この記事を読むと
- 選任に必要な資格要件を網羅的に把握できる
- 選任後の届出方法と必要書類を理解できる
- 管理者が行うべき9つの実務内容がわかる
- 不選任時の罰則リスクを正しく認識できる

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安全運転管理者の資格要件とは 一定台数以上の自家用車を使用する事業所で選任することが必要なは、安全運転管理者を選任することが義務付けられています。 参考記事:安全運転管理者とは | 対象企業や届出・講習までやさしく解説 …
安全運転管理者の資格要件とは
一定台数以上の自家用車を使用する事業所で選任することが必要なは、安全運転管理者を選任することが義務付けられています。
参考記事:安全運転管理者とは | 対象企業や届出・講習までやさしく解説
安全運転管理者または副安全運転管理者の任命および資格要件については、道路交通法施行規則第九条の九(安全運転管理者等の要件)で詳しく定められています。
安全運転管理者の資格要件
・年齢が20歳以上(副安全運転管理者を選任する場合は30歳以上)
・運転管理の実務経験が2年以上
出典:道路交通法施行規則第九条の九(安全運転管理者等の要件)
副安全運転管理者の資格要件
・年齢が20歳以上
・1年以上、運転管理の実務経験が1年以上ある、または3年以上の運転経験が3年以上あること
出典:道路交通法施行規則第九条の九(安全運転管理者等の要件)
選任できない欠格事由
上記の資格要件を満たしていても、次にいずれかに該当する方は、安全運転管理者および副安全運転管理者に選任できません。
- 過去2年以内に公安委員会の解任命令を受けた者
- 過去2年以内に次の違反行為をした者
- ひき逃げ
- 無免許運転、酒酔い・酒気帯び運転、麻薬等運転、妨害運転
- 無免許運転にかかわる車両の提供、無免許運転車両への同乗
- 酒酔い・酒気帯び運転にかかわった車両・酒類を提供
- 酒酔い・酒気帯び運転車両への同乗
- 酒酔い・酒気帯び運転、麻薬等運転、過労運転、無免許・無資格運転、最高速度違反運転、積載制限違反運転、放置駐車違反、いずれかの交通違反の下命・容認
- 自動車使用制限命令違反
安全運転管理者を選任した後の届出方法
安全運転管理者を選任したら、15日以内に事業所の所在地を管轄する警察署の交通課へ届出を提出しなくてはなりません。届出には、警察署の窓口へ直接提出、郵送、申請サイトでの必要書類のアップロードの3つの方法があります。届出には以下の書類が必要です。
- 安全運転管理者に関する届出書
- 戸籍抄本または住民票またはマイナンバーカードの写し
- 自動車の運転管理について2年以上の実務経験がある場合は「運転管理経歴証明書」、2年未満の場合は「安全運転管理者等認定申請書」
- 運転記録証明書(1通)3年間または5年間のもので、届出日より1ヵ月内に発行したもの
安全運転管理者の届出方法について詳細が知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
参考記事:安全運転管理者の届出方法とは?必要書類や届出を怠った場合の罰則を解説
安全運転管理者が行うべき9つの業務
運転者の適性や状況を正確に把握する
ドライバーひとりひとりの運転免許種別や更新時期の把握に加え、運転技能をチェックするために同乗指導を実施してそれぞれの適性や状況を確認します。また、ドライバーの「運転記録証明書」に目を通し、過去の違反歴などを把握することも重要です。
安全を確保する運行計画を作成する
ドライバーの安全を第一に考えつつ、業務効率が高い運行計画を作成します。ドライバーの運転スキルや運行条件に合わせて柔軟に計画を調整しましょう。
異常気象時の安全確保措置を講じる
地震や台風、豪雨、津波といった異常気象が起きた場合や緊急対策が必要な場合に備え、安全を守るためにどのような対応をすべきか安全確保措置を講じます。具体的にはマニュアルなどを作り、ドライバーや関係者に周知徹底します。
運転前後のアルコールチェックを徹底する
運転前後のドライバーに対し、酒気帯びの有無を確認するために顔色や体臭の確認をしながらアルコールチェッカーを用いて検査を実施します。アルコールチェックは抜け漏れがないようにしましょう。
アルコールチェックの記録を1年間保存する
アルコールチェッカーで酒気帯びの有無を確認したら、確認した日時、確認者名、運転者名、車の識別番号、確認方法、酒気帯びの有無、 指示事項について記録し、1年間保存します。また、アルコール検知器を常時有効に保持できるよう、定期的な点検やメンテナンスを実施します。
運転日誌を備え付け、運転状況を記録する
運転および稼働状況を把握するために、必要な項目を記録する運転日誌を備えつけ、その内容に目を通します。運転日誌にはドライバーの氏名、運転開始と運転終了の日時、走行距離、使用車両などを記載します。各ドライバーの状況を把握し、改善やフォローすべき箇所があれば適切な指示を行います。
運転者に対して安全運転指導を行う
全ドライバーに対し、「交通安全教育指針」にもとづいた安全運転教育、実車を用いた運転指導、事故映像など事例を題材にした勉強会など、事故防止に向けた指導を行います。
点呼と日常点検による安全運転の確保
運転前に点呼等を行い、過労や睡眠不足、体調不良などによって運転に影響を及ぼす状態ではないかを確認します。また、日常点検と整備の実施状況について確認と指示を行い、必要に応じて適切な指示を与えます。
長距離運転または夜間運転時に交替するドライバーを配置
長距離運転または夜間運転になる場合、過労や睡眠不足で安全な運行が確保できない恐れがあるため、交替するためのドライバーを配置します。
安全運転管理者制度に関する罰則
安全運転管理者制度に関する罰則内容について、2022年度の法改正により見直しが行われ、罰則内容の追加と違反金の引き上げが実施されました。現在では、次の4つの罰則が設けられています。
- 選任義務違反
道路交通法第74の3において、一定台数以上の自動車を使用する事業者は安全運転管理者を選任し、必要な手続きと届出を行うことが定められています。対象であるにもかかわらず、安全運転管理者を選任しなかった場合、選任義務違反として50万円以下の罰金が科せられます。
- 解任命令違反
道路交通法第74の3第6項では、安全運転管理者が選任条件を満たしていなかったり、実施すべき業務を怠っていたりした場合、行政機関より解任が命じられます。その解任命令に従わず、安全運転管理者に選任し続けてしまうと解任命令違反となり、50万以下の罰則が科せられる場合があります。
- 是正措置命令違反
道路交通法第74の3第8項では、規定を遵守せず、安全な運転が確保されていないと認められた場合、自動車の使用者に対して是正に向けた必要な措置を取るよう是正措置命令が発令されます。しかし、この是正措置命令に従わず、安全確保に向けた対策を講じず、必要な機材の整備もしなかった場合、是正措置命令違反として50万以下の罰則が科せられる場合があります。
- 選任解任届出義務違反
安全運転管理者を選任または解任した際、前述したように15日以内に届出を提出しければなりません。届出の提出を怠ってしまった場合、選任解任届出義務違反として5万円以下の罰金が課せられます。
罰則に関しての詳しい解説と具体的な事例については以下の記事をご参照ください。
参考記事:安全運転管理者の罰則金は50万円。飲酒運転の事故事例や罰則強化の背景を解説
安全運転管理者の資格に関するよくある質問
安全運転管理者の資格についてのよくある質問をご紹介します。
複数の事業所での兼任はできない?
適正な安全運転管理業務を行うためにも、安全運転管理者は複数の事業所などを兼任できません。条件を満たす場合は、必ず各事業所でに安全運転管理者を選任してください。
運行管理者がいれば選任は不要?
事業所で運行管理者をすでに選任している場合、安全運転管理者を選任する必要はありません。
事業用自動車(主に緑ナンバー)を使用して事業を行っている事業所は、道路運送法や貨物自動車運送事業法によって運行管理者を選任することが義務付けられているため、安全運転管理者の選任は不要とされています。しかし、安全管理の観点で運行管理者に加えて安全運転管理者を選任することについては問題ありません。
会社の移転時にも変更手続きが必要?
会社が移転した場合も、手続きは必要です。変更した日から15日以内に、移転先を管轄する警察署へ安全運転管理者等変更届出書」を提出しましょう。
変更届には、移転したことがわかるように所在地欄を上下に分けて、新旧の所在地を記載し、備考欄には移転日を記載します。書面と合わせて安全運転管理者証も提出してください。
まとめ
安全管理の体制を構築し、事故のリスク低減と業務効率向上につなげるためにも、安全運転管理者を適切に選任することは企業にとって重要な取り組みです。未選任や届出の未提出などの違反が発覚すると、企業の信頼を失うことになってしまうため、リスクマネジメントの観点でも必ず資格要件を満たした安全運転管理者を選任し、15日以内に届出を提出しましょう。
