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新3Kで環境は変わる?建設業界が行うべき現場改革とは

そびえたつ高層マンションや商業施設の建設だけではなく、道路・水道・ガスといった各地域のインフラ整備・維持の担い手でもある建設業者。東北や九州、中国地方の自然災害における復興作業、首都圏の再開発など、各地では大規模なプロジェクトが進められており、私たちの生活を便利にするための基盤を作っていると言っても過言ではありません。

新工法の確立や建築資材の改良によって、以前よりずいぶん従事者の働きやすさが確保されつつありますが、ますます深刻化する人材不足により大きな壁にぶつかっているようです。

新3Kで環境は変わる?建設業界が行うべき現場改革とは

建設業界のイマ

建設産業に関する実証的な調査・研究を実施している非営利団体、(一財)建設経済研究所が2019年1月公開したレポートによると、2018年度の名目建設投資(官民合計・見通し)は約56兆8,400 億円でした。最低水準だった、2010年度の約40兆円から8年連続で増加しており、この堅調傾向は2020年の東京オリンピック前後まで、継続するものとみられています。

問題なのは建設業就業者の減少で、1997年の約685万人をピークに2010年には27.3%減となる、約498万人にまで落ち込んでいます。少子高齢化に伴う人材不足は全業界に通じる課題ですが、建設業の場合は不思議なことに、2010年以降は「ピタリ」と就業者の減少が止まっているのです。

その背景にあるのは、建設業は非常に専門性が高く、重機のオペレーションや各機材の取り扱いなど、経験豊富なベテランが活躍しやすい業種であるため、新規就業者が増加していない半面、年配就業者の離職も少ないということです。

その結果、建設業就業者の約34%が55歳以上なのに対し、29歳以下は約11%にとどまっており、他業種より際立って「高齢化」が進行しているのが現状です。(全産業平均:55歳以上29.7%・29歳以下16.1%)

なぜ、他業種より高齢化の進行速度が早いのか

経験豊かな年配の就業者が業界で長く活躍するというのは素晴らしいことではありますが、先々のことを考えると、彼らが体力的にあと何年現役を続けられるかを見据えつつ、並行して新しいマンパワーを獲得し、技術継承を進めなくてはなりません。2015年には国交省と日本経団連が中心となり、「給料・休日・希望」という「新3K」を提唱し、処遇改善などによる担い手確保に乗り出していますが、現状、建設業界の高齢化に歯止めはかかっていないようです。なかなか拭い去れない「きつい・汚い・危険」の3Kというネガティブイメージの他にも、建設業界が若い世代の就業者を確保できないのには、大きく3つの原因があります。

時代の移り変わりとともに変化する仕事への価値観

現在、建設業界で現場の先頭に立ち、取り仕切っているのは、45~50歳代のベテラン技能者や技術者です。彼らが若手として業界に飛び込んだ頃は「親方・監督・棟梁」などが、現場において絶対的な権力を持っていました。そして、慣れない現場でうっかり作業をミスしてしまうと、監督から大きな声で怒鳴られるということも少なくはありませんでした。

もちろん、これは危険を回避するための注意喚起であり、命を落とし金ない現場で仕事に従事していることを改めて実感させるため行為だったわけですが、今の若い世代には厳しいと受け取られ、あっという間に離職されることも、「パワハラ」として問題化することもあります。

なぜなら、現在の若い世代は叱られながら仕事を身につけていくのではなく、覚えるのではなく、やりがいや楽しさを求め、人間関係やプライベートを重視するからです。時代や環境とともに価値観は変化していくため、バランスを考えた指導をしつつ、未来の人材育成に力を入れていかなくてはなりません。

それには、重機・車両などの「GPS誘導」・BIM・CIMを活用した「業務効率化」・作業マニュアル・工程などの「ペーパーレス化」・VRを活用した「危険予知・回避訓練」など、ICTツールを導入した「ハード」の整備、そしてシステム化を柔軟に取り入れ、安全確保をしながら人材育成計画に時間をかけていくべきかもしれません。

業界特有の給与システム「日給制」による弊害

建設業就業者における、年代別平均年収のピークは45~49歳ですが、これは他業種の賃金ピークが52~55歳辺りであるのに対し、かなり若い水準であると言えます。このピーク時における建設業就業者全体の平均年収は、全産業を通してみても、トップクラスの高水準にあるため、「じゃあ問題ないじゃないか」と思われるかもしれません。

しかし、実際のところ建築・土木などといった建設業界の平均年収を引き上げているのは、大手ゼネコンに属する上級社員や設計エンジニア、また、建設会社の経営者などといった、ごく一部の高額所得者です。中小建設業者の場合は、現場を取り仕切る監督者や施工管理者でも、業界全体の平均より年収が少なくなり、測量士や大型建機のオペレーターなどがそれに続きます。では一般の建設作業員、特に駆け出しの新卒者の平均年収は、他業種より低水準なのかと言えば、実はそうでもありません。

建設業では作業員の給与が月収制ではなく、就業日数に経験や資格などに応じて決められる日給をかけて算出される、「日給制」が採用されていることがほとんどです。そのため、若手の新人であっても休みを減らして頑張れば、他業種の大卒新入社員に負けない年収を稼ぐことが可能ですが、反対に日給制を受け入れることができず、離職する若手就業者も非常に多いのです。

建設業界の慣習である日給制には、基本的に有給が発生しないため、休めば休んだ分、月収が目減りします。また、ケガや急病などのやむ負えない個人的事情はもちろん、台風や大雨などで工事が中止・延期した場合も、受注数の減少といった会社都合であっても、否応なく出勤日数が左右されます。

天候条件や会社都合で必要な作業員数が減少した場合、真っ先に出勤シフトから外されるのは若い新卒作業員となるため、月給制と比較すると収入の安定性が落ちてしまいます。加えて、建設業は年収の上昇スピードが非常に鈍く、厚労省の統計によると高卒で就業した若手従業員の平均年収が250万円だとすると、300万円を超えるのは5年以上の就業期間を経てからです。そして、専門的な技能・技術を取得していない限り、20代のうちに400万円を超えるのは稀なようです。

エンジニアや特殊技能保有者を除く生産労働者の場合、ピークとなる年齢を迎えても業界全体の平均年収に150万円近く及ばない、約500万円あたりが上限年収となってきます。日給制による安定性の低さと、将来的な年収UPに対する不安感、この2つが相まって新卒者の就職率が伸びず離職率ばかり高まっているため、急速な就業者の高齢化が建設業界では進んでいるのです。

長い労働時間と一向に進まない働き方改革

厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によれば、対象となった全産業の年間出勤日数が222日であるのに対し、建設業界の年間出勤日数はなんと251日に達していました。(いずれも2017年度の平均日数です)今や常識化した、完全週休2日体制で就業している建設業者は全体の1割にも満たず、労働時間に換算すると実に336時間に達します。その点を考慮すると、早急な労働時間の短縮と休日の確保、つまり「働き方改革」が急務ということです。

また、同調査では過去の総労働時間水準も確認できますが、全産業の総労働時間が2007年度と比較して約87時間短縮されていたにもかかわらず、建設業界はたったの9時間しか労働時間をカットできていません。取引関係の弱い中小建設業者は、発注企業からの短納期要請や、顧客からの要求などに対応するため、どうしても長時間労働になりやすい点は理解できますが、建設業界では働き方改革の根本である労働時間短縮が、ここ数年ほとんど進んでいないと言えるでしょう。

施工現場はより問題が複雑?

オリンピック施設を想像するとよりわかりやすいかもしれませんが、建設現場の施工範囲は簡単に見渡せるような広さではなく、非常に広大です。その広大な範囲の中でキビキビと作業を行わなくてはなりませんし、現場には工事用の資材搬入トラックが逐次到着します。しかし、都心に行けば行くほど交差点や信号が多く、時間帯によっては人の行き交いも増え、道路は混雑を極めます。ドライバーは安全に意識しながらも現場へ急がなくてはなりませんが、こうした状況により、到着時間が数分、数十分とずれ込むことも少なくはありません。建設現場の入り口には安全確保とトラック誘導のための人員が立っていますが、到着時間がわからずにいると待ちぼうけをすることになり、業務に遅延が発生します。

また、施工現場では、施工管理者や現場監督者をはじめ、多数で多業種の作業者がいます。作業者一人ひとり行動と居場所が把握できれば業務はスムーズに行えるかもしれませんが、現状はそれが難しく、誰がどこで何をしているのかが明確にわからず、スムーズに連携が取れないまま、各々作業に集中している状態です。

そうしたさまざまな観点から、2016年より、国土交通省は建設現場の生産性向上に向けて、測量・設計から、施工、さらに管理にいたる全プロセスの情報化を前提とした新基準「i-Construction」を導入し、全国で進められています。これによって生産性を高め、建設現場での死亡事故を0にし、賃金水準の向上を図る——— しかし、ICT建機が割高で十分に普及されていないこと、また、ICT土工に対応できる技術者・技能労働者が不足していることにより、i-Constructionが実現化するまでにはまだ時間がかかることが予想されます。

そうした点においても、人材不足をいかに補っていくべきか、人材を育てるたるための仕組みをどのように構築していくかを早急に考えていくべきかもしれません。

建設現場の効率化をサポートする安価のITシステム

建機は割高だからいますぐ導入は難しい。でも、システムを導入しても使いこなせるかわからないし…。そんな心配は一切不要で気軽で手軽に導入できるのが、株式会社スマートドライブが提供している「SmartDrive Fleet」です。

導入はどのシステムよりも安価な2,980円〜。  トライアルもあるので、気軽に試していただくことができます。

「SmartDrive Fleet」が解決できるのは、ドライバーの安全を守ること、そして動態管理によって業務効率をサポートすること、これらによってコスト削減ができることです。

・GPSでドライバーの位置がわかる!

リアルタイムでの位置情報がわかることで、現場担当者との連携がスムーズに。現場指揮者は適切な指示出しができ、非効率だった業務を効率アップへと導きます。

・危険運転を検知、安全運転を徹底づける運転診断機能

トラックやダンプには多くの資材が積み込まれています。しかし、もしも人混みの多い中で「急いで到着しなくては」と急加速や急ブレーキなどの危険運転をしていたら、事故の確率も高まってしまいます。デバイスからは、一人ひとりの走行データが収集できますので危険運転を指導したり、場合によってはドライバーが安心して到着できるための余裕を持った配送ルートの作成も可能に。詳細な運転診断では運転の癖を可視化させて後ほど管理者とドライバーが確認することができるようになっています。苦手/危険な箇所がわかれば、適切な安全運転指導を実施できますし、事故を未然に防ぐための対策が行えます。

・運転日報を自動で作成・集計できる

長時間労働が多い建設業界にとっては10分でも20分でも労働時間を短縮したいもの。今まで手書きで作成・集計していた運転日報もすべて自動作成しますので、事務作業にかかっていた時間を一気に削減し短縮します。

今後、労働力不足や技能の継承を早急に解決するには、システム導入による自動化と省力が必須になってきます。是非お気軽にお問い合わせください!

筆者紹介

株式会社スマートドライブ
編集部

株式会社スマートドライブ編集部です。安全運転・車両管理・法令遵守についてわかりやすく解説します。株式会社スマートドライブは、2013年の創業以来、「移動の進化を後押しする」をコーポレートビジョンに掲げ、移動にまつわるモビリティサービスを提供しています。SmartDrive Fleetは、1,700社以上への導入実績があり、車両に関わる業務の改善や安全運転の推進などに役立てられています。また、東京証券取引所グロース市場に上場しています。 SmartDrive Fleetは情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度「ISMS認証(ISO/IEC 27001:2013)」を取得しています。

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