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日本では1分間に1件以上交通事故が発生!?交通事故について調べてみた

「スマホでゲームをしながら車を運転していて気づいた時には手遅れでした...」
自動車は日々進化し続けているにも関わらず、今でも毎日のように、このようなやるせない交通事故のニュースを目にします。実際のところここ数年で交通事故の件数は減っているのか、また何が原因で交通事故が発生しているのか、気になったので調べてみました。

交通事故の件数や詳しい内訳等は、警察庁より交通事故の発生状況という統計が定期的に公開されていますので、今回はこちらをベースに交通事故の現状をまとめていきます。

日本では1分間に1件以上交通事故が発生!?交通事故について調べてみた

テレマティクスサービスを活用した事故削減への取り組み

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平成27年は1年間で約53万件の交通事故が発生

昨年(平成27年)1年間の交通事故の状況については以下のようになっています。(警察庁の平成27年における交通事故の発生状況より)

  • 発生件数 : 53万6,899件
    • 死亡事故:  4028件
    • 重傷事故:  3万7,012件
    • 軽症事故:  49万5.859件
  • 死傷者数:  67万0,140人
    • 死者数:  4,117人
    • 負傷者数:  66万6,023人
      • 重傷者:  3万8,959人
      • 軽傷者:  62万7,064人

*「死者数」 : 交通事故発生から24時間以内に死亡した人数のこと。
*「重傷」 : 交通事故によって負傷し、1箇月(30日)以上の治療を要する場合。
*「軽傷」 : 交通事故によって負傷し、1箇月(30日)未満の治療を要する場合。

1年間で53万6,899件ですので、1日平均だと約1635件。実際は月ごとに件数は違うものの、平均すると毎日1600件以上の交通事故が起こっていることになります。1時間に66件、1分間に1件以上というペースであることを考えると、すごい数ですね。

とはいえ、実はここ十数年の中では最も少ないというのだから驚きです。以下は平成元年以降の交通時の発生件数・死傷者数・負傷者数の表になります。資料には昭和23年以降のデータが載っているので、もっと昔の状況も知りたいという方はそちらをご確認ください。

交通事故の発生件数のピークは平成16年の95万2,720件。それ以降は年々少しずつ減少しており、ここ2年間は60万件を切りました。11年の間で約40万件減ったことになります。死者数や負傷者数に関してもピーク時に比べると半分以下、もしくは半分近く減っています。

平成(年)発生件数(件)死者数(人)負傷者数(人)
661,36311,086814,832
2643,09711,227790,295
3662,39211,109810,245
4695,34611,452844,003
5724,67810,945878,633
6729,46110,653881,723
7761,79410,684922,677
8771,0859,943942,204
9780,4019,642958,925
10803,8829,214990,676
11850,3719,0121,050,399
12931,9509,0731,155,707
13947,2538,7571,181,039
14936,9508,3961,168,029
15948,2817,7681,181,681
16952,7207,4361,183,617
17934,3466,9371,157,113
18887,2676,4151,098,564
19832,7045,7961,034,652
20766,3945,209945,703
21737,6374,979911,215
22725,9244,948896,297
23692,0844,691854,613
24665,1574,438825,392
25629,0334,388781,492
26573,8424,113711,374
27536,8994,117666,023

交通事故の類型内訳 - 最も多いのは追突事故

次に具体的にどのような事故が多いのか、交通事故を事故類型別に見ていきましょう。

交通事故の中でもっと件数が多いのは、追突事故。ここ10年ほどで緩やかに減少してはいるものの、平成27年でも19万6,868件発生しています。全体の約36%なので、交通事故のうち3件に1件以上が追突事故ということになります。

その次が出会い頭衝突事故で13万0,723件。この2つを合わせて全体の60%を超えます。

出典 : 平成27年における交通事故の発生状況

交通事故の主な原因 - 安全運転義務違反が全体の75%

何が原因でこんなにもたくさんの交通事故が発生しているのか、気になりますよね。

法令違反別の件数を調べてみると、最も多いのが安全不確認による事故で15万5,446件(平成27年)。次いで脇見運転の 8万5,601件動静不注視の5万9,044件と続きます。

これらはすべて安全運転義務違反に含まれるもので、この他の安全運転義務違反もすべて含めると全体の約75%を占めるほどに。(全法令違反51万0,050件のうち、38万5,782件が安全運転義務違反)

安全義務違反とは道路交通法70条に反したものが該当します。

『車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。』(道路交通法70条「安全運転の義務」)

出典 : 平成27年における交通事故の発生状況

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交通事故が最も多い都道府県は愛知県

より細かく、都道府県別だとどこが最も交通事故が発生しているのかも見ていきましょう。以下のデータはSBIホールディングスの交通事故発生ランキング(都道府県別)を参照しています。こちらにはさらに詳しいデータが掲載されていますので、関心がある方はチェックしてみてください。

■事故発生件数が多い都道府県ベスト5(平成26年)

順位都道府県事故発生件数(件)事故発生率(%)人口10万人当たりの交通事故死者数(人)車保有台数
1愛知46,1310.92.75,148,520
2大阪42,7291.141.63,735,142
3福岡41,1681.242.93,329,884
4東京37,1840.841.34,413,425
5静岡33,4991.173.92,865,576

■事故発生率が高い都道府県ベスト5(平成26年)

*事故発生率=事故発生件数 ÷ 車保有台数

順位都道府県事故発生件数(件)事故発生率(%)人口10万人当たりの交通事故死者数(人) 車保有台数
1佐賀8,8701.3252.9673,268
2福岡41,1681.24463,329,884
3静岡33,4991.1747.82,865,576
4大阪42,7291.14543,735,142
5香川8,9421.1447.6781,265

単純に事故の発生件数が多い順だと、愛知県が最も多くて4万6,131件でした。ただし愛知県は車の保有台数でも全国でNo.1(514万8,520台)。

事故発生件数 ÷ 車保有台数で算出される事故発生率でランク付けをすると、最も発生率が高かったのは佐賀県。これは少し意外な結果かもしれません。

交通事故の発生件数はアメリカが世界でトップ

ここまでは日本国内での交通事故の統計をみてきましたが、実際世界の中において日本はどのくらい交通事故が多い国なのでしょうか?

総務省統計局が公開している世界の統計2016 より、世界各国の交通事故件数を比較してみましょう。こちらのデータは IRF, World Road Statistics 2014 を基準に作られていますが、年度がバラバラで、かつ少し古いデータであること、全ての国が対象とはなっていないことから、あくまでご参考までに。

■事故件数が年間で10万件を超える国 / 事故件数が多い順

国(地域)年次事故件数
アメリカ合衆国121,664,800
日本12665,138
インド12490,383
ドイツ12299,637
イラン12241,688
韓国12223,656
中国11210,812
イタリア11205,638
ロシア12204,000
トルコ12153,552
イギリス12145,571
カナダ12122,450

年度は違いますが、このデータを見るかぎり最も交通事故が多いのはアメリカ。2012年の件数は166万4,800件。2位の日本の2.5倍以上と他国を寄せ付けない多さです。

とはいえ人口も車の保有台数も違うので単純に比較できません。次に人口10万人あたりの交通事故発生率を見ていきましょう。

■人口10万人あたりの事故件数 / 多い順

国(地域)年次人口10万人あたりの 事故件数事故件数
アメリカ合衆国125301,664,800
日本12521665,138
オーストリア1248440,831
韓国12447223,656
ベルギー1239744,193
ドイツ12373299,637
カナダ12352122,450
イタリア11346205,638
イラン12316241,688
イギリス12229145,571

人口10万人あたりでも1位アメリカ、2位日本は変わりません。人口が圧倒的に多いインドや中国が上位からは消え、オーストリアやベルギーといった人口が少ない割には事故が発生している国がランクインしてきました。

こちらは車の保有台数をベースにするとまただいぶ変わってきそうなので、別途データを探して比較してみたいと思います。

交通事故を減らすための対策

国や地方自治体、各自動車メーカーや自動車関連サービス提供社などの民間企業、それぞれが交通事故を減らすための対策に取り組んでいます。

国土交通省のサイトでは交通事故対策の取組として、「事故危険箇所」「事故ゼロプラン」「ビッグデータを活用した事故対策」を紹介。事故が多発している交差点・道路などのエリアを特定し、優先的に道路の整備や最高速度の規制、防護柵や注意喚起表示を設置することで事故の防止に努めています。

これは民間企業も含めてですが、交通に関するビッグデータの活用というアプローチは今後盛んになっていくかもしれません。

テレマティクスと呼ばれるサービスがその代表といえますが、自動車とIT、街とITがより密接に関わることで、従来は取得できていなかったデータを蓄積・分析し交通事故が起こりやすい場所や状況を割り出し、それに応じた対策を講じることも不可能ではありません。

もちろん各自動車メーカーやGoogleといった企業が取り組んでいる自動運転車も交通事故を減らすポテンシャルをもっています。
(テレマティクスサービスや、自動運転車については別記事で詳しく紹介します。)

また「オープンデータ」「シビックハック」といったキーワードも耳にする機会が増えましたが、行政や企業が保有しているデータを市民に提供し、そこに住む人たちが自ら解決策となるサービスを生み出す、という取り組みも一部のエリアでは見られます。

この辺りの取り組みや事例などはまた紹介したいと思います。

おわりに

長くなってしまったのでざっとポイントを振り返っておきます。

  • 日本では1年間で53万6,899件、平均すると1分に1件以上の交通事故が発生している
  • 平成16年をピークに、年々少しずつ交通事故の件数は減少している
  • 交通事故の類型で最も多いのは追突事故
  • 交通事故の原因のうち、安全不確認や脇見運転といった安全運転義務違反が75%を占める
  • 都道府県別では事故の発生件数トップは愛知県。発生確率では佐賀県がトップ。
  • 世界で見ると、事故の発生件数が最も多いのはアメリカ
  • 交通事故を減らすための対策は様々な機関・企業が取り組んでいるが、特に「交通ビッグデータの活用」は今後も注目を集めていくのではないか

いかがでしたでしょうか? 人によって気になったポイントは異なると思いますが、安全運転義務違反が交通事故の原因の75%を占めるというデータには、驚いた方も少なくないはずです。

冒頭でも紹介した通り、最近では「運転中にスマホを触っていたために事故を引き起こしてしまった」というニュースもよくみます。道路の環境整備や、テクノロジーを活用した新たなサービスなどももちろん必要なことですが、同時にドライバー1人1人の意識を変えることも大切なのではないでしょうか。

数年前、SNSでニュージーランドの「交通安全を訴求するCM」が話題になりました。交差点で2台の車がぶつかりそうになった瞬間、時がとまり双方のドライバーが車から降りて会話を交わし、その後時間が戻り派手にぶつかるというもの。このようなドライバーの心に訴え、意識を変えるきっかけとなるようなアプローチも、今後は必要なのかもしれません。

筆者紹介

株式会社スマートドライブ
編集部

株式会社スマートドライブ編集部です。安全運転・車両管理・法令遵守についてわかりやすく解説します。株式会社スマートドライブは、2013年の創業以来、「移動の進化を後押しする」をコーポレートビジョンに掲げ、移動にまつわるモビリティサービスを提供しています。SmartDrive Fleetは、1,700社以上への導入実績があり、車両に関わる業務の改善や安全運転の推進などに役立てられています。また、東京証券取引所グロース市場に上場しています。 SmartDrive Fleetは情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度「ISMS認証(ISO/IEC 27001:2013)」を取得しています。

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