この記事を読むと
- 酒気帯びと酒酔い運転の判定基準の違いがわかる
- 飲酒運転による本人や周囲への罰則を把握できる
- 飲酒量に応じたアルコール分解時間の目安を知れる
- 企業の法的責任を理解し安全管理意識を高められる

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本記事では、飲酒運転の基準を分かりやすく解説します。酒気帯び運転と酒酔い運転の違いや具体的なアルコール濃度の数値、違反した場合の罰則について説明し、企業が取り組むべき対策も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
飲酒運転の基準とは?
飲酒運転は、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類に分類されます。
体内アルコール濃度で決まる「酒気帯び運転」
酒気帯び運転とは、呼気中のアルコール濃度が0.15mg/ℓ以上、または血中アルコール濃度0.3mg/ml(0.03%)以上の状態で運転することをいいます。この数値は、ビール中瓶1本、日本酒1合、ウイスキーダブル1杯程度に相当します(ただし、体質やその日の体調などによって異なります)。
酒気帯び運転についての詳細は、以下の記事をご参照ください。
参考記事:「酒気帯び運転の罰則とは?違反点数や罰金、会社への影響を徹底解説」
運転能力で判断される「酒酔い運転」
酒酔い運転とは、下記のようなアルコールの影響により正常な運転ができない恐れがあるにも関わらず運転する行為を指します。
- フラつきがあり直線上をまっすぐ歩けない
- 明らかに呂律がまわっていない
- 視点が質疑応答が正常にできない
アルコールが抜けるまでの時間の計算方法や目安
アルコール分解時間の計算方法
アルコールが体から抜ける時間の目安は、次の計算で表すことができます。
「純アルコール量(g) ÷ (体重(kg) × 0.1)」
主なアルコール飲料に含まれる純アルコール量

出典:厚生労働省「e-ヘルスネット 飲酒量の単位」
上記の表をもとに計算した場合、60kgの男性でビール350ml缶(純アルコール量14g)1本だと約2〜3時間、500ml缶純アルコール量20g)1本だと約3〜4時間が分解の目安です。
ただし、アルコール分解能力や性別、体調などにより変わってくるため、あくまで目安としてお考えください。
また、厚生労働省では、純アルコール量とアルコール分解時間が把握できるツール「アルコールウォッチ」を提供しています。このツールを活用しておおよその分解時間を確認しておきましょう。
飲酒量から見る分解時間の目安
飲酒量からアルコールの分解時間の目安をみるときに基準となるのが「1単位」です。アルコール摂取時の基準とされている1単位は純アルコール20gに相当します。
体重およそ60kgの人が1単位のお酒を30分以内に飲んだ場合、アルコールの分解には飲酒後3時間程度かかります。2倍となる2単位だと6〜7時間、3単位だとアルコールの分解に約半日かかることになります。
| お酒の種類 | 量 | 純アルコール量 | 飲酒後のアルコールが抜ける・分解時間の目安 |
| ビール(アルコール度数5度) | 350ml | 14g | 2〜3時間 |
| ビール(アルコール度数5度) | 500ml | 20g | 3〜4時間 |
| 日本酒 | 180ml | 約20g | 3〜4時間 |
| ワイン(アルコール度数12度) | 120ml | 約11.5g | 約2時間 |
| ウイスキー(アルコール度数43度) | 30ml(シングル) | 約10g | 1.5〜2時間 |
| 焼酎(アルコール度数25度) | 100ml | 約20g | 3〜4時間 |
なお、分解時間については年齢や性別、体質、体重、体格、その日の体調などによって個人差があります。アルコールが抜ける時間についての詳細は、以下の記事を参考になさってください。
参考記事:「アルコールが抜ける時間については、アルコールが抜ける時間は?計算方法や種類別アルコール量目安を解説!」
飲酒運転の罰則
飲酒運転が発覚した場合は、運転者に厳しい行政処分と罰則が課せられます。
酒気帯び運転の罰則
酒気帯び運転の罰則は、呼気1ℓ中アルコール濃度の度合いにより異なります。
行政処分
| 呼気1ℓ中のアルコール濃度 | 基礎点数 | 免許の処分内容 |
| アルコール濃度0.15mg/ℓ | 0点 | なし |
| アルコール濃度0.15mg/ℓ以上0.25mg/ℓ未満 | 13点 | 免許停止期間90日 |
| アルコール濃度0.25mg/ℓ以上 | 25点年 | 免許取消し、欠格期間2年 |
罰則
3年以下の懲役または50万円以下の罰金を支払う。
酒酔い運転の罰則
酒酔い運転と判断された場合、酒気帯び運転よりもさらに厳しい罰則が課されます。
行政処分
- 基礎点数 35点
- 処分内容 免許取消、欠格期間3年
罰則
5年以下の懲役または100万円以下の罰金
運転者以外にも科される厳しい罰則
なお、飲酒運転に関する罰則はドライバーだけでなく、同乗者や酒類、車両を提供した人にも課されます。
飲酒運転の場合
| 対象者 | 罰則 |
| 車両等の提供者 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
| 酒類の提供者または車両の同乗者 | 2年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
酒酔い運転の場合
| 対象者 | 罰則 |
| 車両等の提供者 | 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
| 酒類の提供者または車両の同乗者 | 3年以下の懲役または30万円以下の罰金 |
車両提供者は、ドライバーが飲酒をしたという事実を知りながらも車を貸したり、車の鍵を渡したりした人のことをいいます。道路交通法第65条2項の「車両等提供罪」に該当し、ドライバーと同程度の罰則が課されます。
同乗者は飲酒を勧めたり、飲酒運転と知っていながら同乗したりすると同乗者のことで、酒気帯び運転の可能性がある人へアルコールを提供した人や店舗は、酒類の提供者に該当します。
企業の飲酒運転対策と責任
企業は、従業員の飲酒運転に対して法的責任を負い、対策を講じる必要があります。
企業が負う3つの法的責任
従業員が飲酒運転で事故を起こした場合、企業は「刑事責任」「民事責任」「行政責任」の3つの法的責任を負います。
- 刑事責任
道路交通法六十五条の二(酒気帯び運転等の禁止)では、「何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない」と定められています。
企業はこの車両提供者に該当するため、業務中に従業員が交通事故を起こした場合、刑事責任に問われる可能性があります。
先述したように、酒酔い運転をした場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金が、酒気帯びの場合は3年以下の懲役または50万円以下の罰金が課されます。
- 民事責任
民法715条(使用者等の責任)では、ある事業のために他人を使用する者は、「被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」と記載されています。
飲酒運転をした従業員が業務中に交通事故を起こし、第三者となる相手に怪我を負わせる、または死亡させた場合、従業員だけでなく、企業にも損害賠償責任が生じます。
また、自動車損害賠償保障法第3条では、「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる」と定められており、従業員が社用車を使用中に事故を起こし、被害者を死傷させた場合、会社は運行供用者として損害賠償責任を負う可能性があります。
- 行政責任
自動車運送事業者における業務中の飲酒運転撲滅を目的に、行政処分基準の改正が行われ、2024年(令和6年)10月1日より施行が開始されました。
従業員が飲酒運転を引き起こした場合、初違反であればトラック1台を100日間、または10台を10日間など、合計100日分稼働停止になり、再違反であれば合計200日分稼働停止という厳しい行政処分が科せられます。
さらに、企業が飲酒運転の防止に関する教育を怠り、指導監督義務違反となった場合は3日間の営業停止、従業員が飲酒運転を伴う重大事故を引き起こして企業が飲酒運転に関して指導監義務違反となった場合は7日間の営業停止になります。
また、企業側が飲酒運転を指示したり容認したりした場合は、違反営業所に対して14日間の事業停止が科されます。
参考ページ:「飲酒運転防止対策マニュアル」公益社団法人 全日本トラック協会
安全運転管理者の義務とアルコールチェック
2023年12月より、緑ナンバーの車を保有する事業所だけでなく一定台数以上の白ナンバー車を保有する事業所にもアルコールチェッカーを使用したアルコールチェックが義務化されました。
条件に該当する企業は安全運転管理者を必ず設置し、ドライバーの酒気帯び有無をアルコールチェッカーで確認・記録する必要があります。
記録の改ざんやなりすまし、チェック漏れが発生しないよう、アプリやシステムを導入し、正しく確実に記録できる運用方法を整えましょう。
飲酒運転を防ぐための社内体制づくり
「少ししか飲んでいないから大丈夫だろう」「昨夜は遅くまで飲み続けてしまったけど、眠ればアルコールが抜けるはず」など、飲酒運転についての意識が事業所全体にいきわたっていないケースもあります。
飲酒運転を防ぐためには、社内の体制づくりが欠かせません。実際に起きた飲酒運転の悲痛な事故例や啓蒙ビデオなどを使用し、定期的に飲酒運転撲滅と安全運転の徹底に向けた教育を行いましょう。
また、飲酒運転撲滅のポスターやステッカーを作り、従業員が日常的に目にする場所へ貼るのもおすすめです。
警察庁では、飲酒運転根絶に向けたオリジナルリーフレットの提供、飲酒運転が与える影響をまとめた動画、飲酒体験ゴーグルを活用した参加・体験型の交通安全教育を推奨しています。
無料で使用できるものもあるため、これらのツールを活用し、全社をあげて飲酒運転撲滅への意識を高めていきましょう。
まとめ
自社の従業員が業務中に飲酒運転を起こした場合、企業は法的責任を問われるだけでなく、社会的信用も失墜することになります。従業員の飲酒運転を防止するためには、日頃からアルコールチェックや安全教育、啓蒙運動などで「飲酒運転は絶対にしてはいけない」という意識付けをすることやアルコールチェックを行う体制を確立させることが重要です。
飲酒運転の基準や罰則への理解を深め、社内全体で飲酒運転撲滅を周知徹底させましょう。
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