運送会社は「クラウド型勤怠管理システム」を導入すべきか?
みなさんの会社ではどのように従業員の勤怠管理をしているでしょうか?
配送業務にかかる時間がひとりひとり違う物流の世界では、タイムカードや紙の日報といった手作業のみで勤怠管理をしていると、思わぬ記載ミスや抜け漏れなどのトラブルが発生してしまうことも…。
そこで今回は運送会社が活用すべき最新「勤怠管理システム」の特徴やそのメリットについてご紹介します。
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目次
勤怠管理システムは今、クラウド型が主流
「勤怠管理システム」とは、おもに企業が自社の従業員の出退勤時間を管理するために使用するシステムのことをいいます。
デジタル式の勤怠管理システムが登場するまでの間、各企業はタイムカードを使ったアナログ式のタイムレコーダーや紙の日報を使用していましたが、人事担当者は手作業で全員分の勤務時間を計算しなければならなかったため、大変な労力を要しました。
そんななか技術の発展と共に誕生したのが、端末からの入力やICカード、生体認証システムなどを用いて社員の勤務時間を管理できる、デジタル式の勤怠管理システム。
さらに最近ではクラウド技術が向上したことにより従業員各々の勤怠・就業データの情報がデータベース上で集約でき、多数の部署や支店を持つ大企業でも情報を一元化できるようになったため、多くの企業でクラウド型の勤怠管理システムが利用されるようになってきています。
物流業界で給料をめぐるトラブルが度々発生
企業がしっかりと勤怠管理をしていないと、従業員が少しでも給料を上げようと虚偽の報告をしてくることがあります。
特に勤務時間のほとんどを社外で過ごす物流業界では、実際にドライバーと事業者との間でさまざまなトラブルが発生しているようです。
ドライバーが本来の出発時間よりも2時間早く出発し、2時間分の給与の未払いを事業者に訴えてきたり、ドライバーが残業代の未払いを理由に訴訟を起こしたが、訴えたドライバーが勤務時間中に遊んでいたことが判明。ドライバーは素行不良を認めたものの、最終的には事業者側が250万円を支払うことで和解となりました。
これらは実際に起こったトラブルのほんの一部です。
昨今労務コンプライアンスへの関心が高まっている中で、時間外労働・休日労働・深夜労働等、割増賃金などの不払いは、企業にとって大きなリスクとなります。残業や直行・直帰、年休の申請ルールを整備し、雇用形態の多様化の合わせ、それぞれに見合った勤怠管理システムの導入は今後もますます拡大し続けることでしょう。
勤怠管理システムを導入するメリット
やむをえぬ残業や直行・直帰、有給休暇の取得等の申請や承認など、紙ベースで行われていると管理が困難になるケースは多々あります。また、残業や年休申請では、事後申請が常態化しているためチェック機能がルール通りにいかないことも。そこで一役を担うのが勤怠管理システム。
その勤怠管理システムには、アナログ式の勤怠管理方法と比べると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
集計にかかる時間やコストを大幅に削減
タイムカードや紙の日報からの転記作業は、1日に30分程度しか掛からない作業だとしても、半年・1年スパンで考えると時間的コストは膨大です。
加えてこの作業を高給取りの管理職にさせているとしたら、金銭的にもかなり浪費しているといえるでしょう。
勤怠管理システムは従業員の勤務時間を自動で計算・集計してくれるので、導入すれば時間的・金銭的コストを大幅に削減することができるようになります。
給与を一緒に計算できる
勤怠管理システムは給与計算システムと連動させることができるので、正確な出退勤時間を記録すると同時に、自動的に給与額の計算をしてくれます。
人間が計算するにはやっかいな残業代、休日手当、夜勤手当、有給などもミスなく計算してくれるので、導入の際にはぜひ給与計算システムと連動させましょう。
従業員の不正を防止できる
手書きの日報を使って出退勤時間をドライバー自身に記入させると、人によっては給料を上げるために虚偽の報告をしてくることがあります。またタイムカードを使用する場合でも、他人に打刻をさせて実際より長く働いたかのように見せかけることもできてしまいます。
デジタル式の勤怠管理システムを活用すれば、そのような従業員による不正を未然に防止することができるのです。
外出先からでも打刻できる
勤怠管理システムのなかには、GPS機能付き携帯電話やスマホと連携できるものもあるので、それを使えば従業員が外出先からでも打刻できるようになります。
また、システムの管理者はGPS機能を使って打刻時の従業員の居場所も把握できるので、その打刻が正しいかどうかの判断もできます。
法改正にもスムーズに対応できる
もし労働基準法が改正され労働時間や給与の計算方法が変わってしまうと、担当者は改正内容を正確に把握した上で対応をしなければならなくなります。
勤怠管理システムであれば、こういった労働法の改正にもアップデートで対応できるので、導入しておくととても便利です。
運送会社が使いやすい勤怠管理システム
日々の業務の一つでもある勤怠管理。そこで多くのドライバーを抱える運送会社が導入しやすい勤怠管理システムを3つご紹介します。
「勤怠ドライバー」
株式会社ロジ勤怠システムが提供する「勤怠ドライバー」は、その名の通り運送会社専用に開発された勤怠管理システムです。
複数の運送会社の経験や意見を基にシステムが設計されており、デジタコメーターとの連携も可能。車両管理ごとに定期点検の管理機能も備えており、勤怠以外にもドライバーの安全に勤務できるようにサポートされています。さらに運送業に強い社労士がアドバイスをしてくれるので、運送会社にとって最も使いやすい勤怠管理システムのひとつといえるでしょう。
基本料金は初期導入費用が10,000円、月額利用については10,000円から(オプション追加やアカウント数により変動、カスタマイズ可)となっています。
「バイバイタイムカード」
マイクロバーコードを開発する株式会社ネオレックスの「バイバイタイムカード」は、バーコード、QRコード、Felica、指静脈認証といった、さまざまな認証手段が用意された勤怠管理システムです。クラウド上で情報を共有できるので、複数の拠点を持つ大企業に適しています。
物流業界では2010年にヤマトグループの「神戸ヤマト運輸」が導入をしており、同社が保有する長距離運輸用トラックに打刻用のアプリをインストールした携帯電話を配備したことで話題にもなりました。
また、この勤怠システムの魅力は平均レスポンスタイムが0.02秒であること。アクセスが集中して動作が遅くなるとやる気まで奪い、作業効率の低下にもつながります。高い技術力を持つシステムでサクサクと快適に勤怠管理が行えます。
「Disynapse(デシナプス)TA」
「Disynapse TA」は、運輸業に特化した総合管理システムを得意とする株式会社情通が提供する出退勤システムです。
ほかの勤怠管理システムにはない特徴として、出退勤時や出張の際にWebカメラを使って従業員本人の画像が記録されるので、別人によるなりすましを防止できるという利点があります。また、同社の提供する点呼システムとの連携でアルコール測定値や車両、運転手名といった項目の確認もよりスムーズに。
クラウド型勤怠管理システムから集まる統計データを活用する
就業時刻が不規則で、なおかつ事業所にいない時間のほうが長い長距離トラックドライバーを多く抱える運送会社では、昔ながらのアナログな方法で勤怠管理をするのは非常に困難なもの。
勤怠管理システム(特にクラウド型)を活用すれば、事業所にいながらドライバーたちの勤怠状況を管理できるようになるので、管理職の強い味方となるはずです。
さらに勤怠・就業管理システムで集約したデータは、分析ツールとして活用ができます。どこに時間外労働などが集中してしまっているのかなどを可視化することで、より効率的なリソース配分も可能になります。そういう意味では、単に効率的に勤怠管理するということ以上に、会社の重要な経営判断の助けとなるデータソースも提供する役目を担ってくれそうですね。