導入・活用担当者が語る、頌徳会グループが実践する安全運転の啓蒙活動とは?
- 業種
- 保険・医療、福祉サービス
- 管理車両台数
- 70台
- 事業内容
- 病院、クリニック、老健・特養等介護施設の運営
- 地域
- 大阪
- 従業員数
- 541名
- 活用目的
- コスト削減 / 安全運転強化
- 利用デバイス
- シガーソケット型
本レポートは、2021年6月4日に行われた「SmartDrive Fleet導入企業様登壇セミナー」の内容をまとめたものです。
大阪府堺市で病院、クリニックそして老健・特養等介護施設を運営する頌徳会グループの松本慶様とスマートドライブの法人事業部セールス所属の岩瀬が、SmartDrive Fleetを活用した車両管理と安全運転推進について対談形式で語りました。当日ご参加いただけなかったみなさまも、ぜひご参考ください。
社会医療法人頌徳会 総務部 総務課 松本 慶様
株式会社スマートドライブ 法人事業部セールス 岩瀬 貴義
https://www.syo.or.jp/
頌徳会グループ様にとって「安全運転を行わなければ」という動機とは
岩瀬:株式会社スマートドライブで、安全運転活動や車両管理業務を行うご担当者様に対し、スマートドライブで可能な支援や他社様の取り組み事例を紹介している岩瀬と申します。本日は、スマートドライブのサービスをご利用いただいている、頌徳会グループの松本様にお越しいただき、安全運転の取り組みや今後実現したいことについて伺いたいと思います。
ご参加いただいたみなさまにとって、少しでも価値ある情報を提供できれば幸いです。早速ではございますが、松本様より、頌徳会グループ様の事業内容と自己紹介をお願いします。
松本様(以下、敬称略):頌徳会グループ法人本部の総務部総務課に所属する松本と申します。私のおもな業務は、頌徳会グループが運営する施設の安全運転推進と車両管理です。頌徳会グループは、社会医療法人頌徳会と社会福祉法人頌徳福祉会からなり、大阪府堺市で病院、クリニック、そして老健・特養等介護施設を運営する法人グループです。
SmartDrive Fleetは今年1月より、段階的に導入を進め、現在は70台分の車両に装着しています。
岩瀬:ありがとうございます。
安全運転は誰もが取り組むべきことですが、頌徳会グループ様が安全運転に注力される一番の理由についてお聞かせ願えますか。
松本:病院や施設を運営している私たちの車両に乗っていただくのは、おもに地域の高齢者です。中には、体調不良や体に障害をお持ちの方もおられますので、私たちとしても、より丁寧な運転を心がけなければなりません。しかし、どんなに安全運転を周知しても、ドライバーごとに運転技術や安全運転への意識には差がありましたので、一定基準までの意識の底上げが急務であると考えていました。それが安全運転教育を強化したいと思った一番の理由です。
車両管理システムの導入を検討した経緯
岩瀬:安全運転は根付いていても、個々のスキルや意識にばらつきがあることに課題を感じてらっしゃったのですね。意識の均一化、高いレベルでの安全運転を実現するために、車両管理システムの導入を検討されたということでしょうか。
松本:はい。入り口は運転技術と意識レベルの向上がベースになりますが、それに加え、更に2つの課題に取り組む必要がありました。
1つは運転、走行ルートを可視化することです。車両の動きは流動的ですから、そのルートが効率的なのか、非効率なのか、管理側では把握できません。ですから、可能な限り見える化できるようにしたいと考えました。私たちの施設は堺市を中心にいくつかのエリアに分かれています。施設一つひとつの距離はそう遠くありませんが、効率的な訪問が実現できれば、より迅速な対応が可能となり、患者さんの負担も軽減できると考えたのです。
岩瀬:施設が密集しているからこそ、各拠点で適切なサポート体制ができるよう、意識されていたのでしょうか。
松本:そうです。2つ目が車両の稼働状況を把握することです。低稼働の車両は、車両が足りない部署へ配置を変えたり、車両を売却したりするなど、前々から車両を有効活用できるように現状を把握したいと考えていました。
現在、車両の稼働状況については、SmartDrive Fleetのレポート機能で確認しています。先述したように、70台の業務用車両にデバイスを取り付けていますが、稼働率が高い・低いものが明確にわかるようになったため、これから具体的な施策へ落とし込んでいくところです。
岩瀬:車両は会社の資産ですから、当然、有効に活用することは重要ですね。
松本:また、現場からは、「工数を削減したい」という声が上がっていました。車両を有する企業であれば、どの企業も運転日報の作成義務がありますが、乗車前点検をはじめ、どの施設に訪れたのか、何Km走行したのかなど、手書きの紙で管理していたため、時間も手間もかかっていたんです。
過去に使用していた車両管理システムは、毎日運転診断の結果が出ていましたが、それを印刷したり、回覧したりするだけでも、結構な作業量でしたし、大量の紙が発生するため、次に車両管理システムを導入する際は、現場の負担を軽減することもテーマに置きたいと考えていたのです。
岩瀬:月末になると、各拠点からの日報や安全運転診断のレポートが1,500枚ほど送られていたと伺いましたが…。
松本:そうなんです、1,000枚以上の紙が手元に届きますが、確認するのも大変で…。デスクが日報で埋まってしまうような状況でしたので、これは早急に改善しなければと。
岩瀬:管理側からは、安全運転意識を高いレベルで維持すると同時に業務の効率化と資産の有効活用を、現場からは工数の見直しによる業務効率の向上と事故削減を、これらすべての課題を解決すべく、SmartDrive Fleet導入に至ったということですね。
安全運転の啓蒙活動を実施する中で、どのようにSmartDrive Fleetを活用しているのか?
岩瀬:松本様主導で行われている安全運転の啓蒙活動について、詳細をお教えいただけますか。
松本:具体的には3つあります。1つはアラート通知の機能の活用です。SmartDrive Fleetの機能の1つに管理責任者でしきい値を設定し、そのしきい値を超えると即座に通知が届くというアラート通知機能があるのですが、これを使用して、ほぼリアルタイムで管理責任者が危険運転を把握できるようにしています。
たとえば「1カ月前にこんな危険運転が見受けられましたよ」と伝えても、時間が経つと誰も覚えていないでしょう。しかし、その日、たった数時間前のことであれば、「今日の午後、危険な急操作がありましたが、何かありましたか?」と、振り返りのコミュニケーションがスムーズに取れます。相手の記憶が鮮明に残っているうちにヒアリングして改善策を共に考えることで、運転の意識が変わっていくのです。
岩瀬:記憶があるうちに振り返りをされるので、すぐに効果が現れそうですね。
松本:2つ目はオプションになりますが、分析レポート内にある安全運転診断サマリーです。前日分、前週分、前月分のレポートを、スケジュール機能に仕掛けておくことで、私たちが手を介すことなく、現場の責任者に詳細な分析レポートを共有することができます。具体的な数字をもとに安全運転指導をしてもらえますので、効果も高まるのです。
ちなみに、事務所にレポートを貼り出している部署もあります。私たち本部側が推奨しているわけではなく、現場責任者判断で安全運転意識の向上を目的に貼り出しているようです。個別の得点や急操作の回数が表示されますので、ドライバー同士で「どうすれば点数が上がるんだろう」とか「急ハンドルが出やすいんだけど、どうすれば減らせるだろう」と運転の話題が日常会話でも出ており、互いに運転を見直しあっているようです。
岩瀬:本部ではスケジュール機能を使って現場の責任者にレポートの情報を提供しつつ、現場の責任者はドライバーの意識を変える施策を考える。ドライバーが客観的に自分の運転状況を目にする機会が増えれば、自然と意識も変わっていく…全体で良い循環ができているのではないでしょうか。
松本:そうですね。これは3つ目になりますが、実際の安全運転教育や研修でも自分たちの運転の結果が明記された分析レポートを活用しています。リアルなデータを使用することで、より真実味が出ますし、当事者意識を持たせることができるようになりました。それに、問題点をピンポイントで指導できますので、非常に有効な教育が実現できるのです。
岩瀬:頌徳会様には私たちが提供しているサービスをフル活用いただき、本当に感謝しております。ぜひ、今後も全力で支援させてください。
松本:よろしくお願いします。
安全運転の取り組みに対する成果は…?
岩瀬:安全運転に関してさまざまな取り組みを実施されていますが、成果は現れていますか。
松本:ドライバー同士も日常会話の中で、スコアをいかにあげるか話し合っているようですが、実際にそれが結果としても現れています。
上図は導入時から今に至るまで運転スコアの推移です。導入当初は70点台をウロウロとしていましたが、スコアが日常の話題になってきた頃から、少しずつ右肩上がりを見せています。
岩瀬:参考情報として補足させていただきますが、運転スコアが80点というのは、SmartDrive Fleetをご利用いただいている全ドライバー様の中でも上位20%に位置します。頌徳会様のお取り組みによる安全運転意識の成果は、高齢者、お身体の不自由な方など、ご利用者の方々に安心かつ安全な移動を提供できることを示すことにもなるのではないでしょうか。
松本:そうですね。スコアの点数が上がれば上がるほど、ご利用者の方々に対して負担が少なく、丁寧で安全な運転をしているというエビデンスにもなるのではと考えております。
岩瀬:頌徳会グループ様は、4月に実施した全国安全運転イベントにも参加され、上位に入賞なさいました。
松本:ありがたいことに、65の参加企業のうち、法人別ランキングで全国2位という高い成績をいただくことができました。個人別のランキングでも、1,000人弱いる参加ドライバーのうち、30位以内に8名が入賞するなど、安全運転の取り組みが結果として現れ、私たちとしても非常に有用なイベントであったと思います。
岩瀬:頌徳会グループ様では多くのドライバーが在籍されていますので、安全運転について意識のバラつきや温度差に差が出てしまうのはやむを得ないことかと存じます。しかし、そうした状況下においても上位入賞されたというのは非常に素晴らしいことですし、努力の賜物です。10月にも安全運転イベントを実施しますので、その際は1位を取れるように一緒に頑張って参りましょう!
安全運転の啓蒙活動を行う中で、苦労していることは?
岩瀬:安全運転について一定の成果が出てらっしゃいますが、安全運転活動を行う上で苦労されていることはございますか?
松本:先ほど温度差という言葉が出ましたが、私たち事務職を含め、たまにしか運転をしない職種のスタッフは、安全運転意識の向上が難しいなと感じます。普段は病院や介護施設も営業活動を行いますが、コロナ禍の今はなかなか外へ出向くことができず、運転の機会が減っていることも原因の一つだと思います。
また、SmartDrive Fleetを導入してまもなく半年が経過しようとしていますが、最近では少し、中だるみと言いますか、慣れが出ているように感じます。意識を高く保っているドライバーもいますが、一部で意識が低下しているドライバーもおり、それが運転スコアにも現れるようになってしまいました。ですから、いかにして安全運転意識を保ち続けるか、モチベーションの維持が今後の課題です。
岩瀬:おっしゃる通り、業務に運転が含まれていない場合は、そもそも気をかけることがないかもしれませんね。あとは、慣れをどのように克服していくか。そういう点においても、スマートドライブが年に2回、開催している安全運転イベントを活用いただきたいです。カンフル剤でありませんが、ドライバーの皆さんに安全運転意識を維持いただきたいとの思いで、取り組んでいますので。ただ、システムだけで完結できるものではありませんので、有効な施策を共に考えるために、ぜひ情報交換をさせてください。
松本:よろしくお願いします。
以前利用していた車両管理システムとSmartDrive Fleetはどんな違いがある?
岩瀬:ちなみに、以前は別の車両管理システムをご利用されていたとおっしゃっていましたが、SmartDrive Fleetとどのような違いを感じてらっしゃいますか。
松本:大きく異なる点は3つです。1つはスピード感。以前のシステムは本部にデータが上がってくるまで1ヵ月ほどかかっていましたが、SmartDrive Fleetはリアルタイムで情報がわかります。即座に欲しい情報が手に入るので、改善スピードも一気に加速しました。
2つ目は手間です。以前は運転席からメモリーを取り出して、印刷する必要がありましたが、SmartDrive Fleetはデバイスを挿すだけで、現場の管理者も本部の管理者も同時に情報共有ができるので手間も工数も全くかかりません。それだけでも業務効率が大きく変わりました。
そして、3つ目が分析部分の違いです。以前は上がってきたデータを管理者が加工するために、時間をかけて資料を作成する必要がありましたが、SmartDrive Fleetはオプションで、平均点、過去との比較、危険運転の回数など、月単位、週単位にまとめて知りたい情報や傾向値が一目でわかるレポートが作成できます。私たちが労力を割くことなく、高精度な分析資料を作成できるので、このレポートをもとに、本部は今後の施策を集中して練ることができるのです。これは本当に大きな違いですね。
岩瀬:本部としては、レポートをもとに現状や結果を俯瞰して見ながら、留まっている箇所の原因を特定したり、具体的にどうテコ入れしていくべきかを考えたりするところに時間を費やすことができるということですね。
データは取得するのが目的ではなく、あくまで活用していくための情報にすぎません。カバーできる部分はシステムを活用し、本来、人がやるべきことに集中していただく。これは私たちスマートドライブの目指しているところです。最後になりましたが、松本様から一言いただけますでしょうか。
松本:どの企業も、課題や問題点を抱えてらっしゃるでしょうし、それらをいかに解決していくかが一番の課題かと思います。私たちとしては、スマートドライブさんが提供する情報、サービスを活用させてもらいながら、引き続き、安全運転意識の向上とモチベーション維持に注力していきたいと考えております。
また、互いの取り組みや事例を紹介し合うなど、他社との情報共有の場を作っていただき、横のつながりを広げていきたいですね。
岩瀬:ありがとうございます。私どもも、情報発信だけでなく、みなさまがつながりを作っていける場を提供していきたいと思っております。今後とも、宜しくお願い致します。
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