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【解説 / テンプレ付】運行指示書の作成方法とポイント

トラック輸送を業務としている会社が、2泊3日以上の運行を行うときに必要とされる運行指示書。中間点呼が必要な場合に作成をしなくてはなりませんが、実際に作成するのは手間がかかるし面倒だ…という声も聞こえてきます。この記事では作成ポイントとともに、無料でダウンロードできるテンプレートをいくつかご紹介します。

【解説 / テンプレ付】運行指示書の作成方法とポイント

令和6年度版 トラック事業者向け通信型デジタルタコグラフ導入メリットと補助金活用ガイドブック

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SmartDrive Fleet導入実績

運行指示書とは

「運行指示書」とは、運行予定時刻や経由地、休憩地及び休憩時間、到着予定地及び時間など、運行にあたっての計画が記されたもので、運転者は運行指示書のもとに運行しなければなりません。2003年より、法改正に伴う営業区域の廃止が行われたことで、事業者は全国での営業が可能になりました。そうした背景から、2泊3日以上の長距離輸送が増えることを見込み、運行指示書を作成してドライバーに指導・監督を行うことが義務付けられています。

2016年1月に発生した軽井沢スキーバス転落事故では、会社がドライバーに渡していた運行指示書には出発地と到着地のみしか記載されておらず、どのルートを走行するか、どこで休憩をとるかなどの行程表が無い杜撰な運行管理が明るみに出て、大きな問題になりました。

それだけでなく、他のツアーバス会社でも運行指示書の不備が指摘されるなど、運行指示書に関する問題が浮き彫りになり、世間でも注目を集めています。軽井沢スキーバス転落事故の5日後に東京都新宿区の路上で行った該当抜き打ち監査にて、乗客を乗せる前のバス6台中、5台で運行指示書の記載漏れなど合計8件の違反が見つかっています。

こうした事案からわかることは、ドライバーと乗客の健康と安全を守り、悲しい事故を防ぐためにも運行指示書が必要不可欠であるということです。

運行指示書が必要なシーン

貸切バスなどの一般貸切旅客自動車運送事業の場合はすべての運行において必要となり、日帰りであろうと宿泊を伴う運行であろうと全て運行指示書を作成し、運転者に携行させなければなりません。

貨物自動車運送事業が運行指示書の作成が必要な場面は、48時間を超える中間点呼を必要とする乗務、または、48時間以内でも出発及び到着のいずれも対面点呼ができないというときです。しかし、48時間を超えない貨物運行でも、時間の変更を理由に出発も到着も対面点呼が出来なくなった場合や、運行内容の変更で48時間を超える運行になってしまう場合は、乗務員に連絡したうえで、運行指示書を運行管理者が作成しなくてはなりません。つまり、どんなに急ぎの仕事が入ったとしても48時間を超える運行の乗務する際には、運行指示書が必要だということです。

運行指示書を携行させないまま、「時間無いから、とりあえず向かってくれ」というのは、ルールに違反することとなりますが、ある程度の行先別のフォームを作成し、基準となる運行指示書がベースとしてあれば、それをコピーして運行指示書の正と副を作成後、ドライバーに携行させることができます。

運行指示書に必要な項目とポイント

運行指示書の記載事項は、貨物自動車運送事業安全規則(運行指示書による指示等)で決められており、第9条3項に運行指示書に記載しなければならない7つの項目が記載されています。

1、運行の開始及び終了の地点及び日時
2、乗務員の氏名
3、運行の経路と主な経由地における発車、到着の日時
4、運行の際に注意を要する箇所の位置
5、運行の途中で乗務員に休憩を与える場合は、休憩場所(地点)と休憩時間
6、乗務員の運転または業務の交代がある場合は、交代する地点
7、その他運行の安全を確保するために必要な事項

運行指示書は、正と副の2部を作成しなければなりません。正は乗務員が携行し、副は営業所で保管し、乗務員が運行から戻ってきたら、正と副をひとつにまとめて運行の終了の日から1年間保存します。

運行途中で経由地の変更等があった場合は、運行管理者の指示のもとで変更し、その内容を運行指示書に記入しなければなりません。また、ドライバーは乗務日報にも変更の旨を記入します。正と副の両方に記入しますが、会社に戻ってから運行指示書の内容が正と副で一致しているか必ず確認しましょう。

一泊二日の運行予定や日帰りの運行予定が時間等の変更により出発も到着も対面点呼を受けることができなくなったら?

この場合、運転者は運行指示書を携行していないため、運行管理者が指示書を作成し、運転者に電話等で指示した内容、日時、運行管理者の氏名を運行指示書の正と副に記入します。運転者は乗務記録や日報に同様の内容を記入し、運行終了後に運行指示書正と副に乗務日報をひとつにして保存しましょう。

運行指示書を作成しよう

運行指示書を作成するには、次の3つの方法があります。

・市販されている運行指示書に手書きで書く
・フリーダウンロードが可能なエクセルやPDFを活用する
・車両管理や運行管理を行うツールを活用する

市販されている運行指示書

出典:東京都トラック運送事業協同組合連合会

東京都トラック運送事業協同組合連合会で取り扱いのある運行指示書は二枚複写30枚つづりで480円です。記載例も載っているので、手書きの方が慣れている!という方には使いやすいでしょう。

エクセルやPDFを活用する方法

出典:長野トラック協会

・トラックジャパン 運行指示書(エクセル・PDF・記入例)

トラックジャパンで提供しているテンプレートはエクセル形式とPDF型式があります。エクセル形式は、ダウンロードして行先別に運行指示書のフォームを作成・保存しておくことで、作成がスムーズに行えます。

・長野トラック協会 運行指示書

運行指示書のみでなく、各種申請・届出関係、運送約款、各種帳票類のテンプレートがダウンロード可能です。

車両管理や運行管理を行うツールを活用する方法

運行支援システムのオプションとして備えられているものが多いようです。自社のニーズに合うものを選び、取り入れましょう。

作成時の注意点:改善基準に注意しよう

運行指示書は、無理のない運行計画に加えて、労働時間等の改善基準に違反しないように作成してください。一部の例を以下にあげます。

・運転者の拘束時間は13時間以内を基本とし、延長するとしても最大で16時間が上限
・15時間を超えるのは週に2日まで
・運転時間は2日平均で9時間とされているため、最大9時間を目安にする
・勤務から翌勤務までは8時間の休息時間が必要
・フェリーを利用する運行の場合には、フェリー乗船中はドライバーの休憩時間とする(たとえば、フェリー乗船時間が10時間の場合、ドライバーは10時間休憩したことになる)

さらに、3日から4日間と長期的な運行になれば、運行指示書の作成も難易度が上がります。最近では過労運転による事故によって連続運転時間も厳しく決められています。これについてはトラックもバスも共通で、4時間運転する中で必ず30分の休憩をとらなければなりません。

1回の休憩は10分以上とし、10分未満の場合はノーカウント、つまり休憩したことにならないのです。例として、15分×2回、20分+10分以上はOKです。25分+8分は合計で33分ですが、1回の休憩で8分は認められませんので違反となります。

連続運転時間が守られている例

8時30分運転開始(運転時間1時間20分)
9時50分から10時05分まで休憩 (15分)
10時05分運転再開(運転時間1時間35分)
11時40分から11時55分まで休憩 (15分)
※2時間55分の運転で30分の休憩でクリア
11時55分運転再開 13時10分目的地到着
クリア後1時間15分の運転であるため問題ありません

連続運転時間での違反例

8時30分運転開始 (運転時間1時間20分)
9時50分から10時15分まで休憩(25分)
10時15分運転再開 (運転時間1時間40分)
11時55分から12時00分まで休憩 (5分)
※5分の休憩は休憩にカウントされない
12時00分運転再開 13時10分目的地到着 (運転時間1時間10分)
運転時間合計4時間10分の中で、休憩がカウントされたのは25分のみのため違反です。

運転時間及び休憩時間が守られていても、実際はサービスエリアが満車で停車できなかったり、時間を忘れて目的地へ急いだりと、改善基準に違反するケースは少なくありません。デジタルタコグラフ装着車であれば、車が動いていない休憩時間をしっかりカウントしますので、正しい乗務時間がしっかりと記録されます。そうすれば、運行管理者は適正な指示出しを行えるようになるのです。

正しい勤怠を理解すれば、適正な時間を割り当てられる

営業所からは見ることができないドライバーの正しい休憩時間。長時間・長距離運転をしていると、疲れはさらにたまりますので、しっかりとした休憩時間が取得できなければ、最悪の場合、過労運転になることも…。そうなると、居眠り運転など、事故を起こす可能性も高まります。

ドライバーの勤怠時間を把握するのも運行管理者の大事な仕事ではありますが、ドラレコやデジタコは導入に金額や手間がかかるし、簡単には決められない。そんな時にオススメしたいのが、スマートドライブの提供するSmartDrive Fleet です。

どこでどんな運転をしていたのか、どこで待ち時間が発生したのかなど、今までわからなかった情報がすべて”見える”ようになるため、休憩時間の予測や運行ルートの改善に役立てることができます。また、長時間労働が疑わしいドライバーの様子を追っていれば、ルートの最適化や業務量の見直しなど改善が行えるようになります。改善ポイントがわかれば余剰配車もなくなり、結果としてコスト削減にもつながります。

また、ドライバーとしては手間になる運転日報も自動で作成しますので、ドライバーは本来の業務に集中し、休み時間もしっかり取得することができるのです。運転診断からは苦手な箇所もわかるため、運行管理者は適切な指示出しを行えます。労務管理や運行管理をしっかりサポートする機能をたくさん備えていますが、金額はデジタコやドラレコより格段と安く、月額2,480円〜です。

SmartDrive Fleetの資料は、ぜひこちらから資料請求ください。

筆者紹介

株式会社スマートドライブ
編集部

株式会社スマートドライブ編集部です。安全運転・車両管理・法令遵守についてわかりやすく解説します。株式会社スマートドライブは、2013年の創業以来、「移動の進化を後押しする」をコーポレートビジョンに掲げ、移動にまつわるモビリティサービスを提供しています。SmartDrive Fleetは、1,700社以上への導入実績があり、車両に関わる業務の改善や安全運転の推進などに役立てられています。また、東京証券取引所グロース市場に上場しています。 SmartDrive Fleetは情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度「ISMS認証(ISO/IEC 27001:2013)」を取得しています。

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