【コストカットの特効薬】法人企業が車両を削減するノウハウとコツ
原材料費・人件費・施設管理費など、企業の利益を左右する必要経費は多岐にわたりますが、なるべく無駄が発生しないようにと経営者や経理担当者は日々模索しています。購入費はもちろん、車検・メンテナンス・燃料代など必要経費が大きくのしかかる車両の削減は、手っ取り早くコストカットが可能でありつつも、実際にどの程度削減すべきかを判断するのは簡単なことではありません。
本記事では、法人企業が車両を削減する際の注意点から具体的なノウハウとコツまでを詳しく解説します。
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目次
新型コロナの影響で経済が冷え込む今―車両削減を推進すべきか否か
新型コロナ感染拡大に伴う政府・自治体からの外出自粛、さらには休業要請の影響で国内経済が大きく停滞、多くの企業と個人事業主は、売り上げ減少による経営悪化に頭を悩ませ、少しでも無駄なコストを削減しようと知恵を絞っています。まさしく非常事態と言える今、経費の中でもコストがかかる車両を下取り・買取・廃車で手放そうと考えている企業も少なくはないはず。しかし、ただ闇雲に数を減らしてしまうと、コロナが落ち着き経済が戻った後、今まで通りの営業力が確保できない可能性もあるのです。
車両数をカットすることで業務スピードが鈍化する業種もありますし、素早く動くことができずにサービスやフォローの質が低下する場合も。つまり、コストカットによって急場をしのげても、売り上げを回復させる手段と方法も一緒にカットする可能性も考えられるため、しっかり考慮をしたうえで車両削減を実施しましょう。
最適な車両台数を明確にするには、稼働率や1台当たりの生産性をデータで捉え、分析を行います。企業の業態や保有台数、営業エリアによって課題が異なります。
都心・地方によって違う?それぞれの課題と車両削減のタイプ
車両削減とひとことで言っても、都心と地方では異なります。公共交通機関が充実している都心部は社用車に、通勤車両が多い地方部は自家用車に着目しましょう。都心部は通勤手段を公共交通機関にスイッチしやすく、駐車場代、交通量が多いことによる事故リスクを回避しやすいのがポイントです。
一方、稼働エリアが広くなる地方部は、社用車数の見直しは難しいものの、次の課題を意識したうえで通勤車両を削減すれば、継続的にコストカットを進めることが可能です。
- 駐車スペースの圧迫・・・「駐車場賃料・管理費」の増加
- 公共交通機関への転向・・・「通勤手当」の増加
- 運転技術・安全意識のばらつき・・・「事故発生率」の増加
都心部の企業が車両削減を進めるポイントと具体策
都心部の企業が社用車削減を進めるうえで留意すべきポイントは、車両管理システムが有する予実管理機能の活用により、予約時間を分散して空予約の削減を図ることです。空予約とは、利用実績以上に予約されていることを指し、午前中予約がいっぱいで抑えられなかった会議室が、午後は誰も利用していないのと同じようなもの。社用車は使用中に動いていますが、予約したものの訪問先の都合で急きょ予定がキャンセルになったり、交通渋滞などで帰社時間がずれ込んだりするケースもあり得るからです。
車両管理システムは複数車両の予約・利用実績をITで一元化でき、使用の有無や予定の変更・削除などの情報をリアルタイムに反映します。どの車両がいつ利用可能か可視化されるため、車両管理者と従業員間で予実状況を簡単に共有できるのが特徴です。また、車載デバイスから取得された情報によって、稼働実績を自動的に記録かつ随時更新されるため、最新の車両利用状況に応じたタイムリーで効率的な予約が可能となり、1台当たりの稼働力を向上させることができるのです。
また、車両管理システムの導入により従業員の動態管理徹底、運行日報作成の自動化、見える化による管理工数の軽減など、生産性向上に直結する業務改善効果も期待できます。つまり、車両管理システムの活用により予実状況の共有と、1台当たりの仕事量向上を実現できれば、業務に支障が出ない範囲での最適な車両削減が可能となり、コロナというピンチを乗り切るだけではなく、業務改善を進めるチャンスに変えられるかもしれません。
問題は自家用車?地方企業が車両削減を進めるポイントと具体策
通勤車両を減らすためには、代替となる公共交通機関(バスや電車)サービスが必要ですが、最寄り駅などへのアクセスが良くない地域では、どうしてもマイカーに頼らざるを得ません。
多くの企業は距離に応じてマイカー通勤者へ毎月、通勤手当を支給したり、駐車スペースを確保したりしていますが、通勤車両の数が増えるほどこれらの必要経費が膨れ上がります通勤手当の支給額に法的な基準はないため、事業主の判断で上限を設定できますが、以下で示す所得税の「非課税限度額」を目安に、1カ月当たりの支給額を決めている企業が大多数を占めています。
【マイカー通勤手当の非課税限度額】
片道の通勤距離 | 1カ月当たりの限度額 |
2km未満 | 全額課税 |
2km以上10km未満 | 4,200円 |
10km以上15km未満 | 7,100円 |
15km以上25km未満 | 12,900円 |
25km以上35km未満 | 18,700円 |
35km以上45km未満 | 24,400円 |
45km以上55km未満 | 28,000円 |
55km以上 | 31,600円 |
※参考:国税庁HP
つまり、従業員「25名」がすべてマイカー通勤で平均片道距離が「20km」だとすると、12,900円×25名×12ヶ月=「3,870000円」もの経費が通勤手当だけでかかってしまう計算になります。そんな中、多くの企業で導入が進んでいるのが会社と最寄駅、もしくは自宅近くに集合場所を設定し通勤手段を確保するシャトルバスで、大企業は自前で送迎バスを運用しているケースもありますが、以下のようなただいものコストと手間がかかります。
- 車両購入・維持費(保険・税金・燃料代など)
- ドライバーの人件費
- 運行ダイヤ・ルートの設定
- 事故発生時の処理
- 故障時の代行車両手配
中小規模の事業所は、各運送業者が提供している契約シャトルバスを採用するのが現実的であり、地域・運行エリア・提供会社によってまちまちですが、朝夕の送迎で1日・2万円程度が相場です。月20日出勤ならば月間の費用は40万円ほど、先ほど算出した通勤手当並びに事務コスト+工数削減を考慮すると、25~27名程度をマイカー通勤からシャトルバスに転換できれば、十分な費用対効果を期待できるでしょう。
また、1社1台にこだわる必要はなく、同じエリア内にある複数社で運用するのも一つの手段です。それには、車両管理システムを用い走行データを集め最適な運行ルートを設定することで、効率よくローコストで通勤車両を削減することも可能です。加えて、契約シャトルバスを導入すれば、前述した自前送迎バス運用時のコストや手間がかかりませんし、交通事故予防や駐車スペースの削減、出退勤管理の徹底、福利厚生の充実、CO²削減による社会的貢献など、経費削減だけに留まらない多岐にわたるメリットも発生します。
とくに、交通事故発生リスクを低減できる効果は大きく、プロドライバーが運転するため安全性の著しい向上が見込めるほか、万が一事故が発生しても人的・物的賠償責任はすべてバス会社が負うため、社のリスクマネジメントを大幅に改善可能です。
都心・地方共通の具体策!カーシェアリングとの併用のススメ
これは都心・地方双方に通じる車両削減の具体策ですが、カーシェア・レンタカー・リースなどを活用し、車両の保有から共有にスイッチすれば、車両管理に要するコストを節約できます。社用車削減がテーマとなる都心部の企業は、車両管理システムで集積した運行データをもとに、空予約削減を進めつつ、次の手順を踏んで段階的にカーシェアリングとの併用を進めれば、生産性やサービスの質を落とすこともありません。
1. 空車時間が極端に長い車両→「処分」
2. ある程度稼働しているが1に次いで空車時間が長い車両→「カーシェア」
3. 出張や遠隔地での単独稼働が多い車両→「レンタカー」
4. 営業所付近で複数人が活用している車両→「リース」
5. フル稼働かつ減価償却が終了している車両→「保有」
一方、都心部と比較しカーシェアの普及が進んでいない地方では、車両管理システムによる綿密な動態管理と安全運転教育の徹底が必要ですが、社用車を通勤車両として従業員に貸与し共有する方法も考えられるでしょう。つまり、社内カーシェアリングによって経費を削減可能ですが、その際には、通勤ルートの指定、通勤以外のプライベートでの使用不可、業務外で事故を起こした場合の責任割合、交通違反に対する罰金はすべて社員が負担、社員以外の他人への貸与・運転禁止、管理台帳の作成など、トラブルを抑制するルールをあらかじめ設けなければなりません。
その際、リアルタイムに車両の動態をチェックできる車両管理システムが役立つほか、安全運転診断機能を有するサービスを活用すれば、通勤・業務双方で事故を抑制することも可能です。また、新型コロナ拡大を受けトヨタレンタリースは4月30日より、法人向けに中古車を低価格でリースするサービス「特別U-Car(中古車)リース」を開始、具体的な車種・価格は店舗によって異なりますが、最長2年間(※)車両をリーズナブルな価格で利用できます。さらに同社は、通勤時間帯にレンタカーを割安な価格で提供する、「通勤アシストレンタカー」プランを翌月13日から期間限定で展開しており、いずれも緊急事態の経費削減対策として非常に有効なサービスです。
※受付は外出自粛要請の解除など、新型コロナ感染拡大が終息したと判断された時点で、随時終了するため要確認。
まとめ
法人が車両削減を進めるポイントを都心部・地方部に分けて解説しましたが、カーシェアリングの併用も含め、総合的にコストカットの対策を行わなければ、日に日に厳しさを増す経済状況を乗り切ることが難しくなります。新型コロナの脅威が過ぎ去るのをただ待つのではなく、車両管理システムを始めとする業務改善ツールやトヨタのレンタカー・リースサービスをフル活用し、社を上げて積極的に経費削減を進めるべきかもしれません。