美味しい料理もドローンで宅配する時代!?物流のトレンドとこれから
先日ブリトーをドローンで宅配するというニュースがちょっとした話題になりました。
具体的にはGoogleが2014年から開始したドローンのプロジェクト「Project Wing」が、メキシコ料理チェーンのChipotleとタッグを組んで空からブリトーを配達する実験を行うというもの。
配達の様子は非公開とのことで、実際の様子が気になる所ですがこれまでも同様の実験はすでに行われてきました。
今回は最近の物流のトレンドについて紹介していきたいと思います。
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これからは料理が空から降ってる時代!?
冒頭で触れたのはブリトーの宅配でしたが、非常に近いものとしてピザをドローンで届けるという実験が行われています。
実施したのは宅配ピザのチェーン店として有名なドミノピザ。米国のドローン開発スタートアップ「Flirtey」(フラーティー)と手を組んで、空路からピザを配達するという斬新なチャレンジです。
配達というよりは空から降ってくるという感覚に近く、かなりシュールな絵ではありますが同時にかなりワクワクしました。
そもそも一箱のピザのためにわざわざドライバーが車なりバイクを運転して、混んでいる道路を通り抜けて目的地まで配達するというのは、あまり効率的とは言えないかもしれません。
ドライバーが余っている時代ならばまだしも、決してそうとは言えない時代においてはこれを無人でできるのであればかなりのイノベーションと言えるでしょう。
注目のドローンスタートアップ「Flirtey」
そしてブリトーやピザの宅配も気になる所ですが、注目しておきたいのが「Flirtey」というドローンを開発する側の企業です。
7月にはネバダ州でセブンイレブンと共同でドローンによる食品の配達を実施。サンドイッチやホットコーヒーなどを実際に顧客の家まで届けることに成功しています。
(1:35 ~ から実際の配達の様子)
先ほどと同様、配達というよりは空から放り投げているような内容ですが、今後の実用化を予見させるような映像となっています。
食品に留まらず、日用品や医療品も!
ドローンを用いた宅配については何も食料品に限った話ではありません。
例えばFlirteyはすでに船の上から陸地へ医療品を届けるという実験を実施しています。この実験自体は大規模な災害などで陸路から医療品を届けることができないシーンを想定されて行われたものです。
確かに大規模な地震で道路が使用できなくなってしまった場合や、台風で道路に水が溜まり車が走れない場合など「一刻も早く医療品が必要だけど届ける手段がない」といったことも十分に考えられます。そのようなシーンでドローンで的確に医療品が届けられるのであれば、より迅速な処置が行える可能性もあります。
(ただし台風の場合はドローンを使うことは難しいと思われますが…)
ドローンを用いた宅配は今後さらに可能性が広がっていくはずですが、
- 小規模の配達
- 陸路が使えない緊急時
などのシーンでは明確にメリットがあるのではないでしょうか。
昨今はフリマアプリなど個人間でネットを通じて売買することが増えてきています。デリバリーなどだけではなく、このようなちょっとした荷物を送る際にドローンという選択肢があると便利そうです。
また最近はオンラインで医者の診断を受けられるサービスもあります。病院が遠い場合やそこまでの時間がない場合などは非常に便利なサービスですが、診断を受けた後にドローンが薬を運んできてくれるとより一層利便性が高まるでしょう。
荷物は増え、運ぶ人は足りないという現実
日本国内の話にはなりますが、これからの物流を考えた時に受け止めないといいけないのが、荷物は増える一方で運ぶ人は不足するという現実です。
国土交通省が発表している宅配便取扱実績によると、年によっては前年に比べ取扱数が減っている場合もありますが、全体的にはゆるやかに増加してきていることがわかります。
インターネットショッピングに加え、上述したようなインターネット上での個人間の物の売買などが増加すれば宅配便の取扱数がさらに増えることも考えられるでしょう。
最近では即時配達など、配達のスピードを売りにしている企業もありますが、利用者にとっては嬉しい一方で物流企業の負担は大きくなります。
ところが、肝心の宅配便を届けるドライバーが不足している状況。
それもただ単に数が足りないというだけでなく、若いドライバーが増えずドライバーの高齢化が年々進んでいるのが現状で、今後ますます宅配便の取り扱い数とドライバーの数とのギャップが広がってしまう恐れがあります。
ドライバーが不要な物流の形
このような状況において、ドローンを用いた宅配のようにドライバーがいなくても成り立つ物流というのは、サービスの質を極力落とさないためにはとても有効なのではないでしょうか。
もちろん現状は法規制の問題もありますし、技術的にも改善の余地が大きくすぐに実用化できるレベルとは言えません。
ですが、そのポテンシャルと社会にもたらすインパクトは非常に大きいと言えるでしょう。
ドローンに限った話ではなく、ヤマト運輸とディー・エヌ・エーが7月に発表したような宅配便の配達に自動運転技術を活かすことも1つの方法です。
大きな課題があるからこそ、イノベーションの余地も大きいと言える物流業界。テクノロジーがどのようにこれまでの常識を覆していくのか、これからも目が離せません。