【要注意!】漫然運転とは?原因や対策を詳しく解説
運転中の法令違反は重大な事故につながる危険性を秘めています。ましてやそれが大きな人身事故になってしまった場合、最悪な事態も考えられるでしょう。死亡事故の原因でもっとも多い漫然運転。漫然運転とは何か、その原因と対策について詳しく解説します。
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漫然運転とは?
漫然運転をわかりやすく説明すると、ぼんやりとしていたり、何か他のことを考えたりすることで、危険を見落としてしまう状態の運転のことです。
公的資料では「内在的前方不注意」という別名が付いている漫然運転。これはつまり、「前を見ているようで実は見ていない」状況を指し、意識の脇見とも言われています。漫然(まんぜん)という言葉そのものが「これという目的や意識を持たず、とりとめのないさま。ぼんやり。」という意味である通り、ハンドルを握り、前方を見て運転しているのに、集中力と注意力が散漫な状態では、あらゆる危険を察知するタイミングが遅れ、危険な事故を起こす確率を高めてしまいます。
脇見運転との違い
漫然運転と脇見運転は同じように捉えられがちですが、脇見運転は公的資料で「外在的前方不注意」と記されるように、そもそも見なければならない対象を見ずに運転している状態を言い、見ている状態ではある漫然運転とは異なります。たとえば、携帯電話やスマホを操作するために画面を注視していたり(昨今、話題になっているながら運転もこれに該当します)、車外の広告や歩行者などに気を取られたりするといったことが考えられます。
居眠り運転との違い
眠気が強く、正常な運転ができない状態である一般的な居眠り運転も、"ぼんやり”な状態である漫然運転とは異なります。居眠り運転には二つのケースがあり、長時間労働による睡眠不足や、十分な休憩を取れない状況下である場合、過労運転とみなされる場合もあります。
漫然運転と脇見運転の罰則と反則金
漫然運転、脇見運転、居眠り運転、これらはいずれも道路交通法においては安全運転義務違反に該当するため、法令違反として以下のような罰則を受けます。
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
上記法令違反による交通違反点数・・2点
反則金・・普通車9,000円、大型車12,000円、自動二輪車7,000円、小型特殊車・原付6,000円
ただし、人身事故をはじめ、人や車両に危害を与えるような大きい事故を起こした場合、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪に問われ、懲役や罰金刑が科されます。また、社用車を利用した業務中の事故であれば、会社も使用者責任を問われることになるため、決して「少しボ〜っとしていただけだから」と軽視してはなりません。
※補足: 安全運転義務違反とは次のような状況を言います。
・前方不注意:漫然運転と脇見運転など、前を見ずに運転をすること
・安全不確認:前方、後方、左右の確認が不十分のまま運転し、他車や歩行者その他を見落とすこと
・動静不注視:他者や他車や歩行者その他を認識はしていたが、動静への注意を怠り運転すること
・操作不適:ブレーキとアクセルの踏み違え、片手運転による事故など
・安全速度違反:制限速度内で走行はしているものの、交差点や横断歩道、見通しの悪い道路で徐行や減速を怠ること
・予測不適:「相手が避けてくれるだろう」といっただろう運転や、速度や車幅の予測を誤る運転のこと
漫然運転は交通事故の原因でつねに上位を占めている
令和3年(2021年)7月28日に警察庁交通局が発表した「令和3年における交通事故の発生状況等について」の中では、自動車運転者による死亡事故の人的要因は次のように記されています。
●75歳未満の運転者
1 安全不確認 30.1%
2 内在的前方不注意(漫然運転等)24.2%
3 外在的前方不注意(脇見運転等)19.2%
●75歳以上の高齢運転者
1 操作不適 33.1%
2 安全不確認 21.4%
3 内在的前方不注意(漫然運転等)21.4%
平成28年〜令和2年においては全年齢の中で2位を漫然運転が占めています。
また、内閣府が公表している令和元年中の道路交通事故発生件数は38万1,237件で、これによる死者数は46万1,775人、死傷者数は46万4,990人、重症者は3万2,025人でした。交通事故発生件数を事故類型別に見ると、正面衝突が最多、次いで歩行者横断中、出会い頭の衝突事故が続きます。そして、これら危険な交通事故の原因については、安全運転義務違反が55.8%を占め、その中でも漫然運転が14.8%ともっとも多く、次いで運転操作不適(12.9%)、脇見運転(11.7%)、安全不確認(11.1%)が並びました。
出典:内閣府「法令違反別(第1当事者)交通死亡事故発生件数(令和元年)」
これらの資料を通して、交通事故、交通死亡事故の原因の多くが漫然運転であることが理解できるのではないでしょうか。具体的に、漫然運転とはどのような運転のことを言うのか、次の項より詳しく解説していきます。
漫然運転の原因とは?漫然運転だとどんな危険があるのか
ここからは漫然運転によってどのような危険な状況が考えられるか、状況別にまとめて紹介します。
信号を見落とす・・赤信号なのに発進し追突する
事故の原因としても多いのが、信号の見落としです。赤信号に気づかず、停止線を大幅に超えてしまったと言う人も少なくないのでは。また、黄色から赤色へと信号が変わっているのに、そこへ気づかず交差点へ突っ込み、他車と正面衝突してしまう、歩行者や自転車を巻き込んでしまうなど、非常に危険な事故を招く可能性もあります。
まっすぐな走行ができない・・周りに危険が生じる
心ここにあらずのままハンドルを握っていると、ハンドルの操作が鈍くなり、まっすぐな走行が難しくなってしまいます。そうすると、車のラインをはみ出したり、フラフラと走行したり、安定しない不安定な運転に。そのような運転によって他車と接触する、センターラインをはみ出す、さらにはカーブを曲がる際に反対車線へ大きく飛び出してしまうといったことも考えられるため、非常に危険です。
車間距離を詰めてしまう・・追突事故の可能性が高まる
意識が運転に向いておらず、集中できていない状況で運転していると、一定の速度で走っているつもりでも車間距離が適切に保持できず、追突事故の原因になります。
認知・判断・操作が遅れ、急操作が増える・・危険な事故を起こしてしまう
運転に大事な三要素、認知・判断・操作。漫然運転をしていると危険を察知するタイミングが遅れ、ブレーキ操作を遅らせることに。また、前方の障害物への気づきが遅れ、急ハンドルを切って追突することも考えられます。
無意識のスピード超過・・法定速度を超え違反に
ドライバーはみな、法定速度を守ることが義務付けられています。また、道路状況や天候に応じて速度も変えなくてはなりませんが、漫然運転ではそうした判断ができず、気づいたらアクセルを踏みすぎて追突、または正面衝突などの重大事故を起こす場合も。
歩行者の発見に遅れる・・悲痛な事故を招く
道路交通法第38条の2において、「車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官などの手信号により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除く)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない」と記されています。言い換えると、横断歩道はもちろん、横断歩道のない交差点であっても歩行者を優先し、その通行を妨げてはならないということ。
運転をしていると、急に歩行者が飛び出してくる場面も多くありますが、漫然運転では歩行者に気づかず、最悪の場合、悲痛な人身事故を起こしてしまうケースも。
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漫然運転の原因は何か
非常に危険な事故を招きやすい漫然運転ですが、何を原因に注意力や集中力が散漫な状態に陥ってしまうのでしょうか。原因をいくつか考えてみましょう。
仕事やプライベートなど考え事や悩み事を巡らす
「明日はプレゼンで緊張するなあ」「納期は明日までなのに、手がつけられていない」といった仕事の考え事から深刻な悩み、また、夕食の献立など日常の中にある考え事や悩み事は漫然運転を引き起こしやすくします。また、営業などでスケジュールに遅れた場合、焦りや不安で頭がいっぱいになり、運転に集中できなくなることも。運転という行為は常に危険と隣り合わせであることを理解し、精神的に余裕を持った状態でハンドルを握りましょう。
睡眠不足や疲労の蓄積
前日が徹夜だったなど、寝不足や体の疲労が蓄積しているときは、運転に対する集中力を一気に低下させます。とくに寝不足は集中ができず、周囲の状況判断をおろそかにして、運転操作のミスを招きますので、体を休めることを優先しましょう。
スマホに気をとられてしまう
実際に、スマホを操作したり注視したりしていなくても、着電があったり、チャットの連絡待ちをしていたりすると、ついつい意識がスマホの方へ。誰からの電話だろう、返信がきているかもしれないなど、集中できない状態になってしまいます。
単調な道路での長時間運転
延々と続く高速道路や風景が変わらない一方通行の道路など、単調な道路で長時間、運転を続けているとついつい頭も意識もボ〜っとしてしまい、緊張感が薄れてしまいます。気づいたら大幅に速度超過をしていた…なんてことも十分に起こりえることです。
同乗者との会話に盛り上がる
同乗者との適度な会話は眠気防止に有効なものの、夢中になりすぎてしまうと気づかないうちに運転への意識が薄れがちになります。同乗者も運転者と安全への配慮を忘れないようにしましょう。
運転への過信
運転に慣れている、いつも通る道だから大丈夫など、運転に慣れてくると緊張感が緩み、過信しがちになってしまいます。相手が避けてくれるから大丈夫、路地から他車は来ないはずだといった「だろう運転」の罠に陥りやすいのもそんなときです。そうして油断をしていると、危険予測を怠りやすくなります。
漫然運転を防ぐには
運転中、常に緊張感を持つことは重要ではありますが、少しボ〜ッとしてしまう瞬間は皆無ではありません。自分には関係ないと思うのではなく、予防や対策方法を理解しておくことで漫然運転による危険運転を回避しましょう。
音楽をきく
一人で運転しているとついボ〜っとしてしまう。ストレスや考えごとばかりしてしまう。そんなときは、ラジオなどで自分の好きな音楽をかけてリラックスした運転を。
ガムを噛む
眠気防止策としてもよく上がるのがガムを噛むこと。清涼感の強いもの、またはカフェイン入りのガムで目がシャキッとすることから、多くの人に支持されているようです。
多くのガムを世の中に提供してきたロッテが運用している噛むこと研究所でも、運転に熟練した20〜30代の男性2名を対象とした、高速道路の夜間運転中の検証事例で、ガムを噛むことで瞬きの回数の増加が抑制されること(眠気が抑えられていること)が認められたと解説されています。
スマホを手元に置かない
連絡が来るかもしれないからと、ついつい目の届く場所へ置いてしまうスマホや携帯電話。スマホが気になって運転に集中できない場合は、ドライブモードにする、電源を切っておくなどして、視界に入らない場所へ移動させておきましょう。
適度な休憩や仮眠
疲労が蓄積している時や睡眠時間が十分に取れなかった時も、漫然運転をしがちになります。いつもより多く運転の合間に休憩をとる、少しストレッチをして気分転換をするなどして眠気覚ましを。どうしてもだるさが取れない場合は、運転を代わってもらうというも事故防止として重要な一つの手段です。仮眠が取れる場合はサービスエリアなどに車を停車し、仮眠をとってリフレッシュしましょう。
余裕を持ったスケジュールで運転する
スケジュールに余裕がないと不安や焦りで危険な運転を招きます。前日に余裕を持ったスケジュールを設定する、もしもを想定したルートを作成しておくなど、準備を整えて運転をしましょう。
ジェントルドライビングを実践してみよう
ひとつ、具体的な例として実践いただきたいのが、「できるだけ後続車に道を譲る」ジェントルドライビングの実践です。高速道路はもちろん、一般道でも片側二車線以上ある場合は、できるだけ左車線を走るようにしてみましょう。その理由は、右車線と比べて左車線の方が対処すべきハードルが多いため、運転へ集中できるからです。
一般道では左折車や路地から出てくる車、自転車や停車中の車両、高速道路ではインターチェンジやジャンクション、PA/SAからの合流があるので、緊張感を維持したまま走行ができます。高速道路では追い越し車線を走り続けていると「車両走行帯通行区分違反」で捕まる可能性もあるため、二車線以上の有料道路では左側の走行車線を走る方が良い、というわけです。
車通りの少ない片側一車線の道路でも、同じ発想で漫然運転を回避できます。道路が空いていて信号機も少ない、そんな時こそ後続車の存在に気を配ってみましょう。そうすることで自然と緊張感を高め、漫然運転防止につながります。
道路標識を意識する
道路標識は周辺の状況によってクルクルと変わる道路も少なくありません。こまめにチェックすることで、早めの危険予測が行えます。また、最近では一般道でも設置と撤去が簡単な移動式オービスが各地に取り付けられているといいます。標識に目を向けることで速度違反の防止にもなるのです。
まとめ
メディアでは飲酒運転事故やあおり運転事故が頻繁に取り上げられていますが、もっとも身近で交通事故の原因として多いのは漫然運転です。ちょっとした気の緩みや考えごとが危険を招きますので、適度に休憩をとり、防止策を実践して安全運転の徹底を心がけましょう。