駐車場管理とは?注意点やよくあるトラブル、業務効率化システムまでを解説
駐車場の運営には契約まわりの事務作業から掃除、クレームやトラブル対応、設備の点検まで、非常に幅広い業務が発生します。この記事では、駐車場管理の業務内容からよくあるトラブルと解決策、業務をサポートするシステムの活用について解説します。
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駐車場管理とは
駐車場管理とは、駐車場経営における車の出入りや配置状況、集金業務、掃除、設備の点検などの管理を行うことを言います。月極駐車場やコインパーキング駐車場など、駐車場の運営方法によって管理方法や業務は異なります。
月極駐車場管理人の仕事内容
利用料金の集金業務
運営会社が集金業務を担当する場合や、管理人自身が精算機のお金の回収やお釣り・領収書・レシートの補充を行う場合など、集金や精算機の管理方法は駐車場が月極駐車場かコインパーキングかなどによってさまざまです。
月極駐車場の場合は、契約者から毎月賃料を回収し、支払い滞納がないかなどを確認する必要があります。最近では未納やトラブル発生のリスクを減らすために口座振替やクレジットカード決済を導入する駐車場も増えています。
一方でコインパーキングの場合は、駐車場内に設置されている精算機に入っている現金を回収し、お釣りや領収書の用紙を定期的に手配する必要があるため、専門の駐車場運営代行会社に業務を委託するケースも増えています。
経済産業省の調査によれば、キャッシュレス決済額及び比率の推移は年々上昇しています。このことから駐車場経営においても今後はキャッシュレス決済の導入がスタンダードになっていくことが予想されます。
設備の点検・管理
利用者がトラブルなく、日頃から安全に駐車場の利用ができるように、定期的に設備の点検やメンテナンスを行います。精算機・バーロックシステム・ゲート機の作動や場内照明の状態など、 大きな故障やトラブルを未然に防ぐためにも、こまめに点検を実施しましょう。
掃除
複数の人が利用する場所であるため、利用者が快適に使用できるよう定期的なゴミの収拾や設備の清掃が必要になります。
掃除は駐車場内の不備について早期発見することや、無断駐車に気がつくきっかけにもなり得るので、定期的に行ったほうが良いでしょう。
利用者の募集
利用者を集める方法には、看板やチラシ、駐車場検索サイトへの登録、不動産会社に募集依頼を出すという方法があります。集客状況を見て効果的な方法で集客を行います。
トラブルや事故の対応
利用者や近隣住人からの問い合わせ、クレーム、盗難や物損事故など、駐車場内で起きたトラブルや事故の対応を行う必要があります。24時間運営であれば早朝や深夜の対応はどうするかなど、緊急時の対応フローをマニュアルにまとめておくと便利です。
決算・確定申告資料の作成
駐車場の運営で得た収入は、決算を行い、該当者※は確定申告をしなくてはなりません。そのうえで、毎年の売り上げや経費などを含め、まとめて所得を申告し、所得税を納税します。確定申告の資料作成は個人で作成することも、税理士に依頼することも可能です。なお、運営する駐車場が事業規模である場合は、青色申告で確定申告が行えます。この場合、最大65万円の青色申告特別控除が適用され、課税所得を減らすことができます。
※給与所得者の副業としての駐車場経営の場合:駐車場経営を含め副業での所得が年間20万円を超える
給与所得者以外の場合:駐車場経営を含む全体の所得金額の合計が年間48万円を超える。
ただし副業としての駐車場経営は、場合によっては「事業所得」や「不動産所得」として扱われ、必要経費を差し引いた後の所得が課税対象となるため、所得計算方法には注意が必要です。
参考記事:確定申告が必要な方 - 国税庁HP
月極駐車場の管理方式
月極駐車場の場合、以下3つの管理方式があります。
自主管理方式
自主管理方式とは、利用者の募集から集金、設備の点検など、すべての業務をオーナー自らが行う方式です。駐車場運営会社や管理会社が間に入らないため、委託手数料は発生せず、賃料のすべてがオーナーの収益になります。
ただし、利用者の募集、駐車場内で起きた事故やトラブル、掃除、メンテナンスをすべてオーナー自身が行わなくてはならないため、駐車場運営のノウハウと知識、そしてまとまった稼働時間が必要です。また、初期投資費用だけでなく、長期的に運営する場合は経年劣化による修繕、設備の交換など、維持費用がかかることも忘れてはなりません。すべての業務を対応し、トラブルなども自身で解決しなくてはならないため、トラブル時の対応マニュアルや、修繕費の積み立てを含む長期的な収支計画を作成して運営しましょう。
管理委託方式
管理委託方式とは、管理会社や駐車場運営会社に管理を委託する方法で、委託する業務範囲や駐車場の面積によって委託料が変わります(管理委託料の相場は賃料の5〜10%が一般的です)。駐車場経営の知識やノウハウをもった業者に業務を依頼できるので、初めて経営する場合も安心です。オーナー自身も駐車場経営に携わりつつ、掃除や巡回、問い合わせ対応など、手間のかかる業務を委託できるのがポイントです。
一括借り上げ方式
一括借り上げ方式とは、土地を駐車場の運営会社に貸して、その賃借料を収益とする方式です。別名をサブリース方式と言い、コインパーキングの経営方式がこちらに該当します。
オーナーは土地を貸し出しするだけで、駐車場の稼働率や売り上げに関係なく、毎月安定した収入を得ることができます。また、駐車場運営にかかる初期の設備や管理費用の一部負担、駐車場の運営も運営会社に一任できるため、オーナーの負担や手間を最小限に抑えられます。オーナーにとって、管理や運営の負担を負わずに土地を駐車場として活用できる点がこの方式最大のメリットです。
駐車場管理のよくあるトラブル
1. 料金トラブル
駐車場運営の中でも、もっとも多いトラブルが料金に関するトラブルです。月極駐車場とコインパーキングとでは、それぞれ料金トラブルの内容も異なります。月極駐車場では、駐車料金の滞納、期日までに支払いがない、コインパーキングでは、料金看板の表示がわかりづらく、思っていた料金と違っていたというクレームのケースがあります。
個人がオーナーの月極駐車場では、契約の際に与信管理を行わない、あるいは保証人を必須としないケースが多くありますが、賃料の滞納を防止するには、保証人を求めることや、審査を厳しく行うことが重要です。また、賃料をまとめて一括で前払いにする方法も料金トラブルを防止できます。
コインパーキングの場合は、車室ごとに料金が異なるなど、料金設定や料金体系を複雑にすることで利用者からクレームや問い合わせが寄せられる場合も。誰でもわかるような料金体系にし、看板に料金をわかりやすく表示することでトラブルを回避しましょう。
2. 駐車場の不正利用(無断駐車・違法駐車)
月極駐車場もコインパーキングも無人で運営されることが多いため、不正駐車が発生することがあります。不正利用はオーナーのみならず、利用者にも迷惑がかかり、クレームなど、他のトラブルに発展してしまうことも考えられます。定期的な巡回と監視カメラの設置、「不正駐車を見つけた場合は即座に警察へ通報します」という内容の看板やポスターを貼って対策を講じましょう。また、不正駐車や放置駐車があった場合はトラブルが発生しやすくなるため、個人間で話し合いをせず、警察や専門業者に対処を依頼してください。
3. 駐車場内で起きた事故
駐車場内であるのが、車や人との接触事故、壁やフェンス、設備との接触事故です。また、無理やり通過しようとロック板やゲートバーを破壊する、意図的な危険行為も少なくはありません。接触事故が起きないような車室や車路にするなど、少し余裕を持たせたレイアウトにすることも検討してみましょう。なお、各都道府県、市区町村では駐車施設整備計画が設計されていますので、そちらを調べたうえで駐車場のレイアウトを作成しましょう。
参考資料:東京都 駐車施設整備計画
4. 駐車場のゴミ(掃除)
空き缶やペットボトル、びん、コンビニで買ってきたお弁当の空き箱など、敷地内に放置されているケースがあります。ゴミをそのままにしておくと、近隣から「異臭がする」とクレームが来たり、利用者が離れてしまったりすることも考えられます。定期的に巡回して掃除を行い、清潔で健全な状態を保ちましょう。
また、ゴミを投棄されないように、「ゴミの不法投棄は禁止です」「ゴミはお持ち帰りください」など、看板で注意を促す、防犯カメラで監視するという対策も有効です。
5. 利用者や近隣住民からのクレーム
月極駐車場とコインパーキングとで、クレームの内容は少しずつ異なります。
月極の場合、契約している車室に別の車両が駐車していた、コインパーキングであれば、駐車券の紛失により精算ができない、車室の番号を誤って入力し、誤って精算した(返金の相談)、設備の故障で出庫ができない、想定していた料金と異なるというケースが多くあります。近隣からは、騒音や排気ガス・ゴミなどの異臭に関するクレームがあります。
24時間営業のコインパーキングは不特定多数の車両が出入りするためトラブルが発生しやすくなります。そのため、何かあった際に対応できるコールセンターの設置が望ましいかもしれません。
月極駐車場管理システムを活用する
月極駐車場管理システムとは、月極駐車場の契約に関する情報管理や処理、契約状況について一括で管理できるシステムのことです。先述したように、駐車場管理はかなり業務が幅広く、手間暇がかかるものですが、管理システムは、ポータルサイトへの掲載で集客をサポートし、オンラインでの申込〜契約をシームレスに行うことができるため、業務の効率化と顧客満足度の向上、収益アップなどが実現できます。
アットパーキングクラウド(株式会社ハッチ・ワーク)
株式会社ハッチ・ワークが提供するアットパーキングクラウドは、駐車場契約の希望者が検索〜申込〜契約〜決済までをオンラインでスムーズに完結でき、管理会社側は物件情報の掲載から募集審査、契約手続き、賃料の回収まで、管理業務を最大95%削減できるシステムです。駐車場検索のポータルサイト「アットパーキング」をはじめ、データ連携した大手住宅ポータルサイトにも掲載されるので、ユーザーも検索しやすいのがポイントです。申し込みから最短30分で契約締結できるため、取りこぼしも防ぎます。
公式サイト:https://hatchwork.co.jp/online_system
Park Direct(株式会社ニーリー)
Park Directは看板のQRコードやウェブから駐車場利用者の募集を行い、申し込みから契約までをオンラインで完了するシステムです。1台から数万台規模に対応。リスティング広告やキャッシュバックキャンペーンの実施、契約者専用のお得なクーポンの配信など、集客強化と顧客満足度向上を実現します。
公式サイト:https://cl.park-direct.jp/
CarParking One(株式会社アズーム)
CarParking Oneは、「管理丸投げ、上がる売上。」を掲げ、集客力の向上・管理業務の削減・収納代行と滞納保証までを担ってくれる管理システム。日本最大級の月極駐車場検索サイト「カーパーキング」に登録した情報を掲載し、インターネット上で駐車場を探している人にアピールしたり、経験豊富なカスタマーサポート部のスタッフが借り主からの電話受付を代行して速やかな対応が行ったり、自動振替・振込による収納代行で集金業務が簡略化できたり、業務効率化と収益化につながる機能が揃っています。
公式サイト:https://one.carparking.jp/lp/
駐車場クラウド(ファボック株式会社)
稼働率や契約状況、滞納状況、問い合わせや連絡待ちなど、リアルタイムで状況を把握できる駐車場クラウド。顧客、請求、入金、稼働率、駐車場仕様など、多岐にわたる管理業務をすべてお任せできるシステムです。ホーム画面では現在の最新状況をすべて一目で確認でき、必要に応じて駐車場ナンバーや顧客ナンバー、顧客名や電話番号で顧客情報がすぐに呼び出せます。
公式サイト;https://www.parkinglotcloud.com/
G-Parking(キステム株式会社)
G-Parkingは駐車場の空き予約やクレーム修繕の履歴管理、駐車場の入金状況を年間の管理表で把握できるほか、保証金や車庫証明手数料など、臨時に発生する請求にも対応。ログインIDで地域や権限を分けることができるうえ、オプションによって会計システムへの連携も可能です。契約書やオーナー情報の管理だけでなく、リアルタイムの空き情報から細かな書類発行まで、多様な機能を搭載しています。
公式サイト:https://www.kistem.co.jp/contents_detail.php?frmId=295
QRsign(株式会社いえらぶパーク)
完全オンラインの月極駐車場契約システム「QRsign」は月極駐車場契約に関する申込から電子署名、決済、管理、更新、解約まで、すべての書類管理に対応するシステムです。個人オーナー、法人オーナーどちらにも対応しています。安心してオンラインを活用できるよう、ファイル・通信の暗号化、署名鍵保管、WAF、データのバックアップなど、万全のセキュリティ対策を施し、厳格な法規制要件に準拠するAdobe Approved Trust List(AATL)を採用するなど、信頼性を高めています。
公式サイト:https://pr.qrsign.jp/
いえらぶParking(株式会社いえらぶパーク)
いえらぶParkingは、月極駐車場のオンライン申込・契約システム「ツキパー」とWEB型時間貸し駐車場システムの「リザパー」を自動で切り替えられるサービスです。月極駐車場の空きスペースを、契約が決まるまで「リザパー」で時間貸しできるため、オーナーは収益UPを見込むことができます。顧客情報の変更や解約手続きの対応に加え、迷惑駐車やクレーム、トラブルに対応するサポート体制も整っています。
公式サイト:https://ielove-park.co.jp/lp/qrsign/
まとめ
駐車場は常に車の出入りがあるため、利用者が安全かつ快適に利用できるように整備しておく必要があります。稼働状況や予算に合わせてシステムを導入することや、管理会社に業務を依頼することも、業務効率化につながります。負担を最小限におさえながら収益化できる方法として検討してみましょう。