車の2台持ちについて――維持費やメリット、保険などポイントまとめ
公共交通の便に恵まれていない地方部では1人1台のクルマを保有することは少なくありません。
都市部のように電車やバスがすぐに来る地域ならクルマは1台あれば十分ですし、最近ではそもそも1台もクルマを所有せず必要な時にだけ借りる(シェアする)という人もいます。
一方で電車は30分または1時間に1本、バスはいつ来るかわからない。そもそも駅やバス停まで距離があるという地域ではクルマは重宝されます。一家で複数台を所有していることも珍しくありませんし、今は1台しか持っていないけど2台目を検討しているという方もいらっしゃるでしょう。
しかしクルマを増やせばその分維持費も増えてしまいます。燃料代、自動車税、自賠責保険料、重量税、車検、点検、自動車保険など、すべて台数分かかってしまうことになります。
そこで今回は、2台目の購入を検討している方々に、実際にどのくらいの金額が必要なのか、お得な乗り方はないのかを紹介します。
目次
2台持ちのメリット
ひとつのメリットとしては、もし夫婦であればそれぞれがクルマで通勤可能なこと、夫が通勤で使っている間でも買い物や子供の送り迎えなど自由に使えることです。上述したように、公共交通機関の便が良くない地域であれば大きなメリットになります。
たとえばミニバンと軽自動車の組み合わせなら、近場の買い物や送迎は軽自動車を使い、休日のお出かけにはミニバンを使うなど、用途に分けて車種を選んで使い分けができるのも2台持ちのメリットです。
小さな子供のいる家庭では、子供連れでバスや電車などの公共交通機関を利用するのは大変ですので、子供を連れながら日常の買い物や用事を済ませたり、突然体調が悪化した場合などに病院に連れて行くのも車があると便利で安心です。
ところで、2台持ちにも様々な組み合わせのパターンがあります。たとえば、
・ミニバン + 軽自動車またはコンパクトカー
・セダン + 軽自動車またはコンパクトカー
・2ドアオープンスポーツ + 軽自動車またはコンパクトカー
・通常のガソリン車 + 電気自動車(航続距離の関係で近場利用)
・実用車 + 趣味車(クラシックカーなど)
というように、2台持ちによって生活の楽しみ方や幅が広がるというのが大きな魅力ですね。
2台持ちの維持費
では次に、気になる維持費についてみていきましょう。
そもそも普通車の場合、一般的にどのくらい維持費がかかってくるのでしょうか。
たとえば1.5Lの普通車で車両重量1.5t未満の場合、自動車税と自賠責保険料、重量税の1年換算額は約6万円です。この金額に加えて車検整備代金やオイル交換費用などが発生します。
軽自動車の場合は約2.6万円(H27年4月を基準に、その前後で自動車税が異なるので注意してください)で普通車の半分以下になりますが、それでも約3万円前後は毎年必要です。
自動車保険はセカンドカー割引がお得
自動車保険については、複数所有新規契約(セカンドカー割引)について知っておきましょう。セカンドカー割引とは、適用条件を満たせば、2台目以降の車で新たに自動車保険を契約する際に保険料が割引かれるという仕組みです。
対象となるのは、現在11等級以上が適用されている自動車保険契約を持つドライバーです。対象者が新たに2台目以降の車を契約する場合に、通常は6等級から始まるノンフリート等級を、7等級からスタートできる割引契約になります。
自動車保険は新規契約6等級からスタートし、保険を使わなかった場合には翌年1等級進みます。たとえば20歳でクルマを初めて所有し保険を一度も使わなかった場合、25歳で自動車保険は11等級になります。
2台目の車が年数の経過した軽自動車の場合
セカンドカー割引が適用された場合、どのくらい金額が変わってくるのか。年数の経過した軽自動車を例に紹介します。
・三菱ekワゴン 平成16年式
・運転者年齢 : 36歳 / ゴールド免許 / 現在20等級の保険契約有
・35歳以上補償 : 運転者の範囲は定めていません / 通勤通学使用
・対人・対物無制限、人身傷害3,000万円(搭乗中のみ担保)、無保険車傷害2億円
・車両保険なし、インターネット割引、保険証券不発行割引 など
上記の条件で、三井ダイレクト損保のサイトより金額を算出しました。
■複数所有新規契約の場合(7等級) 年間保険料 : 27,320円
■そのまま新規契約の場合(6等級) 年間保険料 : 41,970円
セカンドカー割引(複数所有新規契約)の場合は、そのまま新規契約するより14,650円安く契約することができます。
軽自動車をサンプルに挙げましたが、自動車保険は軽自動車だから安いということはありません。車種によっては軽自動車の方が高いケースもありますが、コンパクトカークラスと軽自動車はほとんど同じくらいの保険料になっています。
算出した保険料はあくまでも参考ですので、年齢、免許の色、車種など様々な条件で保険料は異なります。
2台保有するときの注意点
2台保有を実際に検討する場合には、以下の点を事前に考慮しましょう。
維持費をしっかり把握する
2台保有する際には、単純に1台の時の維持費の2倍必要になります。
購入費用はもちろんですが、上記にて紹介したおおよその維持費用が必要になります。またアパートやマンションの場合には駐車場の料金が加算される場合もあります。購入してから「思わぬ費用が発生した」ということがないように、事前に把握しておくことが大切です。
駐車場を確保する
持家で複数台の駐車スペースがある場合には全く問題ありません。
アパートやマンションにお住いの場合には駐車場の確保が必要になります。地域によっては駐車場の月額料金にバラつきがあります。都市部に近い場合には2万円から3万円必要な場合があり、アパートやマンションに空きスペースが無い場合には近隣駐車場を探さなくてはなりません。
郊外のエリアなら、未舗装で3,000円から5,000円、舗装で5,000円から8,000円で借りられるケースが多く都市部と比較すると駐車場を探すことができれば月々の負担は軽くなります。
車庫証明に注意する
クルマを持つ際に必要なのが車庫証明です。車庫証明は自宅から直線距離で2km以内と決められています。月極め料金が安いから自転車で駐車場まで行って乗り換えればいいと考えたとしても、2km以上離れていると車庫証明は許可されません。自宅から離れた駐車場を借りる場合には、注意をしておきましょう。
車検日に注意する
車検費用も把握することは大切ですが、車検満了日も大切です。
1台目と2台目の車検満了日が半年以内の近さにあると、まとまったお金が必要になります。普通車も軽自動車も新規登録時は3年後ですが、以降は2年毎の車検です。1台目と2台目の車検日を約1年ズラして所有すれば一気にまとまったお金が必要になることがありません。
ただし、同じ月に2台まとめてしまうのもひとつの手です。まとまったお金は必要ですが、一気に車検が終わり維持管理が楽になるというメリットもあります。次の車検は2年後ですので、それまでにゆっくり車検費用を確保できます。
安価に2台持つ手段
できるだけ費用をかけずに2台目のクルマを持ちたい場合は、10年経過した軽自動車を選ぶのが一つの手です。
最近の軽自動車は10年経過していても外観は目立った古さを感じさせない車種も多く、まだまだ十分に使用できます。価格も底値で支払総額20万円前後ほどであれば車検付のクルマが選べます。
一方で資金に余裕がある場合には、新車や登録済未使用車の軽自動車をおススメします。新車で購入し5年後に不要になっても下取り価格や買取価格が高値で確保されるので、マイカーローンを契約しても新車がお得です。
軽4ナンバーはお得なのか?
軽自動車の貨物車登録の4ナンバー車はお得なのでしょうか?結論としては、お得とまでは言えないようです。
年間自動車税については軽乗用車5ナンバーの自動車税年額7,200円(H27年4月以前の登録車)に対して、軽貨物車4ナンバーの自動車税年額は4,000円で3,200円お得です。その他の維持費、税金等は共通です。
しかし乗用タイプに比べてリヤシートは直角シートで乗り心地が悪い、パワーウインドウの装備がないなど装備が簡素なクルマが多く、燃費が良いエンジンは採用されていないなどデメリットもあります。
そして、一番の難点となるのは自動車保険です。4ナンバー車は自動車保険が割高になるケースが多く、同じ平成16年式三菱ミニカバンで算出すると29,540円かかり、複数所有新規割引の例では2,220円高くなります。結果的に維持費がほとんど変わらなくなってしまうため、上記デメリットを踏まえたうえで、あとは好みで選ぶことになります。
購入以外の手段も検討する
常に2台保有しておくことが条件でなければ、購入以外の手段も検討してみることをオススメします。
たとえば首都圏、主要都市周辺の地域にお住まいならカーシェアリングサービスが充実しています。カーシェア最大手のタイムズカープラスで検索してみると、お住まいの地域にカーシェア用のクルマが配備されているかどうか確認できるのでチェックしてみてください。
毎日使うわけではないけれど、週に数回子供の送迎や買い物の際に使いたいという場合にはカーシェアの方が安くなる可能性があります。
・お買いものに週2回 : 2時間利用なら1か月(4週)で13,148円
・子供の送迎に週2回 : 送りと迎えで合計90分利用なら9,888円
1か月合計で23,036円
※タイムズカープラスを元に算出。15分206円(保険代、燃料代込)、1,030円以上の利用のため基本料は無しで計算しています。
2万円超えで結構高いと思われると思いますが、クルマの購入費用はかからないためローンの支払いも無く、駐車場も用意することなく、ガソリン代も自動車保険も全て含んでいます。クルマの利用頻度が上記サンプル以下ならカーシェアの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
ただしカーシェアリングはスマートフォンで予約し使いたいときに自由にクルマを使うことができますが、いざ使いたいときに他の人が利用していて使えない場合もあるので注意が必要です。特に雨の日や週末・祝日は競争率が高くなりがちです。近所にカーシェアステーションが複数ある場合には良いのですが、1つしかないような場合には使えないケースがあることを把握しておきましょう。
毎日利用するなど利用頻度が高い場合は、料金面では2台目所有のメリットが大きいです。ただカーシェアにも複数のタイプのサービスがありますし、他にも個人向けのカーリースなどクルマの利用方法は広がっています。2台目を保有する目的や、求める条件などに沿って最適な手段を選択してください。