居眠り運転を防止する方法を紹介!悲惨な交通事故を起こす前に対応する方法とは
夜間や長距離運転時など、いつの間にか疲労がたまり、急に眠気が襲ってきて「ドキッ!」とした経験がある方は少なくないのでは。本来運転という行為は、頭と体が正常に機能している時にすべきですが、睡魔に負けて居眠り運転状態になってしまうと、正常な判断と操作ができなくなり、重大な事故を引き起こしかねません。
今回は、居眠り運転とはそもそもどのような状態なのか、実際に発生した事故を挙げることでその危険性を注意喚起した後、居眠り運転の原因と忌まわしい事故を防ぐ方法についてご紹介します。
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目次
【重い行政処分や刑事罰も…】居眠り運転が起きるとどうなる?
まずは、居眠り運転がいかに危険な行為なのかを知っていただくため、居眠り運転とは具体的にどのような状態を指し、検挙された場合はどのような処罰が課せられるのかについて解説します。
そもそも居眠り運転とはどんな状態をいうのか?
スピード超過や信号無視、飲酒運転といった危険行為は、ドライバー自身が安全運転意識を強く持ち、定められた法律を順守することで、よほどのことがない限り、予防することが可能です。
一方、眠気という人間にとっていかんともしがたい感覚が起因となる居眠り運転の場合、ドライバーがどれほど強く「居眠りなんてしないぞ!」と意識づけていても、ついウトウトとして意識が飛んでしまう、ということが起きてしまいます。実は、法律上「居眠り運転」という行為に明確な定義は存在せず、運転中完全に眠ってしまうのはもちろんのこと、睡魔に勝てず一瞬だけ意識がもうろうとした状態を指し、定義されていないが故、「居眠り運転」単体を処罰する規定もありません。
ただし、居眠り運転はたとえ一瞬でも正確な判断と運転操作ができない状態であるため、道路交通法第70条で定められている「安全運転義務」に違反する可能性があります。
道路交通法第70条
「運転者はハンドルやブレーキを正確に操作し、道路・交通・車両などの状況に応じて、他人に危害を及ぼさない運転しなければならない」
なお、居眠り運転で安全運転義務違反として検挙された場合は、違反点数は2点の追加と、車両の大きさに応じて、次の反則金が課せられます。
- 大型車・・・12,000円
- 普通自動車・・・9,000円
- 二輪車・・・7,000円
- 原付・・・6,000円
また、居眠り運転が事故の原因となった場合、居眠りをしたドライバー側が当該事故において責任比率が大きい「加害者」になるのがほとんどであるため、上記した処分のほか民事上の責任、刑事上の責任と負う可能性もあるのです。
- 民事上の責任・・・被害者への賠償責任
- 刑事上の責任・・・事故の程度や過失の程度によって刑罰が科せられる
さらに、居眠り運転に起因する事故が業務中に発生した場合、企業はこれらの責任を背負うことになるケースもありますし、場合によっては組織としての謝罪や再発防止対策の提示など、社会的・道義的責任を果たさなくてはなりません。
「過労運転」として、より重い処罰が課せられることも…
居眠り運転の原因によっては、安全運転義務違反よりずっと重い「過労運転」とみなされ、非常に厳しい処罰が課せられる場合があります。過労運転とは、道路交通法第66条において、
「何人も過労、病気、薬物の影響その他の理由によって、正常な運転ができないおそれがある状態で、車両等を運転してはならない」
と定められており、「居眠り運転=正常な運転ができない」と判断された場合は、違反点数として「25点」が加算されるだけではなく、刑事罰として「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されます。違反点数25点は、仮にそれまで無事故無違反であっても、一発で免許取り消しになる点数です。また、安全運転義務違反とは異なり、期限内に反則金を納めても刑事罰が免除されることはありません。
居眠り運転の原因とすぐにできる予防法
では、居眠り運転をどのように防げばよいのでしょうか。実は、私たち人間が眠くなってしまう原因にその答えが隠されています。
第1に、個人差こそあれ人間は毎日一定の睡眠時間が不可欠ですが、そもそも睡眠時間が不足すると脳や体が休息を求めるため眠気が襲ってきて、夜間ともなればよりそれが頻繁かつ強くなってきます。また、過度な労働などで疲れが蓄積した場合も、同様に強い眠気が襲って来る時がありますが、この睡眠不足や疲労蓄積を原因とした居眠り運転で事故を起こした場合、前述した「過労運転」と判断されることがあるため、注意が必要です。
睡眠不足や疲労蓄積による居眠り運転を防ぐには、何はともあれ睡眠・休息時間の確保が一番です。もし近頃あまり眠れていない、または仕事が多忙でとても疲れているという時は、必要に応じて安全と事故防止のために運転を控えるという判断を下しましょう。
次に、ドライバーがいる車の中は完全ではないもののいわゆる密閉状態であるため、外気に比べるとCO²濃度が高くなっていますが、人間の脳はCO²濃度が高い空間に長くいると判断力や理解力が低下し、睡魔に襲われることも多いのだそう。
会議中、なぜか眠くなってしまうのもそれが原因の1つと言われていますが、運転中に眠気がやってきては危険、ですのでこまめに車内を喚起したり、長距離運転時は定期的に休憩をはさみ、車外に出て深呼吸や体操などをしたりしましょう。
また、ハンドルやアクセル・ブレーキ操作をあまりせず、同じような景色が長く続く平坦な高速道路などを走行していると、退屈で不意に眠気が襲ってくることもあります。このような場合は、運転にしっかり集中しつつも、ラジオや好きな音楽をかけたり、同乗者とおしゃべりしたりするなど、適度に気を紛らわせることも大切です。
近年発生した居眠り運転による事故
さて、この項では居眠り運転の危険性をより深く理解いただくため、近年発生した痛ましい事故のうち、居眠り運転が原因と考えられている事例をいくつかご紹介します。
福岡県北九州市 西鉄の路線バスが道路わきの電信柱に衝突
九州の玄関口・福岡県北九州市では、市街地を縦横無尽に西鉄が運営する路線バスが走り回っていますが、今年5月18日同市小倉南区の県道において、西鉄の路線バスが道路右端の電信柱に衝突、バスの運転士と乗客計12名が病院に搬送される事故が発生しました。
幸い全員命に別状はありませんでしたが、うち少なくとも4人が鼻などを骨折するなどの重傷を負い、発生したのが朝の通勤時間帯とあって現場周辺の道路は大混雑、多くの市民に影響が出ました。事故発生当初、現場は見通しの良い直線道路で、SNSで拡散した現場写真では対向車も確認できなかったため、事故原因について様々な憶測が流れましたが、バスに設置されていたドライブレコーダーの映像から、ドライバーの居眠り運転が原因だとみられています。
その結果、バスを運転していた男性運転手(50)は8月、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の容疑で書類送検されたほか、西鉄の林田社長が会見を開き謝罪と再発防止を徹底し、信頼回復に努める旨を述べました。
神奈川県横浜市 高速道路で普通車に居眠り運転のトラックが追突
2017年10月1日早朝、友人と一緒に千葉県で開かれる車の展示イベントに向かっていた横浜市の会社員Cさんは、同市鶴見区の首都高速で友人の車から異音がしたため、原因を調べようと自分の車を路肩に停車、車外へ出ました。
その時、Dが運転する中型トラックが、停車していたCさんと友人の車に激突、Aさんは車と車に挟まれ搬送先の病院で間もなく死亡、友人ら4人も首の骨を折るなどの重軽傷を負うという、悲しい重大事故が発生しました。
加害者となったDはトラックドライバー歴約6年、1日の勤務時間は平均で14時間に及び、睡眠時間はわずか3時間半程度、休日は週1日しかなかったとその後の証言で明らかとなっています。慢性的な睡眠不足と過労による居眠り運転によって、かけがえのない若い命が失われたこの事故では、加害者のDが自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の罪で在宅起訴され、そのご交通刑務所に服役しています。
広島県東広島市 トラックが渋滞の列に突っ込み2人が死亡
2016年3月17日朝、山陽道下り線八本松トンネル内において、渋滞の列に運送会社「ツカサ運輸」(旧ゴーイチマルエキスライン)のトラックが、ブレーキをかけないまま時速約80キロの猛スピードで追突、計5台が炎上し2人が死亡する事故が発生しました。
複数の事故車両が炎上するなど損傷が激しかったため、事故原因究明に時間を要しましたが、翌年12月6日に事業用自動車事故調査委員会が公表した報告書によると、渋滞に追突したトラックを運転していた男性ドライバーA(34)の居眠りが直接の原因。
同報告書によると、Aが事故前3ヶ月に休んだのはわずか9日間だけと、過酷な勤務が日常化していたうえ、事故3日前から2日前にかけては一睡もせず、36時間乗務を続けていたのだとか。
報告書では、ドライバーの自己管理不足はもちろん、勤務先会社の運行管理者が疲労回復などの適切な措置を取らず、経営者も安全管理の重要性に対する認識が、著しく欠如していたと指摘。2016年8月16日には、Aが勤める運送会社の取締役で統括運行管理者であったB容疑者が、路交通法違反(過労運転の下命)容疑で広島県警が逮捕、さらに労働基準監督署も同日、ツカサ運輸とB容疑者を労働基準法違反の疑いで、地方検察庁に書類送検しました。
【事故予防対策の切り札!】居眠り運転を検知するAIドラレコとは
ここまで、居眠り運転を予防する方法について少し述べましたが、「自分は毎日しっかり睡眠をとっているし、疲れてもいないから大丈夫」と油断・慢心し、適切な予防措置を取ら直方が大勢います。また、普段1人きりで運転することが多いため、しゃべり相手や睡魔が襲ってきたとき声をかけてくれる同乗者がいないケースも少なくはありません。
そんな時に威力を発揮するのが、車載カメラの映像からドライバーの様子をAIが解析し、居眠り運転や脇見運転、ながら運転を察知すると、音や光などでドライバーに注意喚起をしてくれる、AIドライブレコーダー。
これは、AIを活用したアルゴリズムによって、居眠りであれば、まぶたの開閉時間や瞬きの回数、顔の傾き度合いを検知し、脇見運転で貼れば、顔の傾き具合と傾いた時間を検知し、リアルタイムで警告を促すというものです。これによって危険かつ多大な被害が出かねない事故を防ぐ効果が期待されています。
スマートドライブのAIドラレコで事故を未然に防ぐ!
スマートドライブがこれまでに培ってきた走行データのプラットフォームとJVCケンウッドが提供するAI搭載型ドライブレコーダーのデータ連携で、より高度な安全機能を実現しました。
通常のドラレコは危険操作が検知された前後数十秒の映像または1日の走行状況を映像で記録しますが、スマートドライブのAIドラレコは、通信機能だけでなく、AIで学習したデータをもとに、車線逸脱警告や前方衝突警告などのADAS(先進運転支援システム)やドライバーの表情から認識する居眠り検知、脇見検知機能といったDMS(ドライバー・モニタリング・システム)が搭載されています。そのため、管理者は離れていてもドライバーの危険を早急に察知し、休憩を促したり、注意をしたりするなど、適切な指示出しが可能となり、危険な事故を未然に防ぐことができるのです。
事故を起こさないために、安全運転強化へ投資をしよう
事務所を出発したあとは、基本的に一人で運転をして業務に当たるというドライバーも少なくはありません。そのため、事務所スタッフや管理者が、事前にどんなに注意を促していたとしても、最終的にはドライバー任せとなってしまい、疲労による不安定な運転をしている、眠気によって判断が曖昧な危険な運転をしているなど、ドライバーの様子を直接的に確認することは困難です。
しかし、交通事故は、百害あって一利なしですから、ドライバーを危険から守るためにも、企業の信頼を守るためにも、安全運転が強化されるツールを有効活用し、安全な運行を守りぬきませんか。