運転中の自転車トラブル急増中!注意すべきポイントまとめ
2016年12月、国会で「自転車活用推進法」が成立し、2017年5月から施行されました。これは国策として自転車の利用を後押しするもので、専用レーンや専用道路の充実、シェアサイクルの整備、安全運転教育の推進といった行動計画に対する理念や指針が公的に示されています。
そこで示された自転車活用のメリットは、健康増進や環境負荷の低減など、多岐にわたりますが、新型コロナによって“密”を避ける移動手段としても注目されるようになりました。
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目次
コロナが後押し?急増する自転車ユーザー
テレワークや時差通勤など、新しい生活様式への対応が求められていく中で、移動手段として自転車は改めて脚光を浴びつつあるのです。株式会社Works Human Intelligenceが大手企業を対象に行ったアンケート調査の結果を見ると、6割を超える企業が自転車通勤への対応に積極的であることがわかります。
駅や電車、バスといった「三密」が避けにくい公共交通の利用を避けることができ、オープンエアで感染の危険性が比較的少ないということで、とくに日々、混雑している都市部ではこれまで以上に注目度が高まっているといいます。一方で、急速な普及に伴い、自転車の危険性についてもさまざまな問題がクローズアップされています。歩行者に対する自転車の危険性は過去にも何度か取り上げられてきましたが、自動車を運転するドライバーにとっても時に自転車は不安を煽る存在となり得るのです。
自転車は免許が不要で、とりたてて交通教育を受ける必然がありません。その上、道路交通法上の制約も比較的少なく、ある意味では非常に自由かつ利便性の高い乗り物です。だからこそ、同じ道路を共有する立場として自転車の特性を理解し、相応の注意が必要です。今回は、自動車ユーザーが知っておくと安全・安心な自転車の特性について解説します。
自転車は想像以上に速い① ママさん自転車
一口に自転車といっても、さまざまな種類があります。大きく分ければ一般家庭用とスポーツ用があり、さらにファミリー、ビジネス、カジュアル、オンロード、オフロードなど、細かく分類することができます。どれもイメージ的にはとってものどかなシーンが似合いそうな自転車ですが、実は想像以上に速い乗り物であることを自動車ユーザーは覚えておきましょう。
中でも近年、急速に販売シェアを拡大している電動アシスト付き自転車の速さは侮れません。多くは家庭用に分類され、中でも主婦層が買い物など日常的に使うファミリーのカテゴリーで楽チン・便利な乗り物として人気を博しています。電動アシスト……と呼ばれる通り、ペダルを踏むことで生まれる駆動力を電気モーターの力でサポート。
平坦な道では踏み込みはじめの加速をアシストしてくれるので、普通の自転車よりも素早く走りだしスピードののりもスムーズです。たとえば前後に幼児用のシートとお子さんを乗せたママさんでも、時に驚くようなダッシュ力を発揮するのです。とくに横断歩道では、自動車ユーザーはそのダッシュ力に要注意を。不用意に右左折を急ぐと、思わぬタイミングで目の前に現れてギョッ!としてしまいかねません。
自転車は想像以上に速い② スポーツサイクル
見るからに速そうなオーラを発散している、スポーツサイクル。シートよりもハンドルが低い位置にあるので、漕いでいる姿が前傾姿勢となる場合がほとんど。
それでも「しょせんは自転車でしょ」と、甘く見てはいけません。とくにロードバイクと呼ばれる種類のスポーツサイクルの中には、クルマが街中を走る速度とあまり変わらないレベルのスピードを出すことができるものもあります。
自転車用のヘルメット、体にぴったりとフィットするライディングウエアなど、乗り手の服装が見るからにスポーティなものなら、なおさら気をつけましょう。スポーツサイクルユーザーは日頃からスピードを出し慣れていることもあり、自動車が想像する以上の速度で走っていることも少なくありません。
抜かしたあとで左折する場合に、斜め後方に要注意。気がつけばすぐ後ろを走っている可能性もあるのです。
自転車は想像以上に「停まりにくい」
「自転車の方がモーターもないし、いざっていう時に停まりやすいんじゃない?」と考える人も多いはず。自動車ほど重くないし、ブレーキだって前と後にしっかりと装備されています。しかし実際には、自動車ほど急に停まることができないのです。
4つのタイヤで走る自動車と異なり、2つのタイヤしか持たないオートバイや自転車は、基本的に不安定な乗り物です。人を乗せて走っている間はバランスが取れていますが、スタンドがなければ独立して立っていることもできません。
停車時はとくに、このバランスが安定感を失いやすくします。たとえば前述のロードバイクの場合、前後のブレーキはそれぞれ左右のブレーキレバーで操作しますが、慌てているときほど前後のどちらかのレバーを思わずギュッと握りしめてしまいがちに。フロントが強すぎれば前輪がロックして前のめりに滑り、リアが強すぎれば後輪からグリップを失って横滑りしてしまいます。
整備するときは絶対的な停まる力だけでなく、前後ブレーキの効き具合のバランスを調整しますが、時間が経つとフロントブレーキの効きが甘くなることもあります。そうなると後輪にも、あまり強くブレーキをかけることができません。
定期的なメンテナンスを欠かさない人も多くいますが、自動車ほどの点検整備の義務は周知徹底されているわけではありません。年に一度の点検と万が一の事故の際の補償がセットになった「TSマーク」と呼ばれる啓蒙活動も一般化していますが、法的な強制力はないのです。そのため、中には急停止ができないスポーツサイクルもあることを自動車ユーザーは忘れないようにしましょう。
自転車ユーザーは想像以上に道路交通関連の法律に疎い?
2019年12月、ながらスマホの運転が厳罰化されました。対象は自動車と原動機付き自動車とされているため、危険だとわかっていても自転車に乗ったまま、スマホを片手にしている自転車ユーザーもよく見かけます。
しかし実際のところ、自転車は道路交通法において軽車両、つまり歩行者ではなく乗り物として分類されているため、法的にはさまざまな安全運転義務があり、それに違反すれば当然罰金などの処分を受ける場合があるのです。
また、自転車ユーザーは原則として交差点での右折は原付バイクと同じように二段階で行わなければいけないとされていますし、一時停止の標識にも従わなければなりません。交差点で縦横無尽に走る自転車は、自動車ユーザーにとって非常に危険なもの。死角に入ることが多いので、急な右折都心部で交通量が多い横断歩道や交差点ではいつもより注意が必要です。また、時折見かける逆走してくる自転車も要注意を。ついつい目を奪われてしまいますが、その気を引かれた瞬間が非常に危険です。
自転車ユーザーは事故が起きても立場が強い
道路交通環境では、自転車は交通弱者として認識されています。そのため、よほど明確な証拠がない限り、事故などの瑕疵の責任は自動車ユーザーが負わなければならない可能性が大きいのです。
先日、「商店街の細い路地で自転車と接触してしまったドライバーが大変不快な経験をした」という報道がありました。結局のところ、道路の監視カメラによって自転車ユーザーがわざと車の死角にぶつかったことが明らかになり、自動車ユーザーは責任を問われることがありませんでした。しかし、これはある意味ラッキーなケースです。
これほど悪質でなくとも、中にはわざとぶつかって責任をとらせるケースもありますので、自動車ユーザーはとくに死角近辺は注意してください。
まとめ
2020年6月30日、自転車に対する罰則規定を強化した改正道路交通法が施行されました。主に自転車による「あおり運転」を規制するものですが、それは同時に、増えつつある自転車ユーザーに改めて、安全運転意識のマナー向上を促すものでもあります。自動車は自転車との共存共栄のために、彼らの「想像以上」をしっかり理解した上で、道路上でも安全なソーシャルディスタンスを心がけるべきなのかもしれません。