役員専用の社用車「役員車」は導入すべき?役割とおすすめ車種7選
役員車と聞くと、多くの人が黒塗りの高級感漂う車両を思い浮かべるのではないでしょうか。本記事では、「なぜ役員車が必要なのか」「どのくらいコストがかかるのか」「どのように選べばいいのか」など、役員車の導入を検討する際に必要な情報をまとめました。
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役員車とは?その役割とメリット
役員車とは
「役員車」とは、企業や団体が会社の役員や経営陣を送迎するために使用する専用の車両のことをいいます。役員の移動を快適かつ効率的にサポートする用途に特化しているため、その他の社用車と分けて管理される場合が多いようです。また、企業のイメージアップや信頼性向上に着目し、外観や内装が洗練された高級車が選ばれたり、専任の運転手がいたりするケースもあります。
役員車を導入する4つのメリット
役員車は単なる移動手段にとどまらず、安全の確保やイメージ向上、節税対策など、多くのメリットがあります。
1. 移動効率が上がる
役員は日々、多忙なスケジュールをこなしているため、交通手段に合わせて予定を調整するのは大きな手間と負担になりますが、専用の役員車を導入することで、公共交通機関の利用やタクシーの手配が不要になり、移動時間を短縮できます。
また、役員車に専属の運転手がいれば、役員は移動中に会議資料の確認や電話会議の実施、スケジュール確認など、移動時間がそのまま業務時間として活用できるようになり、経営全体の効率性も向上します。
2. 企業イメージを向上させる
役員車の車種や状態は、そのまま企業のイメージを表す要素のひとつにもなります。その理由は、取引先や顧客先への訪問時に高級感のある車両で訪問することで、相手に対する信頼感や安心感を与えることができるためです。「見た目の印象」が取引や交渉に影響を与える場合もあるため、企業規模や企業イメージを考慮した役員車を選びましょう。
3. 役員の負担軽減
役員車は多忙なスケジュールをこなす役員の身体的・精神的負担を軽減する役割も担います。とくに、1日の中で移動が多い時や慣れない土地での移動が必要な場合、公共交通機関やタクシーを乗り換え、乗り継ぎは不便さやストレスを感じさせてしまいます。
専属の運転手がつき、快適な車内環境が整えられている役員車は、役員がリラックスした状態で移動できるため、移動による疲労を最小限に抑え、業務に集中させたり、訪問先での会議や取引で良いパフォーマンスを発揮したりすることが期待できます。
4. 節税対策
役員車の導入は、適切な経費処理を行うことで節税対策にもつながります。車両の購入費用またはリース費用、燃料費、メンテナンス費用、点検費用、保険料などを法人経費として計上できるため、課税対象となる利益を減額し、法人税の納税額を抑えることも可能です。また、車両を購入する場合、普通車であれば減価償却として経費計上ができます。自動車の大きさや種類、用途などにより、税務上の法定耐用年数は新車の普通自動車の法定耐用年数は6年、軽自動車は4年と定められています。
一方、私的利用分については適切に区分しなければ税務リスクが発生する可能性があるため、利用記録の管理を徹底しましょう。
役員車を導入する際の注意点
役員車の導入には注意すべき点もいくつかあります。
業務利用と私的利用についてルールを明確にする
役員車は基本的に業務で使用するものですが、利用者が限られることもあり、私的利用が発生しやすいと考えられます。私的利用を防止するためには、使用時間や距離に応じて業務と私用を区別する、就業規則などで明文化するなど、ルールを定めることが重要です。
経費処理は、法人税法や消費税法にもとづいて適切に行う必要があります。車両購入費、リース代、燃料費、保険料などは経費として計上できますが、私用利用分は対象外となる場合があるため、利用記録を残し、適切な管理を行うことで税務リスクを最小限にとどめましょう。位置情報から取得できる走行データは、管理にかかる負担を軽減することができるため、車両管理システムの導入も合わせて導入することもおすすめです。
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専任の運転者をつけるか検討する
役員車には、安全運転を遵守し、信頼のできる専任の運転手を雇うケースが多いようです。役員自らが運転することも可能ですが、専任の運転手をつける理由は、役員の業務効率化や安全を維持し、負担を軽減したり、役員が事故を起こすリスクを回避したりするためです。高い運転技術を有するプロのドライバーであれば、安心・安全な移動が可能になります。
運転手つきのハイヤーサービスにアウトソーシングする手段もありますので、役員車の保有形態と合わせて検討しましょう。
通常の社用車よりコストが高くなりやすい
役員車は高級感のある車種が好まれるうえ、こまめな洗車やメンテナンス、運転手の手配など、購入から維持管理のコストが高くなりやすい傾向にあります。いくら業務効率化や企業イメージ向上のためといっても、役員車のコストが経営を圧迫してしまっては意味をなしませんので、どの拠点に何台の役員車が必要か、どのような保有形態とすべきか、長期的に運用を維持していけるのかなど、利用シーンや利用目的、コストを考慮したいうえで導入を検討しましょう。
役員車導入のコスト管理と運用方法
役員車の導入にかかる内訳や中長期的な運用方法についてご紹介します。
購入時の初期費用と維持費の内訳
役員車は、一般的な社用車と同様に、車両の購入費をはじめ、保険料や車検費用、メンテナンス費用といった維持費がかかります。役員車を導入したのに、ほとんど使用しないといった状況に陥らないよう、事前に必要な台数を割り出しておきましょう。
◆役員車を購入した場合の主な費用◆
初期費用
・車両購入費
高級車の場合、購入価格が数百万円から1,000万円以上となることもあります。なお、中古車を選べば、初期費用を削減できます。
・オプション費用
本革シートや高精度なカーナビ、ドライブレコーダー、高級オーディオシステムなど、装備を追加することで、数十万円のコストが加算される場合があります。利用する役員へ事前にヒアリングし、予算を踏まえたうえで必要なものを検討しましょう。
・登録費用
車両の登録に必要な税金や手数料です。車両重量税や自動車取得税などが含まれ、数万円から十数万円程度が目安です。
・初年度の自動車保険料
車両の価格や使用用途によりますが、高級車の場合は特に高額になることがあります。保険料は年間10万円以上が一般的です。
維持費用
・燃料費
車両の燃費性能と年間走行距離によって大きく異なりますが、ハイブリッド車の場合は燃費が良く、ガソリン車に比べコストを抑えることができます。
・車検費用
法定点検と整備にかかる費用。一般的な車種で10万円〜20万円ですが、導入する役員車により高額となることがあります。新車購入の場合、初回車検は3年後、その後は2年ごとに発生します。
・メンテナンス費用
定期的なオイル交換やタイヤ交換などにかかる費用。高級車を選んだ場合、諸部品や作業工賃が高くなる傾向があり、年間数十万円のメンテナンス費用が発生することも考えられます。また、黒い車両は汚れやキズが目立つため、格式を保つためにこまめな洗車が必要です。
・保険料
自動車保険は毎年更新が必要です。利用頻度や車両価格に応じて、保険料は10万円〜数十万円が目安です。
・駐車場代
企業が都心部に拠点を構えている場合、月額数万円以上の駐車場代が必要になることがあります。役員車専用のスペース確保も重要です。
・税金
自動車税(排気量に応じて年間3万円〜10万円程度)や重量税が発生します。これらは毎年支払う必要があります。
リースや中古車、外部サービスを利用する選択肢もある
役員車は必ずしも購入する必要はなく、リース契約や認定中古車を活用することも可能です。リース車両は、初期費用を抑えつつ、月額固定費用で車両を利用できるため、経費管理も容易です。中古車を選ぶ場合は、信頼できる販売業者から保証付きの車両を選ぶのがおすすめです。また、利用頻度が低い場合や、専任運転手の人件費を抑えたい場合は、運転手つきのハイヤーサービスを契約する方法もあります。
関連記事:今さら聞けない、社有車をリースにするメリット・デメリット
中小企業でも役員車を導入すべき?
管理の手間暇や高級感のある車両を保持することを考慮すると、役員車=大手企業が利用するものという印象が強くなるかもしれません。しかし、中小企業においても役員車を導入することで、役員の時間管理や移動効率が向上し、結果、経営全体の効率化につながる場合があります。リースや中古車を活用することで初期投資を抑え、節税効果が期待できる方法もありますので、企業規模や導入費用、運用費とのバランスを考え、検討してみましょう。
役員車の選び方のポイント
役員車を選ぶときのポイントとおすすめの車種をご紹介します。あくまで一例として、自社に合った車を検討する際の参考にしてください。
ポイント1 メーカー・ブランドの選定
ブランドは、役員車の選定において重要な要素のひとつです。格式が高い有名ブランドが好まれやすく、日本国内ではトヨタ、日産、ホンダといった大手自動車メーカーが安定的に支持されており、メルセデス・ベンツやBMWなどの海外メーカーも、安全性能や高級感を理由に人気があります。
もし自社が自動車メーカーと取引がある場合は、取引先をはじめとする関連企業との関係性にも配慮が必要です。競合メーカーの社用車を導入し、関係者の心証を損なうことがないよう、細心の注意を払いましょう。
ポイント2 安全な走行に必要不可欠な性能
役員車に求められる性能は、安全性能、燃費性能、快適性能の3つです。衝突回避システムや運転支援機能などの最新技術を備えた車種は、役員の安全確保に役立ち、長距離移動が多い場合は、低燃費のハイブリッド車や電気自動車を選ぶことで、運用コストを抑えつつ、役員自らが環境への配慮を行っている姿勢を対外的に示すこともできます。
ポイント3 良い印象を与えるデザイン・グレード
デザインは企業のイメージを左右する要素にもなります。高級感のある内外装を持つ車種は、取引先や顧客に好印象を与えるため、洗練されたデザインを選ぶことも重要なポイントです。
役員車におすすめ!7つの車種
ここからは役員車として特に高い評価を受けている車種をご紹介します。高級感と燃費性能、快適性を兼ね備えた高級セダンをリストアップしましたので、ご参考ください。
1. トヨタ・クラウン
トヨタのクラウンは、長年にわたり国内トップクラスの高級セダンとしての地位を築いてきました。その魅力は、スマートながらも高級感あるデザインと抜群の乗り心地です。
ハイブリッド技術が搭載した最新モデルでは、燃費性能と環境性能が大幅に向上し、さまざまな衝突回避支援機能を搭載した先進の安全装備「Toyota Safety Sense」により事故のリスクを大幅に低減します。広々とした車内空間と静粛性が、役員の移動中の快適性を保証してくれるでしょう。国内メーカーならではの優れたアフターサービスも、選ばれる理由の一つです。
2. トヨタ・センチュリー
トヨタ・センチュリーは、日本が誇る最高級セダンで、御料車をはじめ国内外のVIPが愛用する車種です。職人技が光る手作業で仕上げられた外装と、重厚感のあるデザインが特徴。静粛性に優れたV8ハイブリッドエンジンが搭載され、ドライバーと乗客に静かな移動空間を提供します。後席の広さや装備の充実度は特に高く、役員車として必要な品格と快適さを備えています。信頼性の高い国内ブランドでありながら、圧倒的な存在感を放つ一台です。
3. トヨタ・アルファード
トヨタ・アルファードは、ミニバンながら高級感あふれるデザインと快適な室内空間を誇り、役員車として人気の高い車種の一つです。広々とした車内にはリクライニング可能なエグゼクティブシートがあり、後部座席の居住性はセダンを超える快適さを提供。最新の安全装備や高い走行性能も兼ね備えており、長距離移動でも疲れにくいのが特徴です。役員の移動だけでなく、来客の送迎にも最適で、多用途に活躍するモデルです。
4. レクサス・LS
レクサス・LSは、国内外で高い評価を得ているラグジュアリーセダンです。流麗なデザインと最先端のテクノロジーを組み合わせ、品格と現代性を両立しています。ハイブリッドシステムによる静かでスムーズな走行性能と、上質な内装材が織りなす快適な車内空間は、役員車に相応しいと言えるでしょう。また、レクサスならではの手厚いサービスとブランドの信頼性も大きな魅力です。
5. BMW 7シリーズ
BMW 7シリーズは、ドイツの技術力が詰まったラグジュアリーセダンで、卓越した運転性能と快適性を両立しています。洗練されたデザインとハイテクなインテリアが、乗る人にプレミアムな体験を提供します。最新のドライバーアシスト機能やハイブリッドモデルの環境性能も魅力です。後席の快適さや細部まで配慮された装備が、役員車としての高い基準を満たしています。
6. メルセデス・ベンツ Sクラス
メルセデス・ベンツ Sクラスは、世界中で高級セダンの代名詞とされるモデルです。高級感あふれるデザイン、最先端の安全技術、そして圧倒的な静粛性と快適性が特徴。マッサージ機能付きの後席や最新のインフォテインメントシステムなど、乗員の満足度を極限まで高める装備が充実しています。役員車としてのステータス性も高く、国内外での移動を格調高くサポートします。
7. アウディ A8 L
アウディ A8Lは、ロングホイールベース仕様により標準モデルよりもさらに広い後部座席空間を実現したフラッグシップセダンです。贅沢なレッグルームやシートリクライニング機能、マッサージ機能付きシートなど、後席の快適性を追求した装備が充実しています。また、最新のドライバーアシスタンスシステムやハイブリッド技術により、安全性と環境性能も高水準です。エレガントなデザインと静粛性の高さが企業の品格を象徴し、長距離移動や接待にも対応できるため、役員車に相応しい一台です。
まとめ
役員車の導入には多くのメリットがある一方で、購入費や維持費を含むコスト管理や企業イメージを考慮して選定する必要があります。信頼できるブランド、高性能なモデル、そして自社のニーズに合った一台を選ぶことで、役員の移動効率や企業価値を最大化することができます。役員車の導入を本格的に考えている管理者さまは、本記事で紹介した導入の検討や選定のポイントをぜひ、ご参考ください。