないこと

安全運転管理者等の選任(解任)や変更があった際は、選任・変更日から15日以内に自動車の使用本拠地を管轄する警察署を通じて、公安委員会に届け出る必要があります。

車両管理規程の作成

先述したように、民法第715条では『損害に対する直接的な加害者でない雇用主がその損害賠償責任を負う』と規定されています。つまり、ドライバーが業務中に交通事故を起こしてしまった場合、企業は損害賠償責任を負う可能性が高くなるということです。また、道路交通法においても、社有車の運用についてさまざまな規則を設けることを課しています。

以上の背景から企業は車両管理規程を定め、注意喚起を日頃から行い、危機管理・リスク管理をしておく必要があります。そのため車両管理規程には以下の項目を盛り込み、確実に運用できるルールを構築しなければなりません。

  • 安全運転管理者の選任について
  • 車両管理台帳の作成
  • 運転者台帳の作成
  • 安全運転の確保
  • 車両の保守点検及び整備
  • 保険の付保
  • 社用車の私的使用について
  • マイカーの業務使用
  • 事故時の対応

管理部門および車両管理責任者の明確化

車両を適切に管理するには、管理部門および車両管理責任者を明確する必要があります。一般的には、車両の定期点検、保険、車検や運転者の免許更新時期などの動産情報は総務部や管理部といった部門が一括で管理しています。一方、車両の利用に関しては、実際に社用車を利用している営業やサービス部門や営業企画・経営管理が管理するなど、担当部署が異なるケースも少なくありません。

各々の部門で管理を行う理由は、車両を適切に利用することで移動に係るコストを削減したり、業務フローを改善したりするためです。車両管理においては、車両の「何を管理するか」という目的によって、管理部門および車両管理責任者を明確化し、確実かつ効率的な管理を実施しましょう。

車両管理のおもな業務3つ

ドライバーの管理

ドライバーの情報から免許の内容、ドライバーの運転適正や体調管理、安全運転教育、労務管理など、ドライバーに関するあらゆる情報を管理します。

動態管理

日々の安心・安全な運行を実現するには、車両の状況を常に把握し、改善を続けることが重要です。運転日報からでも1日の稼働状況はある程度、確認することができますが、より高度かつ適切に管理を行うには、車両にGPSを搭載した機器などを取り付け、リアルタイムで把握することです。それにより、見えなかった課題や改善点などが明確になり、より適切な車両管理が実現するでしょう。

車両管理台帳(車両管理表)の作成

車両管理台帳とは、企業が使用している車両の登録番号や使用状況、保険の加入状況や期限、車検日時などの情報をまとめたものを言います。必須項目は次のとおり。

  1. 車両を特定するための情報(車種・ナンバー・登録番号など)
    ・車両本体に関する項目
    (車名・登録年度・車体番号・型式・色・定員数・登録番号)
    ・購入や配車に関する項目
    (購入/廃車年月日・購入先・新車/中古車区分・リース期間)
  2. 車両の状況を把握するための項目
    ・車検・整備に関する項目
    (車検有効期限・定期点検記録・整備工場名・整備状況)
    ・使用・管理に関する項目
    (所属・運転者名・管理者・変更履歴)
    ・修理・事故履歴
  3. 保険情報
    ・自賠責保険 (保険年月日、保険会社、証券番号、保険金額)
    ・任意保険 (保険会社、証券番号、保険期間、保険代理店、保険内容)

車両管理台帳を作る2つの方法

エクセルでまとめる

管理者がゼロベースで作成することも可能ですが、手間隙がかかるうえ、項目の抜け漏れが発生する場合も。確実な管理を実現したいなら、無料でダウンロードできるテンプレートを活用しましょう。「エクセル 車両管理台帳 テンプレート」で検索をすればさまざまなタイプのテンプレートが見つかりますので、ダウンロードをし、必要に応じて項目を追加するなどしましょう。

車両管理システム

車両管理にまつわるすべての情報を一元管理し、車両管理システムです。

車両やドライバーの情報をまとめるだけでなく、動体管理や安全運転診断など、提供されているシステムによって機能は異なりますが、動産管理を含め、高度な管理を実現します。

車両管理システムを利用するメリットとは

車両管理システムを利用することで得られるメリットは、大きく分けて「営業生産性の向上」「コスト削減」「サービスの質向上」「事故削減」の4点です。

1)営業生産性の向上

車両管理システムを利用するとドライバーの位置情報がタイムリーに把握できるようになるため、各ドライバーに電話で状況確認をすることなく、管理画面上で最適な車両を特定し、早急な指示出しが可能に。また、訪問先・訪問ルートが可視化されるため、訪問できている顧客・できていない顧客の可視化や効率のよい訪問活動ができているかを分析し、適切な施策立案も行えます。

2)コスト削減

車両台数が増えれば、それに伴い維持費も増えていきます。車両管理で実際の稼働状況を把握することで、現在の保有台数が本当に適切であるのか、これから車両を追加する必要があるのかを正しく判断することができます。車両の稼働状況(どの日、どの時間に何台稼働しているのか)を可視化できれば、余剰車両や稼働率が低い車両を洗い出し、車両台数を見直すことで大きなコスト削減が実現できるでしょう。

3)サービスの質が向上

今、誰がどこにいるのか、どういう状況なのかをリアルタイムで把握できれば、顧客からの適切な急な依頼やトラブル発生時にも、近くにいる担当者をアサインするなどして、無駄なくスムーズな営業活動を推進します。それによって無駄な移動を無くしてサービスの質を向上したり、顧客満足度を向上させたりできます。

4)事故削減・安全運転指導

ハインリッヒの法則では、重大事故の背景には危険要因が数多くあるとされています。ヒヤリハットの情報をできるだけ迅速に把握し、対応策を講じれば事故の芽を摘み、安全な運行を実現できるのです。

GPSをはじめ、加速度センサーやジャイロセンサーを搭載したIoTデバイスを取り付けることで、そこから収集した走行データを解析し、ドライバー一人ひとりにおける運転のクセ(急ハンドル・急加速・急減速等)を可視化すれば、各々の運転傾向に応じた具体的な安全運転指導が行えます。継続して安全運転指導を実施していけば、事故の削減や安全運転意識向上につなげることができるでしょう。

車両管理システムを導入している業界や職種の導入事例

製品によってやや異なりますが、車両管理システムには通常、GPSを使った現在位置の把握・走行距離・走行時間の自動集計、スマートフォンアプリによる運転日報の簡単入力、走行データをエクセル等でレポートを作成して車両稼働率の把握、ドライブレコーダーの動画による危険運転の確認などのさまざまな機能が搭載されており、目的や用途別に大手企業から中小企業まで幅広い業種で導入されています。

物流・運輸

生鮮食品の配送や、軽貨物事業者など、様々な企業様にクラウド車両管理システムは利用されています。「傭車の現在位置がリアルタイムに地図上で確認できず、配送が計画通りなのか分からない」「到着が遅れていることで荷受け拠点のオペレーションが滞ってしまう」「車両が拠点を出発したら、現在位置がわからない」といった課題も、車両管理システムを導入することで解決できます。

車両の現在地をパソコンやスマートフォンアプリの地図上でリアルタイムに把握することができ特定の地点への接近・到着を共有したり、効率的な配送を行ったりすることで、業務を効率化できるとポジティブな声が上がっています。

大阪デリバリー株式会社
「社員の安全を一番に考えたい」大阪デリバリーが車両管理で実現したいこと

株式会社デイリートランスポート
協力会社の運行状況を把握することでお客様からの配送状況のお問合せに即回答できる環境を構築!

不動産・建設

時期や時刻によって現場が変わったり、事務所を経由することで無駄な移動が発生したり、運転日報を提出するためだけに事務所へ立ち寄ったり…。
アナログ管理による無駄をなくし、本来の業務へ集中してもらうためにも車両管理システムは有効です。訪問記録を自動化する機能を活用し、「現場への直行直帰」を可能にすることで稼働時間を短縮し、働き方改革を推進している企業も。ご参考ください!

株式会社タープ不動産
迅速な対応でお客様との信頼関係を築き、稼働の可視化で働く環境を改善。

株式会社泉パークタウンサービス
残業時間の20%削減を目標に掲げ、働き方改革を推進。 日報機能を活用しドライバーの手書き記入・管理部門の帳票集計作業が不要に!

医療・介護

訪問診療、訪問介護の需要は年々、右肩上がりに伸びています。そんな中、より迅速かつサービス品質を上げるために「リアルタイムに位置情報を把握したい」「効率よく安定した訪問をしたい」というニーズが高まっています。クラウド車両管理システムであれば、追加診療ができるか、医師に電話で連絡できるタイミングかを迅速に確認できますし、送迎の効率化や医師の労務管理などにも役立ちます。

医療法人社団杏月会 伊勢原駅前クリニック
限られたリソースの中で訪問件数を最大化する車両管理とは?訪問診療における活用事例。

有限会社One Up
シガーソケットにさすだけで簡単に車両管理システムを導入! 勘と経験に頼らず営業活動の効率化・安全運転の促進を実現。

自治体

自治体主導でごみ収集や除雪作業などの住民サービスを提供するには、民間の委託事業者との調整が発生します。委託内容のブラックボックス化を避け、健全な運営を行うためにも、車両管理システムの機能をつかって現状を可視化し、分析を進める自治体が増えているようです。

相楽東部広域連合
車両管理システム×レポートサービスで迅速かつ有効な業務改善を実現!自治体の活用方法とは

車両管理システムはどう選ぶべき?

車両管理システムは、自社の課題解決ができる目的・用途にあったものを選択しましょう。車両管理システムを検討する際に、次のポイントをご参照ください。

自社の課題、用途・目的は何か

「安全運転の強化と事故防止」「生産性向上」「コスト削減」「収益向上」など、いますぐに解決したい課題と長期的に実現したい目標を書き出し、それを改善できる機能を備えたシステムをピックアップしていきましょう。

使いやすさ、取り入れやすさ

車両管理システムには、デジタコやドラレコとの一体型、スマホアプリ、シガーソケット型など、いくつかタイプがあります。ドライバーと管理者の両者が使いやすいこと、誰でも一目で見て情報がわかりやすいこと、簡単に取り付けができることなどを考慮したうえで選択してください。

「IT点呼サービス」「アルコールチェック」法令遵守の観点

近年より、酒気帯び運転防止による罰則が強化され、2022年4月にはアルコールチェックが義務化されました。飲酒運転による事故を起こしてしまうと、企業の信頼は一変に失落してしまいます。緑ナンバー、白ナンバーに限らず、事故を減らすためにはアルコールチェックを確実に行い、管理者が確認をして記録を保持することが重要です。そのためにも、これらの機能があるとチェック漏れがなくなり、危険運転の防止にもつなげることができるでしょう。

車両管理システムで業務効率化とリスクマネジメントを!

冒頭でも説明したように、車両管理業務は多岐にわたるうえ、いくつかの部署で管理をしているケースも多く、非常に煩雑です。システムやアプリなどを活用し、誰もが状況を把握することができれば、リスクを軽減しつつ業務を高度化できます。

事故を防ぎ、働き方改革を推進するためにも、こうしたシステムを取り入れ、企業と従業員を守っていきましょう。

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