【カーリース車の事故対応マニュアル】保険・リース会社への連絡から修理までの手順を解説
「駐車場に車を停めようとバックした際に擦ってしまった」「もらい事故でぶつけられた」
自損事故からもらい事故、擦る程度の事故から車が全損するほどの大きな事故。車を運転している以上は常に事故のリスクがつきまとうものです。本記事では、カーリース契約の車を運転していて事故が発生した場合の適切な対応や、事故発生による違約金や契約への影響など、カーリース車での事故に関する情報をまとめてご紹介します。
社用車で事故を起こしてしまったら -チェックリスト付き対応マニュアル-
SmartDrive Fleet導入実績
事故によるリスクや対応フロー、事故防止策をご紹介。事故対応チェックリスト付きで実際に事故を起こしてしまった際にも役立ちます。
目次
カーリース車の事故対応手順
事故を起こした場合の対応手順
- 救急車を呼ぶ(必要に応じて)
- 警察や保険会社、カーリース会社へ連絡をする
- 事故状況の記録をとる
リース会社別の事故時の対応
サービス | 事故時の対応方法 | 連絡先 |
---|---|---|
コスモMyカーリース | 契約期間中について | コスモ石油カスタマーセンター 0120-530-372 |
Honda Monthly Owner | よくあるご質問 | 緊急時コールセンター 0120-123-607 |
おトクにマイカー 定額カルモくん | メンテナンス・事故・故障について | 定額カルモくんサポートデスク |
オリックスレンタカー | 事故が起きてしまったら? | 損保ジャパン 事故・故障受付センター 0120-256-110 |
KINTO | 『 事故・盗難 』 内のFAQ | 東京海上日動・KINTO事故受付センター0120‐137‐160 |
カーコンカーリース | 故障・事故について | カーコンカーリースコールセンター 0120-29-5353 |
被害者を救護し、安全確保のため車と人を移動させる
カーリース契約であるか否かに関わらず、万が一交通事故にあってしまった場合、何よりも優先すべきは被害者の救護です。相手が怪我をしていないか確認をし、後から症状が出ることも考え、負傷がなくても救急車を呼びましょう。
また、赤信号で停車中に後方から追突されたなど、もらい事故にあった場合も自分の状態を確認し、必要に応じて助けや救急車を呼びましょう。
次に、後続車や周りの歩行者、自転車などを巻き込まないよう、車両と怪我を負った人(怪我人がいた場合)を路肩や安全な場所へと移動させます。この時、車両はハザードランプを点灯させるなどして、事故車両であることがわかるようにします。
警察や保険会社、リース会社へ連絡をする
それから、各所へ連絡をして事故の報告をします。道路交通法第72条第1項では、交通事故にあった場合、運転者や同乗者は直ちに運転を停止し、負傷者を救護し、道路における危険を防止するなど、必要な措置を講じることが定められています。どんな軽度の事故であっても、相手が大丈夫と言ったとしても、自分が事故を起こした場合は加害者としての義務があるため、必ず警察へ報告をしてください。
到着を待っている間、怪我をしている人がいれば声がけや応急処置をしますが、怪我人がいない場合は保険会社へ事故報告をします。加害者であれば相手型への賠償のために、被害者であっても後から自身の過失が発生するなど自分の保険を使わなければならないため、事故が発生したら保険会社に連絡をしましょう。
次にカーリースを契約している会社へ連絡をします。カーリースの車を利用している場合、所有者はカーリース会社になりますので、擦ったり、建物にぶつけたりした場合も必ずカーリースの契約会社に連絡を入れましょう。また、就業中であれば会社への報告も忘れないように行います。
当事者同士の話し合いは、話が進まないなどトラブルになる可能性があります。事故が起きた際の手続きや対応は基本的に保険会社を介して進めていくことになりますので、相手と連絡先などの情報交換は必要ですが、自身で示談などの交渉はしないでください。
事故の状況を記録する
過失割合によって保険料や賠償金額が変わってくるため、事故の状況を詳細に記録しておくことは重要です。スマートフォンのカメラで損傷箇所を複数枚、撮影しておきましょう。損傷部分の状態をメモしておくのも有効です。また、事故前後の様子を明確にして原因を特定するためにも、ドライブレコーダーの映像は重要な資料になります。録画データを確認し、保険会社に提出できるようにしておきましょう。
カーリース事故による修理と保険
任意保険を活用する
自賠責保険は「自動車損害賠償責任保険」の略称で、自動車損害賠償保障法第5条において、被害者の救済を目的に、全ての自動車の加入が義務付けられています。相手が死傷した際に被害者への補償としてあてられますが、その補償内容は次のように上限が設けられています。
・被害者一人について死亡・後遺障害・・・3,000万円
(常時介護の時は4,000万円)
・傷害による損害・・・120万円
一方、任意保険は、被害者への補償(対人・対物)と加害者への補償が含まれます。簡単に言うと、自賠責保険でカバーされない部分を補償するものです。自賠責保険と違い、任意保険は加入の義務がありませんが、加入しておいた方が万が一の事故に備えることができますし、補償されない損害分をカバーできるため、リスクマネジメントの面でも安心です。
任意保険の補償内容には、対人賠償責任保険や対物賠償責任保険、人身傷害保険、車両保険、自損事故保険、搭乗者傷害保険などに加え、弁護士費用特約やロードサービスなどのサポートもあり、いざという時に非常に便利です。
保険請求と注意点
先述したように、強制加入となっている自賠責保険は、あくまで対人賠償、つまり相手が負傷した際に支払われる補償のみのため、ガードレールや電柱などにぶつけて車両が破損した際の対物賠償、事故を起こしたドライバーの怪我の補償、自動車本体の補償は含まれません。なお、もらい事故の場合は相手に100%の責任があることを前提に、損害賠償を請求できます。
契約している車両が事故を起こした場合、任意保険についてはおもに次のような補償内容があります。事故発生時には、それぞれ加入している保険とその内容について確認しましょう。
対人賠償責任保険
自分が運転していた車によって、他者を死傷させ、法律上の損害賠償責任を負った場合、自賠責保険で支払われる限度額を超える損害賠償額に対して保険金が支払われる保険のこと。
対物賠償責任保険
自分が運転していた車によって、他者の車やガードレール、塀などの財物に与えた損害に対して、法律上の損害賠償責任を負った場合、保険金が支払われる保険のこと。店舗や相手の所持品だけでなく、電車などの公共物にも適応されます。
人身傷害保険
運転者や同乗者が死傷した場合に、怪我への治療費や休業損害などを補償する保険のこと。
車両保険
事故などで自分の車が損傷した際や、盗難された際などに損害を補償する保険のこと。
法人名義で契約できる通販型自動車保険とは — 特徴とサービス比較
事故を起こした場合の今後の保険料
自動車保険には、保険料の割引率や増額を決定するための等級制度があります。
新規契約時は6等級からスタートして、一般的には1年間事故を起こさないと一つ等級が上がります。等級が上がるほど、保険料が割引されるため、次年度以降の保険料が安くなります。
しかし、保険事故を起こしてしまうと、等級が下がるため、保険料が増えます。具体的には、3等級ダウン事故で保険料が約1.53倍になると言われています。たとえば、その年の保険料が100,000円だった場合、事故を起こしてしまうと、その次年度は約153,000円を支払うことになります。
ただし、保険を使っても等級が下がらない、つまり保険料に影響を与えない「ノーカウント事故」も存在します。人身傷害保険や搭乗者傷害特約、ファミリーバイク特約、自転車傷害特約などの保険金のみ支払われる事故がノーカウント事故に該当します。保険会社によって定義が異なるため、契約前に必ず内容を確認しておきましょう。
参考:3等級ダウン事故と1等級ダウン事故、ノーカウント事故の違いとは?|三井住友海上
全損によって廃車になった場合は「強制解約」
リース契約をしている車両が事故で全損し、修理をしても元のように走行が困難となった場合は廃車扱いになります。通常、リース契約は期間内に車両を貸し出し、契約期間満了とともにリース車両を返却することになっているので、廃車となった場合はその時点で強制解約となります(通常は契約期間内に途中解約をすることができません)。こちらについては契約時の約款を必ず確認してください。リース契約が解除となった場合、中途解約金が請求されることになります。違約金は契約内容によって異なりますが、おもに次の4項目に関する金額を支払うことになります。
・残りのカーリース期間のリース料金
・契約時に設定していた車の残価の合計
・解約手数料
・事務手数料
単独事故やもらい事故、当て逃げなど、さまざまなケースを考慮し、カーリースを契約する際は、車両保険などの任意保険が含まれたプランを契約しておくと安心です。カーリース向けの特約などもあるため、利用シーンや利用回数などに応じて検討してみましょう。
もらい事故で全損になった場合の中途解約金、違約金はどうなる?
ご自身に過失がないにも関わらず、リース車両が全損してしまった場合でも残りのリース契約は解約となり、中途解約金や違約金の支払い義務が発生するケースが多いです。またリース契約の種類にもよりますが、車の残価や事務手数料などもこのタイミングで一括で支払う必要もあるでしょう。
以下のように自分に過失がないような、「もらい事故」の場合は、加害者側に発生した中途解約金、違約金を損害賠償として請求することができます。
- 後方衝突:停車中や減速中に、後ろから来た他の車にぶつけられてリース車が全損した
- 交差点での衝突:信号無視や停止義務違反などでぶつけられてリース車が全損した
- 車線変更中の衝突:自分が車線変更を行っている最中に、他の車が適切な注意を払わずに自分の車にぶつかってリース車が全損した
- 駐車中の衝突:駐車中に他のドライバーが操作ミスを犯し、停められた自分の車にぶつかって全損した
ただし、上記のようなもらい事故の場合でも、加害者側との損害賠償の交渉、示談交渉については保険会社が代行できません。そのため、示談交渉を弁護士に依頼するケースもあります。自社が契約している任意保険に、弁護士費用特約があるかは必ず確認しておきましょう。まだ任意保険に加入していない場合は、掛け金は増えますが弁護士費用特約が存在する任意保険を選ぶようにしましょう。
修理できる場合は自己負担で対応し「契約は続行」
リース車両は原状回復での返却が義務付けられていますので、損傷したら必ず修理をします。契約しているプランにもよりますが、事故の際の修理費用については通常、リース料金に含まれず、自己負担になります(後述するメンテナンスリースで契約する場合は、故障・修理の対応が含まれている場合があります)。なお、事故による修理を行う際は、自分で対応をせず、リース会社に報告をしましょう。修理をすることで再び走行が可能になる場合、カーリースの契約は続行され、契約している任意保険の中で修理費を補填することもできます。
また、リース契約中に車両を傷つけ、修理をせずにそのままの状態で返却した場合、ヘコミや擦り傷など軽度であっても修理費用が別途発生する可能性があります。
カーリース事故対策と契約のポイント
カーリースには、大きく分けてファイナンスリースとメンテナンスリースの2種類のプランがあります。
ファイナンスリース:車両(付属品を含む)代と課税費用、自賠責保険、登録手数料がリース会社の負担となり、それ以外の任意保険や点検整備、メンテナンスは契約者本人の負担となるリース契約。
メンテナンスリース:ファイナンスリースの内容に加え、任意保険、メンテナンス、オイル・タイヤ・バッテリー交換、修理、車検、定期点検など、車両の点検や修理も含めたアウトソーシングサービス色が強いリース契約。
自分で任意保険や点検、メンテナンスを行いたい人であれば、ファイナンスリースの方がコストを抑えることができます。
一方メンテナンスリースはファイナンスリースよりやや金額が高くなるものの、修理やメンテナンス、車検などが含まれるため、管理による手間と負担を軽減することができます。車を日常的に利用する場合は、いざというときに備えられるメンテナンスリースの方がおすすめです(ただし、内容は契約プランによりますので申込みの際にご確認ください)。
事故対策とリース契約選択のポイント
事故を防止するには法定速度を守る、交差点では必ず安全を確かめてから走行するなど、日頃から安全運転を心がけることはもちろんのこと、事故防止の対策として安全装置が搭載された車両を利用するのも一つの手です。事故は自損事故からもらい事故、互いの不注意による事故など、大小さまざまなシーンで起こり得るものです。契約するプランのサポートや補償内容を確認し、万が一の事故に備えておきましょう。
車の利用頻度、利用時間、利用目的に応じてどのようなリスクが考えられるか、リスクに対してどのような契約なら対応できるかを洗い出し、ライフスタイルに合わせたプランを選んでください。