車両管理システム×レポートサービスで迅速かつ有効な業務改善を実現!自治体の活用方法とは?
- 業種
- 自治体
- 管理車両台数
- -
- 事業内容
- 教育、環境、福祉等
- 地域
- 京都
- 活用目的
- コスト削減 / 法令遵守
- 利用デバイス
- シガーソケット型
普段、生活の中で当たり前のように利用している無料のサービス。これは、その地域に暮らす人々がより快適に生活できるようにと、自治体が住民の生活を様々な角度でサポートしているからこそ、受けられるものです。
今回はゴミ処理における課題を解決するために、車両管理システムとレポートサービスを活用し、業務改善に力を注いでいる相楽東部広域連合さまの事例をご紹介します。行政としての先進的なお取り組みを進める相楽東部広域連合さまに、導入後の効果や今後の展望についてたっぷりと語っていただきました。
適切な費用算出のためのデータ収集と分析
--まずは、相楽東部広域連合さまの役割についてお教えてください。
私は総務課の会計管理者兼環境課長として、おもに予算執行に関する支払業務を担当しています。また、一昨年前から、相楽東部広域連合管内の笠置・和束・南山城、三町村のゴミ処理に係り、処理業務施設の運営が継続に向けた地元の方と調整を行い、これを踏まえた今後のごみ処理の方向性を見据え、基本方針の検討・策定をしています。
これまで積み残しとなっていた課題を整理し、それと併せて地域の方々と処理施設の再稼働に向けた諸条件の調整を進めてきました。また、休止期間においても家庭からの排出されるごみの処理は待ってくれませんから、再稼働が実現するまでの間、緊急避難として民間業者に業務委託するための調整も私の担当です。
--ゴミ管理業務に関してですが、具体的にどのようなことを対応されているのでしょうか。
まずは、増え続ける一般廃棄物の処理費用の適正化を図る必要がありますが、廃棄物を処理するため収集運搬の手段の確保と中間処理の委託先の検討はもとより、適正な価格ラインを洗い出すには、データ収集とデータ分析が必須でした。何もない状態では、業務委託について民間廃棄物処理業者さんとの調整を図ることができませんので。
--処理費用も、年々右肩上がりだと伺っています。
そうですね。地域の人口減によって全体的な処理量は減っているものの、施設の運転管理費、施設の老朽化に伴う補修の維持管理費がかかってしまうため、逆に処理費用は増えているんです。最近では、年間で2億円以上もの額が施設運営費としてかかっていました。
特に、この地域は家屋が密集しておらず、移動時も山間部を通ります。そうなると、移動時間が長くなり、ゴミの収集にも時間がかかってしまう。距離に見合った収集量、作業時間だとは言えません。
こうした状態によって、同程度の規模感で人々が密集している地域と比べると、若干割高になってしまうのです。
車両管理システム導入前の課題
--ここからは、車両管理システム導入前の課題感についてさらに掘り下げてお伺いしたいと思います。相楽東部広域連合さまは一般廃棄物処理委託業者と委託契約を結ばれていますが、課題の一つに、運行状況が確認できない、請求の根拠となる情報が担保しづらいと伺っています。具体的にどのような問題があったのでしょうか。
相楽東部広域連合が、旧相楽郡東部じんかい処理組合(三町村の広域組織)で建設した相楽東部クリーンセンターを引き継ぎました。しかし、各町村は個々に収集運搬が許可された民間委託業者へ発注をかけていたので、収集運搬経費が町村によって異なっていたのです。それに加え、地域性の問題や一般廃棄物処理施設の運転そのものが高コストであることなど、あらゆる課題が山積していましたが、まず見直すべきは業務委託に係るコストの削減だと考えました。施設運営の委託と収集運搬業務をある程度一つにまとめるなどして、コスト削減と業務効率化が実現できる方法を考え、進めようとしていたのです。
現在はじんかい処理組合は解散し、これを広域連合が引継ぎ処理対応をしていますが、実作業は委託業者に一任しているため、収集日は指定していても、収集の仕方やゴミの総量は委託業者まかせ。つまり、行政から手離れしていたことで、委託内容がどんどんブラックボックス化してしまったのです。
ゴミの収集は、住民の方々に指定のゴミのステーションに廃棄いただき、収集車がそのステーションを回りながら回収します。その基本部分は分かっていても、実際にどのルートで回っているのか、どの時間帯に、どの程度のごみが収集されるのかがわからない。また、ステーション自体を変更するのは簡単ですが、それによって大幅なルート変更が出たり、無駄な時間が発生したりする可能性も考えられる。
ただし、これらは推測なので、実態がわからない。こうした状況を踏まえて、まずは現状をしっかり把握しようと思い、GPSが搭載されていて走行ルートが確認できるデバイスやシステムの導入をいくつも比較検討しました。
SmartDrive Fleetを導入した理由
走行ルートに関しては、一日を通してではなく“今”の状況がわかるものが必要でした。そうした観点で検討していたところに、高精度な探知機能で精緻にデータを取得できるシステムとして目に入ったのがSmartDrive Fleetです。他にも求める機能を搭載したシステムを提供する企業がありましたので、全部3社くらいに照会をかけましたが、最終的にコスト面や機能面を踏まえて決めました。SmartDrive Fleetにしよう、と。
--先ほど伺ったお話からすると、もっとも重視すべき課題はコストの適正化だったのでしょうか。現在のコストが本当に適正であるのかは、検討材料がなければわかりませんし。
委託業者に任せきりの状態でしたので、適正な配車も、各地域におけるゴミの量さえも分らなくなっていまして…。把握していたのは集約した統計だけでした。
とはいえ、私どもは行政組織ですので、無駄に税金を使うわけにはいきません。導入前は現コストが適正価格の評価方法が距離と時間と車両台数しかなく、正しい判断ができていなかったため、積算の根拠となる正確なデータが早急に必要でした。
導入してからは車両の走行ルートが可視化され、どの地域で何台の車両とスタッフが稼働すべきか、どれくらいの時間がかかるのかが具体的に把握できるようになり、どこをどのように改善すべきかが明確になりました。それに、正しいデータがあれば、委託業者と対等に議論して、コストの妥当性について互いに納得のいく答えが出せるようになるのです。上層部に説明する際にも、明確な数字をデータとして提出できるようになったので決済がスムーズに。収集運搬が、イメージできていなかった部分を含め、実際見える形として手にすることができたことによって、確認できた正しいデータの力に圧倒されています。
−−現在はSmartDrive Fleetのほかに、オプションのモビリティレポートサービスもご利用いただいています。他社様と検討されている際に、このようなレポートのサービスのご提案はありましたか。
データはただ取得するだけでは何の意味も持ちませんので、データを集めたら当然その結果を集計して分析し、活用をしなければなりません。ですが、私たちも小規模なため、作業可能な職員は限られています。スマートドライブではシステム(SmartDrive Fleet)だけでなく専用のレポート作成サービスがあるので、自分たちでレポートを作成する手間もかからないし、業務改善のポイントが明確になるので本当にありがたいなと感じています。これも導入を決めたポイントの一つです。こんなに低価格でレポートの作成から分析まで対応いただけるサービスってなかなかありませんしね。
民間委託業者との協力で乗り越えた導入時のハードル
―車両の稼働状況が可視化されるため、稀に「監視しようとしている」と現場から反発の声が上がることも少なくはありません。その点は問題ございませんでしたか。
はじめは、「私たちを信用してないのか」「なぜ取り付ける必要があるのか」という声もありましたね。ただ、不満や反発をそのままにするわけにいきませんから、委託業者さんに対して、「行政としては、適切な価格を出すために根拠となるデータが必要です。双方が、根拠あるデータをもとに適正な業務量を積算できる状態にしなければ、双方の主張が食い違ったまま。税金を無駄にしないためにも、協議の場につくためにも、なんとか協力いただきたい」と伝え、納得していただきました。今では互いにデータを突き合わせながら、正確な運行データによって稼働状況や実際の諸経費のすり合わせをしています。
感情的な交渉ではなく、根拠があってこそ公平な状態で交渉ができるものです。それが実現できるようになったのは大きな進歩ですね。
―データをもとに話し合いができるので、委託業者側の方々も不必要な交渉をする必要がなくなったのではないでしょうか。
運行データの突き合わせには、事委託業者側の運転日報も必要です。SmartDrive Fleetならその日の稼働状況が正しくデータで表現されるので、たとえ委託業者さんが日報を提出し忘れても突合し、擦り合わせることができます。また、GPSによって、どの車両がどの時間帯にどのエリアにいるのかが整理できるようになりましたので、導入前は収集日を三町村でバラバラにしていたところ、まとめて収集できる日もあると判断できるようになりました。効率化を図るためには、今はまだ手間がかかる部分がありますが、データ積み上げることで具体的な数字が見えてきました。今後の目標も立てやすいので助かりますね。
これらのデータ取得は、委託業者さんが協力してくれて初めてできることです。実際にかかっている経費を行政も把握しなくてはなりませんから、その点においても根拠があることで正しい判断を下し、適正な価格で処理できるようになりました。
−−その他、導入する際にハードルとなった点はございますか。
現場の心理的ハードルが最難関でしたので、そこをクリアできてからはとくに問題は発生していません。ダッシュボードの上に置くタイプだと、運転中もつねにデバイスが目に入ってしまうので気になってしまうし、死角が増えて安全管理の面で負荷をかける可能性がある。でも、シガーソケットに挿すタイプですので、ドライバーへの影響は一切ないんです。それが導入のハードルを下げたと言っても過言ではないでしょう。
業務のPDCAに大活躍しているモビリティレポートサービス
−−導入後の効果をしっかりと検証していくために、10月から半年間ほど、レポートをご提出させていただいております。このレポートですが、どのようにご活用されていますか。実際の改善策についても伺いたいです。
レポート作成でまずご依頼したのは、毎日の三町村における収集運搬の記録を全てデータで可視化してほしいということ。これは、第一段階として日ごと、週ごと、ゴミの種類、車両によって、どのように走行ルートが変化するのかを調べるためでした。丸々1カ月、連日のように三町村すべてが稼働しますので、かなりのデータ量があったのではないでしょうか。ここ半年のレポートから、ある程度、状況が掴めるようになったのは大きな一歩です。
ゴミの量が少ない場合は車両を減らすことができますし、車種も変えることができますので、地域性やゴミの種類に合わせて柔軟に変更しています。また、調査からは、人口が多い少ないに関係なくゴミの種類別の一定量が見えてきました。
ゴミ収集ステーションの位置を載せたマップレポートは、住民のみなさん方と収集ルートや新たな集積所を検討する際に資料としてお渡ししています。効率化を図るための検討材料として、貴重なデータになっていますね。走行ルートの図化は、改善に向けた重要な資料となります。
--こちらのレポートは別に、いつ・どこを走っていたという車両の稼働実績のレポートでお渡ししています。
伝票と合わせて、それぞれごみの種類や車両一台が回収できる量を明確にし、各地域におけるゴミの総量を把握するために利用しています。この辺りは小規模な地域ですので、基本は2tのパッカー車(ゴミ収集車)で回りますが、2台以上必要な地域もあるんですね。それを、データに記載されたゴミの出かたを見ながら、パッカー車2台で間に合うのか否か、配車計画を立てます。ゴミが想定より多くでるのであれば、ルートの変更や配車日も検討しなくてはなりませんから。
収集車に載せられるゴミの積載量は決まっています。ですから、日、時間、種別に現在のゴミの量を把握して、もっと良い収集方法はないか、さらなる効率化を目指していきたい。今後、人口が減っていくつかの集落をまとめることも考えられますので、その時がきても状況に応じた適切な対応ができるようにしていきたいと考えています。
--マップのレポートで全体感を掴んでいただいて、稼働実績レポートでゴミの量と車両台数について把握する。2種類のレポートをもとにディスカッションを重ねながら、最適化を目指していただければと思います!
車両管理システムで進化した行政の仕事
--導入後、データを活用してどのような施策を実施されましたか。
新たに収集個所を増やしてほしいという意見が上がっていたので、マップのレポートを活用して検討した結果、4月から集積所の追加が決まりました。集積所の設置については、各町村担当者が地域に任せている部分もあり、それがどこでどのように増えているかまでは把握しきれていなかったのです。
それが、ルートの中で明示されたことで、私たちも現場を把握したうえでご相談できるので、地域の区長さんたちへの確認もしやすくなりました。このように、データをもとにしたPDCAを回し、地域の要望にも迅速かつスムーズに対応・判断ができるようになったのは非常に効果として大きなことです。
--実際に車両管理システムを導入して改善に取り組む中で、行政や自治体は車両管理サービスをどのように活用できるとお考えでしょうか。
民間業者へ委託する場合、委託先業者が経費を見積もる際に参考となるデータを資料で提供しなければならないんですね。今までは見積もりを作成するためのデータや資料がなく、きちんとした形で提示できていませんでした。都会の街中のように複雑な道を通ることもありませんから、“なんとなく”走行ルートはイメージできていたんですが。ただ、実際にイメージが図化されることによってそれが確証に変わりましたし、エリアごとに距離や時間が数字で明確に提示されることで、想定ではなく確実な情報を説明できる。予算を組む際に、非常に役立っています。
--今後はこうしたデータを活用し、税金を無駄にしないための経費の見直し、統廃合も含めてルートの見直しを含めたサービス改善に取り組んでいかれるのでしょうか。
今までは、収集に係る距離や時間が不明確でしたから、何をどのように改善すべきか、何から手をつけるべきかがわかりませんでした。町村ごとに距離も時間も違いますが、負担はそれぞれの町村です。
それが、今は根拠となるデータがあることで公平に配分できるし、無駄もなくなりました。一日で処理できる量だとわかれば、同日にまとめることで作業員の稼働時間を減らすこともできるでしょう。そしてそれがさらなるコスト削減につながっていきます。このように、データを積み上げながら、業務や予算をもっと最適化していきたいと考えています。そして今後、高齢化や人口減少の波がきても、正確なデータをもとに、必要に応じて収集ステーションの設置や撤去を検討し、住民の方々が暮らしやすい環境を作っていきたいですね。
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導入事例をまとめてご紹介
SmartDrive Fleet を使って業務効率化や労務管理、
安全運転推進などを実現している成功事例をご紹介します。