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公開日: 2022.05.17
更新日:

車の法定点検と日常点検。車検との違いは?総務・管理者なら知っておくべきポイントまとめ

人は体調が悪いと感じた際、自ら休憩・休暇、通院、薬を飲むなどして予防をすることができますが、車は自ら不調を訴えることができません。病気やケガ(=故障)を防ぐためには、管理者が適宜、車両の点検を実施し、その健康(=安全)を守る必要があります。
本記事では、総務・車両管理者なら知っておくべき、車の法定点検と日常点検のポイントについて、詳しく解説します。

車の法定点検と日常点検。車検との違いは?総務・管理者なら知っておくべきポイントまとめ

車両の点検には「車検」「法定点検」「日常点検」がある

車両の点検とは、車の外観や部品に不良箇所がないか、一つひとつを検査することですが、すべてを完璧に検査することは、車のプロであっても容易ではありません。そのため、車両の点検を「車検」「法定点検」「日常点検」と3段階に分け、それぞれを車のプロとユーザーが役割分担し実施することで、安全性を保っているのです。

法定点検とは

法定点検とは、故障やトラブルが発生しないよう、車の各所について定期的に点検し、必要に応じて部品交換・修理・整備などを行うことです。実施の頻度から、定期点検と呼ばれることもあります。私たち人間に例えるなら、病気の早期発見や予防のために行う人間ドックや定期健診のようなもので、法定とある通り、道路運送車両法によってその実施が「使用者の義務」として定められています。

  • 道路運送車両法第47条(使用者の点検及び整備の義務)・・・自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。
  • 道路運送車両法第48条(定期点検整備)・・・自動車の使用者は次の各号に掲げる自動車について、それぞれ当該各号に掲げる期間ごとに、点検の時期及び自動車の種別、用途等に応じ国土交通省令で定める技術上の基準により自動車を点検しなければならない。

法定点検の頻度

自動車を使う場合は、使い方に応じて決められた項目を決められた間隔で点検整備し、安全性を保たなければなりません。下表で示す通り、通勤用途などのマイカー(自家用車)の場合、1年ごとに行う12ヶ月点検と、2年ごとに行う24ヶ月点検があり、それぞれ点検項目も異なります。さらに、ビジネスシーンで酷使されることも多い事業用車両(社用車)の場合は、3ヶ月点検・6ヶ月点検といった短い頻度かつ細かい項目の点検が義務付けられています。

対象自動車法定点検の頻度点検項目数
マイカー
(自家用乗用車、軽自動車)
1年ごと27項目
2年ごと57項目
中小型トラック(自家用)
レンタカー(乗用車)
6ヶ月ごと22項目
12ヶ月ごと83項目
バス、トラック、タクシー(事業用)
大型トラック(自家用)
レンタカー(乗用車以外)
3ヶ月ごと50項目
12ヶ月ごと100項目
被牽引自動車3ヶ月ごと23項目
12ヶ月ごと36項目
二輪自動車1年ごと33項目
2年ごと51項目

車検と法定点検との違い

実施項目と間隔が法律で定められているという点で共通するため、混同されがちですが、車検と法定点検は異なるものです。

まず、車検は車の構造や乗車店員はもちろん、ブレーキや操舵装置、ライトやウィンカーなどの照明器具、警報装置など、公道を走行する上で最低限必要な装置・装備が、法律で定められた保安基準を満たしているか検査する制度です。一方、法定点検は安全かつ快適に車を使用するため、車検の検査項目だけでは不十分な箇所を点検するもので、車検に通過したからと言って、必ずしも次の車検まで故障せず快適に乗れるという訳ではありません。

たとえば、エンジンが吸い込んだ空気を綺麗にしたり、エンジン内部に異物が入り込まないようにする「エアエレメント」という部品があり、これが目詰まりを起こすとアイドリングが安定せず異音や振動が発生したり、燃費が低下する可能性も。しかし、このエアエレメントの状態チェックが法定点検には含まれていますが、車検の項目には含まれていません。

また、安全運転と危険回避のために欠かせないブレーキですが、法定点検ではブレーキを分解しブレーキパットの消耗具合までチェックしますが、法律で定められている制動力が確保されていれば、極端な話、いくら消耗していても車検に合格してしまうのです。

社有車の車検について、詳しくはこちら

社用車の車検をわかりやすく解説 — 期間・費用・必要書類など

法定点検を怠った場合の罰則は?

車検は走行するための最低限の保安基準を満たしているかをチェックする制度であるため、その間の車の快適性と安全性を補償するものではありません。だからこそ、車検ではチェックしない箇所をフォローする法定点検の実施が、「使用者の義務」として法律で定められています。

しかし、自家用車の場合は法定点検を受けなかった際の罰則規定が存在しないことから、法定点検を受けるべき間隔が短い事業用車両を所有している事業者の中にも、時間的・経済的理由などから法定点検を軽視し、実施を疎かにしているところも少なからずあるようです。

しかし、バス・トラック・タクシーなどの事業用車が法定点検を受けなかった場合は、30万円以下の罰金(※道路運送車両法第110条)、最悪の場合は運転停止命令といった行政罰を課せられる可能性があります。また、法定点検を行わなかったことで社用車が故障や不具合を起こし、それを原因とした事故が起こってしまった場合、整備不良の車両を運行させていたとして、企業及び車両管理者が「道義的責任」を問われることも考えられます。

日常点検とは

日常点検とは、車でモノを運んだり移動したりする際に、安全に使用できるかどうかをユーザー自身が点検することで、法定点検と同じく道路運送車両法によって以下のようにその実施が義務付けられています。

  • 道路運送車両法第47条の2(日常点検整備)・・・自動車の使用者は、自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に、国土交通省令で定める技術上の基準により、灯火装置の点灯、制動装置の作動その他の日常的に点検すべき事項について、目視等により自動車を点検しなければならない。

日常点検はその名の通り車検や法定点検より実施頻度が高くなりますが、検査員や整備士といった車のプロが専門機器を用いて行うものではなく、実際に点検する項目は以下のように、目視などで簡易にチェックできるものになっています。

【日常点検の実施項目】

エンジンルーム(5項目)

  • ブレーキオイルの量
  • 冷却水の量
  • エンジンオイルの量
  • バッテリー液の量
  • ウインド・ウォッシャー液の量

車周り(4項目)

  • ランプ類の点灯・点滅
  • タイヤの亀裂・損傷有無
  • タイヤの空気圧
  • タイヤの溝の深さ

運転席(6項目)

  • エンジンのかかり具合・異音
  • ウインド・ウォッシャー液の噴射状態
  • ワイパーの拭き取りの状態
  • ブレーキの踏みしろ・効き具合
  • パーキングブレーキレバーの引きしろ
  • エンジンの低速・加速状態

日常点検のコツと注意点

車検や法定点検より簡易的とはいえ、全15項目を完璧に点検するのは手がかかるもの。ここでは日常点検のちょっとしたコツを紹介します。

日常点検は、消耗品の確認が主な項目になりますが、このうち冷却水・エンジンオイル・ブレーキオイル・バッテリー液・ウォッシャー液などの液状の消耗品は、状態より適量が入っているかどうかが重要です。これらの液状消耗品は、たとえ汚れていたとしても量さえ適切に入っていれば、急にトラブルが発生することが少ないため、量が極端に減っている場合は、車両整備担当者もしくは行きつけの業者に詳しく点検してもらいましょう。

液状消耗品の点検が終わったら、タイヤやワイパーなどのゴム製消耗品に亀裂や破損が無いかを確認し、その後運転席に乗って違和感を感じないかをチェックすれば、ほぼ日常点検は終了です。この一連の流れをドライバーに習慣付け、結果を記録する点検簿を作成します。そして、それを安全運転管理者・車両管理者と共有し、車検や法定点検の時の整備に反映させれば、社有車を常に安全でかつ快適な状態で運用できるでしょう。

日常点検は法律で、「自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期」に行うよう明記されていますが、事故を未然に防ぐという意味でも「運転前」に実施することが肝心です。毎日は難しいという場合は、安全運転管理者のもと、最低でも1ヶ月に1回、運輸・運送業などで車を使う頻度が非常に高い場合は、必ず1週間に1度の実施を心かげましょう。

また、事業所など車の保管場所で実施するだけではなく、ガソリンスタンドでの給油中に日常点検を併せて行うようにすれば、スタンドに据置してある空気圧チェッカーなどの点検機器を使用したり、スタッフにアドバイスを受けたりしながら点検を実施できます。

日常点検を怠った場合の罰則は?

日常点検もドライバーが果たすべき義務として法律に定められていますが、こちらも実施しなかった場合の罰則規定はありません。また、車検や法定点検と異なり、実施時期が近づいても、基本的にディーラーやリース会社からお知らせが届くことは無く、実施するか否かや、頻度・実施内容の精度は、すべて使用者の判断に委ねられることになります。

しかし、日常点検の不備が原因で事故が発生した場合、法定点検と同様に企業及び安全運転管理者・車両管理者が道義的責任を問われる可能性もありますので、しっかり点検を行いましょう。

まとめ

業者が行う法定点検にはそれなりの費用がかかりますし、こまめに日常点検を行うには手間と時間を要しますが、どちらも車の使用者が果たすべき義務です。もし、実施を怠ったことが原因で事故が発生した場合、企業が被るダメージは甚大なものになります。また、法定点検や日常点検を適切に実施することで、快適かつ安全に使用できる「車の健康寿命」が伸びれば、車に関わる業務の効率化や生産性の向上も期待できますので、今回解説したポイントを抑えたうえで、確実な実施を心がけてください。

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