オートリース業界のリーディングカンパニーであるSMASが、パートナーシップを通して得た「SaaSセールスの極意」

オートリース業界のリーディングカンパニーであるSMASが、パートナーシップを通して得た「SaaSセールスの極意」
住友三井オートサービス株式会社
業種
自動車賃貸業、金融業
事業内容
各種自動車・車両のリース・割賦販売および、整備修理、検査、点検に関する業務。車両に関する総合管理サービスの提供。
従業員数
2,050名(2024年4月1日時点:単体)

オートリース業界のリーディングカンパニーとして、全国に38拠点を構え、グループで約193万台の車両管理を担うSMAS(エスマス)。オートリースのほか、車両管理サービス、リスクマネジメントコンサルティング、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)など、管理者と現場スタッフに役立つさまざまなサービスを提供しています。

当社(スマートドライブ)とSMASは、営業活動のデジタル化をはじめ、セールススタッフの育成やオペレーションなど、密に連携した営業活動を通して共に成長を遂げてきました。

今回の業務提携によってどのような変化があったのか、SMASを牽引するモビリティソリューション推進部の3名からお話を伺いました。

インタビュイー
SMAS(住友三井オートサービス株式会社)
モビリティソリューション推進部 部長 阿部 朋之さま
モビリティソリューション推進部 マーケティンググループマネージャー 佐々木 健太郎さま
モビリティソリューション推進部 マーケティンググループ部長代理 玉垣 裕貴さま

リース事業を基盤にアプリやコンサルティングも展開

御社の事業内容について教えてください。

阿部さま(以下、敬称略): SMASは、グループで約193万台の車両を管理するオートリース業界のリーディングカンパニーです。メインであるオートリース事業を基盤に、車両に関する総合管理サービスの提供やコスト削減に向けた各種コンサルティングなどの事業を展開しています。

BPOやコンサルティングなど、オートリースに付随したソリューションの拡張を始めたのは2010年ごろ。当時はリースだけでは大幅なサービスの拡張が難しく、業界全体としても何か新しいサービスを立ち上げなくてはならないフェーズでした。少しずつリース以外のサービスを増やす中で、2013年に株式会社デンソーソリューションさまと共にテレマティクス車載器を開発し、リリースしました。

その次のフェーズでは、アプリに着目し、ビジネスMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)アプリ「Mobility Passport(以下、モビパス)」を開発します。これは私たちにとって大きな転機になりました。今まで、弊社はリース事業を中心としていたため、社内では主に「車両台数」という単位を共通言語としていました。しかしモビパスによって「サービスを利用してくれるユーザー数」という新たな価値観と計測指標が生まれたのです。そして現在、モビパスは2,100社以上(2023年9月末時点)の法人等に導入いただいています。

アプリや車載器を開発するにはそれなりの資本力が必要となりますが、これまで積み上げてきた実績があるからこそ、新サービスの開発に十分に投資することができたと考えています。

直近でもいくつか新たなサービスをリリースされていますね。

阿部:そうですね一つ目は、私たちの強みである安全運転教育やリスクマネジメントと、アプリを掛け合わせた「SMAS-Driver’s Campus」です。これは毎月、安全運転意識を向上させるコンテンツをスマホやパソコンに直接配信するサービスです。

従来の安全運転教育は、総務担当者や安全運転管理者がコンサルティングを受け、その方がドライバーに対してレクチャーを行うものでした。SMAS-Driver’s Campusは、その部分をアプリでカバーし、効率化するサービスです。実際に「事故のリスク」を負うドライバー本人へ直接アプローチし、ヒト単位で安全運転教育の管理、維持を行います。これにより、継続的に安全運転に対する意識を高めることができます。
二つ目は「SMAS-Mobility Portal」です。ダッシュボード機能により、サービスのご利用状況などを視覚的に把握できるほか、サイト内でSMASグループが提供する各種サービスサイト、モビリタス(オウンドメディア)も確認できます。

最後は、「SMAS-Mobility Data Insight(MDI)」です。

SMASが提供している車載器「SMAS-Smart Connect」から取得したデータを利用し、お客さまの目的ごとに数値をまとめたダッシュボードを提供します。 具体的には、運行データをもとに業務効率化や安全運転の推進、EV車への切り替え台数の算出などを行います。 車載器は、日々さまざまなデータを蓄積しますが、このデータをお客さまへどのように還元できるかを考えて誕生したサービスです。

いずれのサービスも、現場の声やお客さまとの会話から生まれた課題を拾い上げ、サービスとして具体化したものとなります。

パートナーシップにより、営業活動のデジタル化を推進

スマートドライブとパートナーシップを結ぶきっかけとなったのは。

佐々木さま(以下、敬称略):まず、スマートドライブさまとの関係が深い、モビリティソリューション推進部(以下「モビ推」と略)の立ち上げについて説明します。もともとはICTプロジェクトという、開発とオペレーションを担う組織としてスタートしました。しかし、先ほどご紹介した車載器やアプリが誕生したことで、お客さまへのソリューション提供やスタッフの育成、販売体制の整備を担う組織が必要となりました。そこで2020年4月にモビ推を設立しました。

玉垣さま(以下、敬称略):モビ推の設立にあたり、まずは営業活動に関してデジタル化を進めたいと考えていました。スマートドライブさまへマーケティング手法について相談したことをキッカケに、メルマガの施策や事例の取材など、デジタルコンテンツの制作にもご協力いただくようになりました。

阿部:モビ推のミッションは、現場の課題を解決するために、現場で直接利用ができるサービスを開発し、リリースすることです。しかし、その先にあるサービス、オートリースにはない価値の訴求方法について課題を抱えていました。なぜなら、サービスを浸透させるためには、営業のリソースに加えてナーチャリングの機能が必要だったからです。モビ推を立ち上げた半年後にインサイドセールス(以下、IS)、デジタルマーケティングの組織を次々に立ち上げました。ただ、形を作ったものの、具体的に何をどうすべきか議論が続きました。

この時、弊社はSmartDrive Fleet(以下、SDF)の販売を請け負う関係でした。スマートドライブの社員の方が弊社に駐在し、ISとデジタルマーケティングの運用体制をサポートいただきました。そこから、セールス全般に関してフォローいただくようになり、両社間の関係はより深まっていきました。他のパートナー企業とは違う関係性を築くことができましたし、現在においても良い関係性を維持しています。

スマートドライブのセールス戦略に関して、どのようなアプローチが役立ちましたか。

阿部:クルマは、「ルートセールスで使う」「荷物を運ぶ」など、誰が見ても目的がとても明確です。一方で、テレマティクスやモビパスは、あくまで業務を効率化する“手段”の一つですから、お客さまに説明をしてもなかなかご理解いただけない場合があります。売り手としては、お客さまが利用することで得る価値を、一番に理解して伝える必要があります。しかし、これまでリースを中心とした「クルマを提供する」営業を続けてきた営業スタッフからすると、単純にモノを売るアプローチとは異なるため極めて難しく、意識の切り替えが困難でした。

そこに対して、スマートドライブさまが「こういう伝え方をすればお客さまに興味を持っていただける」「お客さまがこのような課題を持っている場合、この商品を提案した方がいい」といった具体的なアプローチを示してくださいました。また、並走して丁寧にレクチャーしてくださったことで、弊社の営業スタッフは多くの学びと気づきを得ることができました。知識とノウハウが一定レベルで浸透した結果、SDFの販売台数の伸長にもつながりました。
玉垣:私はもともと長野県でリースの営業を担当しており、スマートドライブのご担当者さまと一緒に商談に入りながら、SaaSサービスの売り方を学びました。サービスの提供価値を理解した上で、お客さまの困り事、課題を深堀りしながら最適な手段を提案する。目的と手段の見せ方、会話の仕方が180度変わったのがこの瞬間であり、「モノを売る営業」からテレマティクスの販売方法、データの価値を理解できる営業へと成長するターニングポイントになりました。私自身、営業からモビ推へ来た後もブラッシュアップを続けていますし、これをもっと現場にも広げていきたいと思っています。

セールスのマインドセットを変え、お客さまへサービス価値が提供できる人材を育成

パートナーシップを組んだことでSMASさまの組織やサービスにどのような変化がありましたか。

阿部:スマートドライブさまは、私たちにはない知見をお持ちです。カスタマー向けサービスの立ち上げや連携、オペレーションの提携に留まらず、データ活用においても知識と能力が秀でています。御社の強みを発揮いただきながら、お客さまへより質の高いサービスが提供できると考え、2020年に改めて、包括的な業務提携契約を締結しました。

SaaSサービスを売るには、お客さまとの会話を通してニーズと課題を引き出すことがポイントです。その観点において、商談は一番の教材です。ですから、営業スタッフには「このクルマはいかがですか」というモノ売りの視点から、「御社の課題は何ですか。その課題を解決するために、このツールを活用しませんか」と、課題を解決する手段として提案する方向へとマインドシフトするところから始めました。

課題を引き出して解決策を提示し契約へつなげる、という育成を3〜4年ご一緒いただきました。お客さまから「今までとは違う角度で提案してくれる」「SMASさんはちゃんと理解した上で最適なツールを教えてくれる」と思っていただけるようになってきたと実感しています。

スマートドライブのセールス戦略に関して、どのようなアプローチが役立ちましたか。

佐々木:現在のマーケティンググループは、もともと販売業務を中心に行うセールスサポートグループでした。ISが立ち上がった当初、SDFの商談はすべて私が担当していました。そこにスマートドライブのご担当者さまにもご同席いただき、「なるほど、このようにお客さまを導いて提案をするのか」と少しずつナレッジを蓄積していきました。お客さまへ価値を届けるためには、お客さまをサポートする仲間を増やす必要がありますし、組織を成長させるには現場を仕切るリーダーが必要です。そのリーダーを育成するために、スマートドライブさまに半年ほどのカリキュラムを組んでいただきました。実際に提案書を作ったり、チームを組んで業界の研究を行うなど「この業界にはこのような課題があるはずだから、その課題に対してこのようなアプローチをしましょう」という組み立て方をご教示いただきました。

そのほか、営業ナレッジに関しても研修を受け、今はそれらの研修を受けたメンバーが現場を推進することで、次のスタッフを育成しています。おかげさまで、この3〜4年でお客さまへサービスの価値を提供できる人材を一定数増やすことができました。

阿部:オートリースは一度契約いただくと、数年単位の長期的なお付き合いになります。お客さまと関わる時間が長い分、定期的にコミュニケーションを取り、その都度課題を解決するための適切なツールのご提案ができれば、手厚い支援によって深くご縁を築けるようになります。これからも互いの強みを生かし、掛け合わせることで、相乗効果を得ながら、成長していくことができればと考えています。

SMASとスマートドライブが先頭に立ち、社会課題を解決する取り組みをしたい

最後に、今後、スマートドライブと挑戦していきたいことについてお聞かせください。

玉垣:SMASとしては、リースもアプリもテレマティクスも、提案が楽しいと思ってくれる人を増やしたいと考えています。この3〜4年でそのヒントが蓄積されましたので、もっと飛躍できると思いますし、その部分を一緒に伴走していただけたら嬉しいですね。

佐々木:私たちが持つ顧客基盤を強みにしながら、御社と一緒に成長していきたいです。個人的には、スマートドライブさまから教えていただいたこと、ご協力いただいたことが非常に多かったと思います。もちろん、弊社の努力もありますが、営業に関しては、教育から商談の同席、コンテンツ作成、さらにはサービスの育成まで、御社からいただいた恩恵は数えきれません。

ここからは、私たちの強みであるリスクマネジメントや教育コンテンツ、リース・BPOといった車両管理サービスを御社に提供します。御社と契約しているお客さまがサービスの提供価値を感じ、長く関係を維持できるようにサポートさせていただければと考えています。

阿部:モビ推が立ち上がり、2024年4月で5年目を迎えました。今年は、新たなパートナーシップを築く、最初の年にしたいと考えています。この4年間、多くのことを教えていただき、私たちも大きく成長しましたので、今後は私たちが、スマートドライブさまの課題解決をフォローし、助け合いながら互いに成長する関係を目指していきたい。

もう少し大きな話で言うと、私たちとスマートドライブさんで、モビティサービスにまつわる社会課題を一緒に解決する取り組みをできればと。私たちが旗を振り、さまざまな企業さまとのパートナーシップを強固にして、社会貢献できるアクションを起こしていきましょう。

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