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運転前に知っておくべし!あのお酒は何時間で抜けるのか

同じ量でも、お酒の種類によってアルコール度数は大きく異なります。日常的に運転する業務がある場合、安全運転を行うためにも摂取した純アルコール量を把握し、飲んだお酒の分解時間を把握しておくことが重要です。


本記事では、純アルコール量の目安、遺伝子別分解時間、そして万が一飲酒運転をした場合の罰則について解説します。

運転前に知っておくべし!あのお酒は何時間で抜けるのか

アルコールは寝るだけでは抜けない?

「昨日のお酒だからもう抜けたはず」「飲酒量が少ないから大丈夫だろう」

このように、眠ればアルコールは抜けるという誤った認識を持った人は意外と多く、気づかないうちに体内にアルコールが残ったまま運転をしてしまうケースもあるそうです。アルコールが体から抜けるまでの時間を正しく理解するために、まずは純アルコール量の目安を把握しましょう。

種類別の純アルコール量の目安

出典:厚生労働省「e-ヘルスネット 飲酒量の単位

純アルコール量を計算する

お酒のラベルには、必ず含まれているアルコールの度数が記載されていますが、これはお酒の量に対するアルコールの度合いです。そのため、アルコール度数が5%と記されていた場合、100ml中の純アルコール量は5gになります。アルコール飲料に含まれるアルコールの量(グラム)は、次の式で計算できます。

アルコール飲料の量(ml)× アルコール濃度(度数/100) × アルコール比重(0.8)
たとえば、500mlの中瓶のビールを飲酒した場合、
500ml×アルコール濃度0.05×アルコール比重0.8=20g

飲酒量を純アルコール量に換算するために、基準飲酒量(ドリンク)という表示方法があります。この表示方法では、純アルコール10gを含むアルコール飲料は1ドリンクとなるため、中瓶は2ドリンクになります。厚生労働省では、節度ある適度な飲酒として、1日の平均純アルコールを約20g(2ドリンク)程度と提唱しています。ただし、体質や性別などにもより異なります。

参考:厚生労働省HP - アルコール
参考:厚生労働省HP - 飲酒量の単位

遺伝子タイプ別のアルコールが抜ける目安時間を知りたい方はこちらをご参照ください。

アルコールが抜ける時間は、年齢や性別、遺伝子タイプにより異なる

人それぞれ個性があるように、アルコールの強さ、分解にかかる時間にも大きな個人差があります。年齢、性別、遺伝子タイプをもとに見ていきましょう。

年齢別

年齢を重ねていくと、体力や筋肉が衰えていくのと同じように肝臓の機能も低下し、アルコールの分解スピードも遅くなります。また、体内の水分量も10代〜20代など成人では60〜70%であったものが、加齢とともに低下し、高齢になると50%台になります。アルコールを排出するには水分が必要ですが、体内の水分量が減少することでアルコールが抜けるのに時間がかかるのです。

参考:InBody「体水分均衡の特徴と重要性

性別

独立行政法人病院機構久里浜アルコール症センター副院長の樋口氏が行った基調講演の進行記録によると、1時間のうちに分解できるアルコール量は、女性が平均約6gに対し、男性は平均約9gと個人差はありますが、女性は男性よりも少なく、分解が遅いと言われています。これは比較的女性は男性よりも体や肝臓が小さいことや、女性ホルモンが影響を与えるためだそうです。ここで言う体が大きいとは、筋肉と骨が多いという意味で、体重から体脂肪を除いた除脂肪体重と肝臓の大きさは比例するので、体が大きい男性の方がアルコール代謝は良いとされているのです。

参考:女性の飲酒と健康
参考:東京国税局HP  - テーマ02 「あなたはお酒が強い人?弱い人?」

5つの遺伝子タイプ

同じ純アルコール量を摂取しても、体質によってお酒に強い人、弱い人がおり、その違いは両親から受け継いだアルコール代謝酵素遺伝子型で決まります。アルコール代謝酵素遺伝子型は両親から各々受け継がれるもので、1B型アルコール脱水素酵素(ADH1B)と2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)という二つの酵素があり、分解能力によって、それぞれ3種類の遺伝子型に分かれます。そして、一般社団法人生命科学教育研究所によると、アルコール体質はADH1BとALDH2の遺伝子型の組み合わせと、お酒を飲んだ時の個人差を掛け合わせて5つのタイプに分類されます。

遺伝子タイプアルコール体質の特徴
A型(日本人の約3%)アルコール依存症にもっともなりやすいタイプアルコールの分解がもっとも遅く、アルコールが体に長く留まるため、アルコール依存症になりやすい。ただ、酔いやすいものの不快な症状が出にくいので、酒好きになる可能性がある。
B型(日本人の約50%)お酒に強いタイプアルコールの分解が速い。ただし、「お酒に強いから」と飲みすぎると不快な症状が出て肝臓に負担がかかるため、飲酒はほどほどにしましょう。
C型(日本人の約3%)お酒に強いと勘違いしやすいタイプアルコールの分解が非常に遅い。アルコールが体に長く留まるため、酔いやすく、お酒が好きになりやすいため、飲酒関連の疾患にかかるリスクが最も高い。
D型(日本人の約40%)顔がすぐに赤くなるタイプ二日酔いなどの原因になるアセトアルデヒドの分解が遅く、少しの飲酒で顔が赤くなり、吐き気などの症状が起きやすい。飲酒習慣が続くと、多少飲めるようになる人もいますが、節度ある飲酒を心がけましょう。
E型(日本人の約4%)下戸タイプアセトアルデヒドが全く分解できず、ごくわずかのアルコールで顔面が紅潮し、眠気や動悸、吐き気をもよおしてしまう。お酒を勧められても、無理せず飲めない体質であることを伝えましょう。
出典:一般社団法人生命科学教育研究所

アルコールを分解する時間の目安を知る

体重およそ60kgの人が1ドリンクのお酒を30分以内に飲んだ場合、アルコールは体内におよそ1.5〜2時間留まります。その2倍である2ドリンクのアルコールを摂取した場合、アルコールが体内から抜けるまでにおよそ3〜4時間かかるということです。ただし、体質も含め個人差がありますので、これはあくまで目安になります。アルコールの分解時間を把握する際は、簡単に計算できるサイトを利用すると便利です。

水割りのアルコール度数が計算できるサイト

それぞれ数値を入力することで、水割りにした際のアルコール度数が計算できます。

出典:生活や実務に役立つ計算サイト「keisan
出典:アサヒビール「水割りの度数計算

アルコール分解時間を早める方法はある?

結論を言うと、アルコールの分解時間を速める効果的な方法はありません。

摂取したアルコールは、緩やかに体内で分解され、汗や尿となって体外へ出ていくことで体が酔いから覚めます。アルコールを分解し、尿として排出するために、糖分やビタミンC、そして水分もこまめに摂りましょう。また、アルコールには脱水作用もあるため、たくさん飲酒をした翌日は水分不足に陥ることも。素早く体内で水分を補給するために、スポーツドリンクもおすすめです。

参考:うるのん - お酒を飲んだあと、水を飲むとアルコールは分解されるのか?
参考:味の素株式会社 - 飲酒時は脱水状態になりやすい

独立行政法人病院機構久里浜アルコール症センター副院長の樋口氏が行った基調講演の進行記録によると、目が覚めているときの方が寝ているときよりもアルコールの分解が早いそうです。

また食後の方が空腹時よりもアルコールの分解が早いという記述があります。

出典:内閣府HP - シンポジウム進行記録 - 基調講演「なぜ飲酒運転はなくならないのか 啓発・教育・治療の必要性」

飲酒運転をしてしまった場合の罰則

飲酒運転は決してしてはいけませんし、決して認めてはならないものです。確実に飲酒運転防止するためにも、事前に厳しい処分と罰則があることを理解し、周知徹底しましょう。

酒気帯び運転

酒気帯び運転とは呼気中のアルコール濃度が0.15mg/L以上の状態で運転していることを言います。

0.15mg/L以上0.25mg/L未満の場合、違反点数が13点、免許停止期間が90日(ただし、前歴やその他の累積点数がない場合)になりますが、0.25mg/L以上の場合はより罰則が重く、違反点数25点に加え、免許取り消し処分と2年間の欠格期間が科されます。

さらに罰則として、運転者と車両などの提供者には3年以下の懲役または50万以下の罰金、酒類の提供者や車両の同乗者には2年以下の懲役または30万以下の罰金が下されます。

参考:e-GOV法令検索 - 道路交通法 - 第八章 罰則 - 第117条の2の2第3号・4号第117条の3の2第2号・3号

酒酔い運転

酒酔い運転とは呼気中のアルコール度数に関係なく、アルコールの影響で正常に運転ができない状態を言います。酒酔い運転をすると、違反点数35点に加え、免許取り消しと3年間の欠格期間という重い処分が科せられます。

罰則も酒気帯び運転と比較して、運転者と車両などの提供者は、5年以下の懲役または100万以下の罰金、酒類の提供者や車両の同乗者は、3年以下の懲役または50万以下の罰金とより厳しくなっています。

参考:e-GOV法令検索 - 道路交通法 - 第八章 罰則 - 第117条の2第1号・2号第117条の2の2第5号6号 

飲酒運転は本人だけでなく周りにも大きな影響を与えてしまうため、飲酒をしたら「絶対運転をしない・させない」を徹底しましょう。

参考:e-GOV法令検索 - 道路交通法施行令 - 一般違反行為に付する基礎点数
参考:警察庁 - 飲酒運転には厳しい行政処分と罰則が!

安全運転管理者によるアルコールチェックを徹底しよう

道路交通法の改正により、2022年4月1日より運転前後のアルコールチェックが義務化されました。アルコールチェックは、原則として安全運転管理者が実施します。

一定台数以上の自動車を使用する事業者は、安全運転の確保に必要な業務を行う安全運転管理者を選任することが道路交通法第74条の3第1項に規定されています。事務所ごとに必ず安全運転管理者を設置し、ドライバーに対してアルコール検知器を用いたアルコールチェックを実施しましょう。

また、日常的なアルコールチェックも重要ですが、企業全体で飲酒運転撲滅に向けた仕組みを作ることも重要です。飲酒撲滅ポスターを社内に貼る、またはステッカーを所有させる、定期的に安全運転と飲酒運転撲滅に向けた勉強会を実施するなど、従業員全員が飲酒運転をNGとする風潮を作っていきましょう。

アルコールチェックの詳細については「【2024年最新版】アルコーチェック義務化を徹底解説!対象者は?安全運転管理者の対応は?」をご参照ください。

まとめ

一般に「お酒に酔う」とは、アルコールが血流によって脳に到達することで、脳が麻痺した状態のことです。お酒に酔うと、顔が紅潮したり、判断力や視力が低下したり、足元がふらついたりと変化が現れます。飲酒をすると、情報処理能力や注意力、判断力など、安全運転に必要な能力が低下し、非常に危険です。自分の年齢や体質に適した飲酒量を理解し、必ず正常な状態で運転を行いましょう。

筆者紹介

株式会社スマートドライブ
編集部

株式会社スマートドライブ編集部です。安全運転・車両管理・法令遵守についてわかりやすく解説します。株式会社スマートドライブは、2013年の創業以来、「移動の進化を後押しする」をコーポレートビジョンに掲げ、移動にまつわるモビリティサービスを提供しています。SmartDrive Fleetは、1,300社以上への導入実績があり、車両に関わる業務の改善や安全運転の推進などに役立てられています。また、東京証券取引所グロース市場に上場しています。 SmartDrive Fleetは情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度「ISMS認証(ISO/IEC 27001:2013)」を取得しています。

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