コネクテッドカーでクルマもIT化する時代
インターネットとスマホの普及により、いろんなモノと情報が繋がる時代になりました。インターネットと繋がることで、あらゆるモノとヒトとが繋がることになり、多くのインフラやサービスが受けられるようになります。
そうした技術を搭載したスマートグラスやスマートセンサー、スマートウォッチなど様々なウェアラブル製品が販売されるようになりましたが、クルマもインターネットとつながる時代になってきているのです。つながるクルマ・コネクテッドカーは私たちの未来をどのように変えていくのでしょうか?
3分でわかるSmartDrive Fleet
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目次
そもそもコネクテッドカーって何?
コネクテッドカーとは、インターネット通信技術を搭載したクルマの総称です。自動車のIoT化が進み、センサーによって周辺環境を察知して外部に伝達するとともに、他の自動車や道路状況などといった外部からの様々な情報サービスを受けることもが可能になり、快適性や安全性の向上が実現されるシステム、及びアプリケーションを指します。車両の状態や周囲の道路状況などの様々なデータをセンサーから取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、新たな価値やサービスを生み出すことに期待が寄せられています。
今まで国内の無線接続といえば、渋滞や交通規制などをカーナビなどの車載器に表示するVICS(Vehicle Information and Communication System: 道路交通情報通信システム)が一般的に知られているかもしれません。コネクテッドカーがVICSと違うのは、インターネットを介して外部とつながっているため、外部から送られてくる一方向の情報だけではなく、双方向において通信ができるという点です。
コネクテッドカーが注目されている背景
今まではカーナビやETC車載器といった通信機器が主流だったかもしれません。政策として進められている背景には、以下の3つがあげられています。
・無線通信の高速・大容量化により、リアルタイムかつ容量の大きなデータを送受信可能になったこと。
・車載情報通信端末の低廉化や同等アプリケーションを搭載したスマートフォン等による代替化が進んでいること。
・クラウド・コンピューティングの普及により、データの迅速かつ大容量な生成・流通・蓄積・分析・活用が可能になったため、ビッグデータの流通が大幅に増加してきたこと。
これらによって、(1)事故の発生時に自動的に緊急通報を行うシステム(2)走行実績に応じて保険料が変動するテレマティクス保険(3)盗難時に車両の位置を追跡するシステムなど、次々とサービスが生まれ、実用化されつつあります。
次々と生まれるサービス
緊急通報システム「eCall」
2018年3月31日から欧州連合(EU)では自動車事故によって失われる人命を減らすことを目的としたeCall(緊急通報)システムの装備が義務化されました。一部の自動車メーカーは、義務化以前からすでにナビゲーションシステムの一部として顧客にeCallを提供していましたが、2018 年3月31日以降は型式認定を受けた新型の乗用車全車に標準装備されます。ドイツ・フランス・イギリスでは、2020年までにコネクテッドカーがほぼ100%になると予想されています。eCallによって、救急隊員は事故現場により迅速かつ正確に到着できるようになるため、毎年約2,500人の命が救われ、重傷者の数も約15%低減するとEUは試算しています。
テレマティクス保険
日本でも本格的に普及されつつあるテレマティクス保険。テレマティクスと呼ばれる技術を駆使して自動車や運転のデータを取得・分析した上で、それを元に事故の発生確率を割り出して保険料率を算定するという仕組みです。急発進や急ブレーキの回数、運転時間帯、運転傾向、走行距離など細かな情報を収集し分析して保険料が設定されるため、安全運転への意識向上や事故の防止が期待されています。
盗難車追跡システム
盗難車両追跡システムとは、車両の盗難が判明した場合に車両の位置を追跡することができるシステムのこと。例えば、無理なドアのこじ開けなど異常が察知された場合に、アラームでスマホに通知を送ったり、利用者の要望に応じて盗難車両の位置を追跡することができます。
これらのサービスだけではなく、点検時期を事前に知らせてくれたり、今までの走行履歴から行き先や経路を予測し、事故・渋滞・天候・残燃料の案内をお知らせしてくれたり、ドライバー一人ひとりに対して、安全かつ快適なカーライフを演出してくれるのが次世代のクルマ・コネクテッドカーなのです。
コネクテッドカー + 別の何か
上記の例は車自体がコネクテッドになることで提供できるサービスですが、コネクテッド車と何か別のものがコネクテッドになることによって提供されるサービスもこれからはどんどん市場に出てくることが予想されます。
概念としては以前からある、スマートホームとしての構想もそれです。コネクテッドになった家と車がつながることで、帰宅少し前になると自動でエアコンがついたりお風呂がわいたり、GPSが家族に自動で送られることで突発的な買いものもお願いできたりなど、様々なユースケースが生まれそうです。最近では Amazon Alexa や Google Home などのAIアシスタントもよく話題になりますが、そういったサービスと繋がることでもコネクテッドカーの使われ方の幅はグッと広がりそうです。
その先には、もっと道路や信号、路上を走るものすべてがコネクテッドになっていく世界がありそうです。
2020年以降はコネクテッドカーが主流になる?
矢野経済研究所が2017年に実施した国内のコネクテッドカー関連市場に関する調査では、2016年の国内コネクテッドカー市場規模はB2C市場が712億円、B2B市場は1,850億円、研究開発投資が1,418億円、合計で3,980億円に推計したことがわかりました。
コネクテッドカーは車両の走行情報をセンサーなどで取得し、クラウド上に収集・解析をするものへと変化しており、新たなサービスの伸長や研究開発への投資で、2020年の国内コネクテッドカー関連市場規模は1兆円規模に拡大すると予測されています。また、コネクテッドカーの増加に加え、プローブ情報を使ったサービスやクラウドADASのサービス等の利用が拡大されていくことから、2025年の市場規模は2兆円規模となるとも予測されているのです。
さらに世界規模で見ていきましょう。Counterpoint社の調査結果によれば、世界のコネクテッドカー市場は2020年までに270%成長し、接続機能を搭載した出荷予定の乗用車は、2018年から2022年の間に1.25億台に達する見通しです(接続機能を持つ乗用車の出荷台数のため、アクティブな接続数ではありません)。コネクテッドカー市場を出荷台数の面でリードしているのはGM。そこにドイツのBMW、アウディ、メルセデスベンツが続きます。BMWは「コネクテッドドライブ」、アウディは「アウディコネクト」の搭載車を拡大。上位自動車4ブランドを合計すると、2017年のコネクテッドカーの出荷の90%を占めています。日本でもコネクテッドカーが主流になる日は近いかもしれませんね。