整備士直伝!大事な車のタイヤがパンクした時の対処法・修理法
どんなに大切に乗っていても、クルマのタイヤがパンクしてしまう事ってありますよね?タイヤのすり減りによるパンクは未然に防ぐことが出来ますが、路上に落ちている釘や金属片などによるパンクはなかなか自分では回避出来ないもの。
今回は、もしあなたのクルマがパンクしてしまった時のために最低限知っておきたい点についてお話ししようと思います。
目次
パンクのほとんどはゆるやかに空気が抜けるタイプのパンク
みなさんはタイヤのパンクと言うとどのようなイメージを持つでしょうか?
クルマでのタイヤパンクの経験がない方は、自転車のように突然パンッと音がしてパンクするものを想像するかもしれません。
しかし、自動車のタイヤのパンクの多くは、いきなり空気が抜けてしまうものではないんです。
整備工場に運び込まれるパンクの多くは、すり減りによるバーストやなにかにぶつけたようなものではなく、路上の釘などを踏んでしまう事によるパンクで、そういったパンクの場合大抵はゆるやかに空気が抜けていきます。
そのためドライバーさんもいつ釘を踏み、空気が抜け出したのかが分からない事が多いのです。たいていの場合、パンクに気付くのは出勤前や帰宅時、クルマに乗り込む時。タイヤの空気が完全に抜けきってしまってぺちゃんこになっている状態での発見が多いようです。
そんな時、あなたならどうするでしょうか?
スペアタイヤが搭載されているクルマの場合、ご自身がタイヤ履き替えを出来るのであればスペアタイヤに履き替えて工場に持っていくと思います。
しかし、最近のクルマには車内スペースの確保や、重量の軽減のためにスペアタイヤを搭載しないタイプのクルマも増えています。
そういったお車にスペアタイヤの代わりとして搭載されているのが、『パンク修理キット』です。
パンク修理キットを使う、その前に!
パンク修理キットというものは、釘を踏んでしまったりした『小さな穴』から空気が漏れている場合の使用を想定したもので、タイヤの中にそのキズを一時的にふさぐ液体を流し込み、空気が漏れにくくなった所でセットに含まれている、空気の注入器で空気を注入していくものになります。
使用方法は比較的簡単で、付属の説明書などをご覧いただければほとんどの方が使用できると思います。
しかし、この『パンク修理キット』には落とし穴があります。
それは、パンク修理キットを使用した場合、修理工場によっては『修理にかかる費用が余計にとられてしまう』という所です。
「えっ!? どういう事?」と思われるかもしれませんが、それには理由があります。
この修理剤はただの液体ではなく、いわゆる接着剤のようなもので、時間が経過すると固まってしまいます。
これが非常に厄介でして、固まってしまった修理剤は非常に剥がしにくくほとんどの場合、修理剤を流し込んだタイヤは修理して再利用する事ができません。
またホイールも利用できなくなるか、剥がしにくい修理剤を非常に時間をかけて剥がす事となりますので、結果として工賃などが高くなってしまうのです。
実際どれぐらい修理代金がかかるの?
パンク修理の料金は2000円~4000円程度と非常に幅広い料金設定となっており、一般的にはディーラーのほうが高く、タイヤ屋さんや整備工場のほうが安めの料金設定になっている事が多いです。
その理由としては、タイヤ屋さんなどは一日に行うタイヤ修理、交換の本数が多く設備も揃っているので短時間で作業が完了できるから。
これにパンク修理キットを利用してしまった場合、追加で作業をするのにかかった時間の工賃が請求される計算です。
たとえば修理キットの修理剤を剥がすのに30分かかった場合、平均的な作業工賃のお店であれば、
パンク修理代3000円+修理キット分作業工賃(時間単価8000円×0.5時間)=7000円
以上のような計算になります。 これはあくまでもきちんと修理剤が剥がす事ができた場合のお値段ですから、修理剤が剥がれずタイヤ自体が交換になった場合、これに新品タイヤの購入代金、数千円~数万円がかかります。
じゃあスペアタイヤの無いクルマがパンクしたらどうしたらいいの?
原則として、ロードサービスや契約している修理工場さんに「現状のまま」レッカーなどで運んでもらうのが正解です。
タイヤの空気が抜けた状態で走行した場合、危険なばかりではなく、ホイール自体が歪んだり削れてしまい使い物にならなくなりますので、絶対に動かさないようにしましょう。
では、パンク修理キットはまったく使わないのか? というと決してそんな事はありません。
たとえば緊急時、「どうしてもその場にクルマを置いておくと迷惑になってしまう」とか、「病人を乗せているのでどうしても走らなければいけない」などのようなやむを得ない状況においては、レッカーを待つ時間など無いでしょうからパンク修理キットで修理を行って速やかに移動を行う必要があるかもしれません。
しかし、たとえば「早く帰りたい」とか「見たいテレビがある」などのような場合は、使用をぐっと我慢して、素直にレッカーに任せるのが賢明です。
修理キットを使う事によって、場合によっては万単位で負担が変わる事もあるのですから。
パンク時こそ落ち着いて、冷静に対処を!
ここまでの説明で、パンク時の対応ひとつで、修理に必要なお金も時間も大きく変わってくることがわかって頂けたのではないでしょうか?
タイヤがパンクするとどうしてもあせってしまいがちですが、そんな時こそ一呼吸置き、落ち着いて対処することを心がけましょう。
今回紹介したちょっとしたことを思い出せただけでも、金額の負担も少なく抑えられますし、心にも少し余裕がでてくるはずです。 ■ライター情報 clownstyle : 中古自動車販売店にて販売・整備を4年間経験。3級ガソリン自動車整備士の資格を所持。これまでの経験を基に、実例を踏まえながら車に関するお役立ち情報を届けていきます。