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物流業界の2024年問題とは?

「2000年問題」など年号や世紀が変わる時に、システムが誤作動を起こすかもしれないと騒がれることが多いxxxx年問題。そんなシステムの誤作動と全く違った形で物流業界に訪れるのが2024年問題です。簡潔に言えば「時間外労働時間の上限規制」が物流業界にも導入されるということです。さらにその1年前の2023年には中小企業にも「時間外割増賃金率引上げ」が適用されるため、労働環境の大きな変化が訪れます。2024年問題とは何かを詳しく解説した後、物流業界がクリアすべき課題や解決策について考察します。

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物流業界における2024年問題とは

物流業界における2024年問題は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号、通称:働き方改革関連法)」の成立によるものです。運輸業などは業務の性質上短期間での改善が難しい為に、時間外労働時間の上限規制に5年間適用が猶予されていましたが、その猶予期限が2024年に訪れることになります。

そもそも時間外労働の上限規制が設けられたのはどのような意図があったのでしょうか。厚生労働省の資料では下記のように説明しています。

「⻑時間労働は、健康の確保を困難にするとともに、仕事と家庭⽣活の両⽴を困難にし、少⼦化の原因、⼥性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因となっています。

⻑時間労働を是正することによって、ワーク・ライフ・バランスが改善し、⼥性や⾼齢者も仕事に就きやすくなり労働参加率の向上に結びつきます。このため、今般の働き方改革の⼀環として、労働基準法が改正され、時間外労働の上限が法律に規定されました。」

2024年4月からの「時間外労働時間の上限規制」

では物流業界で起こる変化について紹介していきます。これまで上限が設けられていなかった物流業従事者の時間外労働時間が、2024年4月1日より特別条項付き36協定を締結する場合、「年間960時間」を上限とした規制が適用されます。一律で計算した場合、月当たり80時間の時間外労働が認められているため、物流ドライバーが月20日出勤ならば「1日4時間」の残業ができる計算になります。物流業界は慢性的な人材不足の厳しい状況ですが、この規制に対応していかなければいけません。

2023年4月からの「時間外割増賃金率引上げ」

2024年を前に2023年4月からは中小企業でも月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が25%から50%へ引き上げられます。従業員にとっては、残業を多くした分、賃金が増えることなりますが、企業にとっては人件費が増え、経営を圧迫することになります。国土交通省の資料によると、「トラック運送事業」の企業の中小企業率は99.9%、「トラックターミナル業」は同93.8%とほぼ中小企業が占めており、多くの企業が影響を受けると予想されます。

例:従業員Aさんの時間給が2,000円だった場合で時間外労働時間が月80時間の場合

改正前:

「80時間×2,000円×0,25=4万円」が月トータルの時間外割増賃金となります。

改正後(2023年4月以降):

「60時間×2,000円×0,25 + 20時間×2,000円×0,5=5万円」となり、全く同じ労働時間にもかかわらず、企業としては1万円も負担が増えます。

もし対象の従業員が10名在籍している場合、年当たりの人件費は改正後、120万円も増加する計算になります。

「労働時間の短縮」があるべき姿

2024年4月から時間外労働時間の「年間960時間」の上限が設けられ、月あたりでは、時間外労働が80時間となります。一方で月60時間を超える時間外労働への割増賃金率は25%から50%に引き上げられます。さらに最近では原油価格の高騰などでガソリン価格も上昇しています。こういった環境の変化に対応して持続的な企業経営をしていくためには、内部からの変化が必要になります。

まず、あるべき姿として「労働時間の短縮」が挙げられます。業務効率の向上によるドライバーの労働時間短縮さえ実現できれば、時間外労働時間の上限や時間外割増賃金率引上げといった変化にも十分対応ができます。

ただ「そんなことは百も承知で実行することが難しい」と思った方も多いのではないのでしょうか。実際、物流業は自動車を運転する作業が1日の大部分を占めるうえ、当日の交通事情や気象条件に業務が左右されるため、ドライバーの努力だけでは改善できません。

もちろん、各ドライバーは休憩時間をカットしたり、食事を運転中にとったりしていることもありますが、それがかえって効率を下げたり、中には健康被害を訴えるドライバーもいます。人の力だけで業務効率向上と長時間労働を是正するのは限界があり非常にハードルが高いと言えるでしょう。

2024年問題の解決策として考えられること・できることは

私たちは外部環境や法律の改正などに伴う変化に対し、知恵や工夫そして努力によって対応し乗り越えてきました。しかし、2024年に訪れる変化に対してはまだ解決策を模索していて、実行へ移すことができていない企業も多いのではないでしょうか。今回の変化は少子高齢化による労働力不足などが原因であり、高度成長期のように人海戦術では乗り越えられるものではありません。マンパワーを補うには、テクノロジーなどを活用し、限られた労力を効率よく使うことが近道です。たとえば、離れた場所で働く従業員及び車両の動態管理を瞬時に、かつ効率よく行える車両管理システムを取り入れれば、適切な配車や日報の自動化、配送ルートの最適化を図ることが可能です。

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デジタル活用が2024年問題に立ち向かうヒントに

スマートドライブが提供するクラウド型車両管理システム「SmartDrive Fleet」はシガーソケットに挿すだけの手軽なデバイスや、高品質なドライブレコーダーから走行データを自動収集し、リアルタイム位置情報/走行履歴/運転診断/運転日報・月報など、さまざまな形で活用できます。

具体的にはリアルタイムGPS管理機能で現在地を特定し、急な依頼や変更指示、他スタッフのサポートなどが可能になり、営業効率が大幅に向上するだけでなく、ガソリン代の節約にもつながります。また業務量や稼働時間を正確に記録することができるため、「業務の見える化」が可能になります。そういった現状を把握したうえで課題を割り出し、労務管理や労働環境を見直すなど、働き方改革が推進できるようになります。

さらにドライバーに対してもメリットがあります。運転日報の自動作成機能が備わっており、手書きによる負担を軽減できます。ノンコア業務を一気に短縮し、効率的に時間が利用できるようになります。「運転診断」機能によってドライバー1人ひとりの運転のクセの可視化もできるため、個々に合った適切な安全運転指導が可能になります。

まとめ -2024年問題の解決は従業員・企業のため-

物流業界の2024年問題は「問題」と言いながら、働き方改革を推進することであり、その目的は従業員のためであります。その先には企業の持続可能な経営につながります。いずれ、完全自律運転のモビリティが普及した場合、物流業界は運転という作業から解放され、結果従業員の労働時間も大幅な短縮が可能となるでしょう。しかし、技術的にも法律的にも完全自律運転が物流ドライバーにとって代わるのはまだまだ先の話で、2024年には間に合いません。確実な変化に対応すべく、最新テクノロジーを搭載した車両管理システムなどで乗り切りましょう。

筆者紹介

株式会社スマートドライブ
編集部

株式会社スマートドライブ編集部です。安全運転・車両管理・法令遵守についてわかりやすく解説します。株式会社スマートドライブは、2013年の創業以来、「移動の進化を後押しする」をコーポレートビジョンに掲げ、移動にまつわるモビリティサービスを提供しています。SmartDrive Fleetは、1,700社以上への導入実績があり、車両に関わる業務の改善や安全運転の推進などに役立てられています。また、東京証券取引所グロース市場に上場しています。 SmartDrive Fleetは情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度「ISMS認証(ISO/IEC 27001:2013)」を取得しています。

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