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物流の働き方改革を推進する「トラック簿」開発秘話 -中編

前編に引き続き、モノフルの武田様にインタビューをご紹介いたします。

物流の働き方改革を推進する「トラック簿」開発秘話 -中編

令和6年度版 トラック事業者向け通信型デジタルタコグラフ導入メリットと補助金活用ガイドブック

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トラック簿には3つのプランがありますが、中には月額基本料が0円のフリープランもあります。

まずは、今まで手作業で行われていた受付をアナログからデジタルへシフトしてもらわなくてはなりません。しかし、現場の方はデジタルに慣れていない方が多くいらっしゃる。そこで、お客様にデジタルやデータに馴染んでいただくためにも、「まずは使ってみようかな」というお客様に向けたフリープランを用意しました。

前編でもこの画像をお見せしましたが、倉庫側と運送側の接点になっているのが、バース管理の部分です。だからこそ、この部分の円滑化をはかるために、接点であるバースにおいて、どの運送会社が来ているか、作業時間がどれくらいかという情報を理解すべきだと考えています。それができれば、バースの回転率が向上すると次は荷揃えスピードの改善したり、将来的には「帰りの荷物はありますか?」という提案もしたりと、大きな視野で物流の効率化ができるようになるからです。

物流の現場を理解されているからこそ、正しい機能や提案ができるのですね。

私たちは、必ずお客様の現場を見せていただくようにしています。ドライバーが来てからどのような動線を辿って受付に着き、どこで待ち、呼び出しの手段は何か。誰がどう判断して、バースの呼び込みをしているか。全体の流れを書き留めるためにオリジナルのカルテを作成し、一つひとつ項目を埋めていくと、「トラック簿をこのように活用すると、ここのポイントが改善できます」と適切な提案ができるようになるんです。

単純に導入しましょう!予約しましょう!ではなく、お客様のオペレーションの中で、「ここは、この機能を使って効率化していきましょう」というアプローチを取って信頼関係を築くようにしています。今後、配車業務やマッチングといった、様々なサービスに繋げていくきっかけとしてトラック簿を提供していますので、同じバース予約サービスでも他の企業とは違う見せ方や提案ができているのではないでしょうか。

提案というのは、コンサルティングサービスではなく、新しいソフトウェアで解決していくための提案ということでしょうか。

現時点ではとくに線引きをしていませんが、一拠点ではなくて、工場から倉庫、配送先まで、トレーサビリティを高めていく中で、トラック簿の活用で何が実現できるかをご提案したり、機能を追加したりするなどして、総合的にフォローしていければと思っています。

提案段階でお客様の現場を見せていただくというのも、コンサルティング領域に近いですよね。

おっしゃる通りです。的確な解決策を提案するには、まずは現場を知り、具体的な悩みを理解することが重要です。今後、倉庫内の自動化や人材サービスなど、さまざまな軸で、ソリューションを作ろうと動いているのも、バースだけ円滑になっても倉庫内がスムーズに回らなければ意味がないと考えているからです。

GLPという盤石があるからこそ、ベンチャーのような動きもできるし、事業開発も行えるし、思いきりアクセルを踏むことができると。

GLPの本業として土地を仕込み、開発し、これだけの多くの物件を提供してきたこともあり、土台がしっかりとしているため、次の種として新たなサービスを植えることができたのだと思います。また、非常にありがたいことに、お客様もトラック簿から次のいろんなサービスへの展開を期待してくださっています。その辺りも、物流施設の最先端を知るGLPが基盤の会社であることが大きいのではないでしょうか。

トラック簿を皮切りに、モノフルとして今後どのようなサービスを展開していくのでしょうか。

モノフルは現在、3つの戦略を軸に動いています。一つがトラック簿のようなプロダクトの開発、二つ目はスタートアップ企業への出資。三つ目が業務提携をするパートナー。この三つをうまく掛け合わせながら、「バース管理・配車計画・求貨求車マッチング・運行計画・動態管理」の輸配送プラットフォームをスピード感をもって強大にしていく。そのようにして、輸配送の領域を攻めたいと考えています。

中でも配車に関するソリューションは一番注力しているところ。世間では配車と求貨求車のマッチングは似たものだと思われているようですが、まったく異なるものです。配車計画はそもそも、この荷物をどのように運べばいいのかを考えなくてはならない、少し上流の概念。ですので、順番としては①この荷物をここに運ぶために②トラックをマッチングさせて向かわせる、となります。

つまり、配車計画が作成されたうえで、トラックの不足分を求荷求車マッチングで補うということですね。

そうです。配車と求荷求車を混同せずに、まずはこの流れを作らなくてはなりませんので、配車業務に注力してプロダクトの開発を進めようとしています。理想としては、私たちが提供するサービスを活用するお客様からデータをいただいたり、さまざまなデータを繋いだりすることで、より良いサービスへと進化させていくことです。

配車計画と少し似ていますが、介護の現場でも送迎計画の作成が大きな負担になっています。単純にルート作成をすれば良いというものではなく、「●●さんのおばあちゃんは車椅子を利用している」とか「▲▲さんはお子さんが乗降をお手伝いしてくれる」とか、さまざまな条件や状況を加味したうえで、送迎計画を作成しなくてはならないからです。そのため、経験者に頼ることが多いですし、時間もかかってしまう。ただでさえ人手不足が叫ばれている今、時間がかかるアナログな作業はどんどんデジタルで変えていくべきではないでしょうか。

ツールを導入したと言っても、デバイスを装着されている台数が一部であったり、動態管理ツールを利用していても活用しきれていなかったり…。そうした点も変えていかなくてはなりません。何を運んでいるのか、どのように運んでいるか、輸送モードによって改善点も異なりますので、スマートドライブと連携して誰がどこにいるか、リアルタイムの情報を取得・蓄積していきたいですね。

たとえば、東京-大阪間の長距離車が運行中だとしましょう。運転時間や走行距離は長くなればなるほど疲労は蓄積しますし、運転も乱れてくるので、全体的に事故の確率が上がると予想できます。しかし、管理者も荷受け主も、今ドライバーがどのあたりを走行しているのか知らないことがほとんどです。無事に拠点を通過しているのか、何らかの原因で遅延しているのか、効率も大事ですが、万が一を想定していつでもリアルタイムの情報を知っておくべきじゃないかなと。それが動態管理の本来の活用の仕方でもありますし。

たとえば、バース管理の仕組みを使って、ある拠点への到着時に「Aに到着しました」とフラグが立つようにすれば、ドライバーも報告しなくて良いし、管理者も安心できますよね。店舗配送のトラックは多くの拠点を回ることが多く、店舗側からすると「品出しがあるので何時には来てほしい」という強いニーズがある。少しの遅延が業務に響く細かな配送では、誰がどこにいるかという情報が非常に重要。ですので、各々の輸送モードに対して、どういうトレースをしていくべきかを考え、最適な機能や利用方法を考えるべきです。

おっしゃる通りですね。ちなみに、トラック簿の中でSmartDriveの機能が使われているとか。

はい、トラック簿にスマートドライブが提供しているデバイスから走行データを取得・活用できるSmartDrive Platform APIを活用させていただきました。トラック簿で利用できるのは次の2つの機能です。

まずは、車両が登録した地点に出入りした際に通知がとぶ、自動受付機能。通常、ドライバーは倉庫に到着すると、駐車場にトラックをつけて降車し、事務所に行って名前と携帯番号を書いて再びトラックに戻りますが、これが巨大な物流施設だと往復だけで10分以上もかかってしまうんです。ドライバーの負荷を軽減させることに加え、庫内を円滑に回すにはどのトラックが到着したのかという情報が大事ですので、ジオフェンスを張って半径100m以内に入ったらステータスを「受付完了」に変更できるようにしました。

もう1つは自動遅延通知です。バースの予約時間が14時なのに13時の時点でまだ50kmも離れた地点にいる場合、予約時間に間に合わないと予測できますよね。今まで、遅延の連絡はドライバー本人がセンターや自分が所属する運送会社に電話で連絡をしていましたが、いちいちトラックを止めて連絡しなくてはならないので結構な手間です。自動的に倉庫へ遅延の通知ができれば、先に到着したトラックを先に呼び出すことができますし、待機問題が解決できる。この二つの機能は、運送会社がもつ動態情報と、倉庫が持つバース情報をかけ合わせたものであり、まさしくモノフルが目指す企業の枠を超えた情報の共有化です。

スマートドライブとは今後どのように連携を深めていきたいとお考えでしょうか。

物流業界の課題を解決するためには、物流を深く理解する必要があり、非常に時間がかかるため、スマートドライブが物流業界に歩み寄るのが必ずしも正解とは思ってはいません。モノフルが間に立つことによって、ニーズを汲み取ったり、足りない部分を補填したり、うまく橋渡ししができればと考えています。

スマートドライブは自社が持っている強みを深堀りしつつ、テレマティクスの領域で存分に強みを発揮してもらいたい。スマートドライブとしてどの領域に特化すべきか、競合他社と比べたときに足りない部分を自社で開発するのか、それとも他社の力を借りるのか、もっともっと思いっ切ってアクセルを踏み込んで行って欲しいですね。

モノフルは業界の特性をすべて捉えたうえでプロダクトも開発できる、物流業界にとっては非常に頼もしい存在です。悩みを持ち込めば、何か良いソリューションを開発して提供してくれるんじゃないか、そういう期待の声が聞こえてきます。

各企業でも、それぞれ課題解決や業務効率の向上に向けて自社開発が進められています。その中で、企業が実現したいことに対して、実行スピードを上げるための支援を私たちができればと思っていて。

トラック簿のようなサービスを一企業が0から開発を始める場合、数千万円の投資だけでなく、利用が開始できるまで早くても一年程度の期間を要します。トラック簿のような汎用性の高い機能に関しては、SaaS型のサービスを組み合わせて利用し、その浮いたリソースを庫内作業や輸配送といったコア業務にさいてもらえるとありがたいです。

この機能欲しいな、と思ったときに気軽に相談でき、手軽に好きなサービスを組み合わせてご利用いただける御用聞きのような存在。痒いところに手が届く、誰にとっても使いやすい、それがモノフルの目指す理想像です。

既存のアセットを最大限に活用しつつ、スピード感と柔軟性のある事業で物流業界の最適化を推し進めるモノフル。今後も新たなサービス展開に目が離せません。

後編へ続く>>

筆者紹介

株式会社スマートドライブ
編集部

株式会社スマートドライブ編集部です。安全運転・車両管理・法令遵守についてわかりやすく解説します。株式会社スマートドライブは、2013年の創業以来、「移動の進化を後押しする」をコーポレートビジョンに掲げ、移動にまつわるモビリティサービスを提供しています。SmartDrive Fleetは、1,700社以上への導入実績があり、車両に関わる業務の改善や安全運転の推進などに役立てられています。また、東京証券取引所グロース市場に上場しています。 SmartDrive Fleetは情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度「ISMS認証(ISO/IEC 27001:2013)」を取得しています。

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