産廃業界のDXに挑むソフトウェア企業がパートナーシップで得たもの
- 業種
- ITインフラサービス
- 事業内容
- JWNET(産業廃棄物電子マニフェスト)へのEDI(電子データ交換)接続事業/SaaSシステムの開発、サービス提供、および運用保守業務/環境問題の課題解決及び廃棄物処理に関するコンサルティング業
「産業廃棄物処理業界をデジタルで作り直し、持続可能社会の実現に貢献する。」というビジョンを掲げて業界課題の解決に挑むDXE株式会社様。事業拡大を目指してスマートドライブとパートナーシップを締結しました。締結から間もないにもかかわらず、「既に多くの知見を得た」という同社が感じたことや学びについて伺いました。
インタビュイー:DXE株式会社
代表取締役 小山 逸朗 様
提携パートナーシップ:紹介パートナー
産業廃棄物処理業界のDXで持続可能社会を実現
まず、事業内容を教えてください。
小山:弊社は環境ビジネスを手掛ける ARE ホールディングス(東証プライム上場)の傘下企業として 2021年11月に設立しました。「産業廃棄物処理業界をデジタルで作り直し、持続可能社会の実現に貢献する。」をビジョンに掲げ、産業廃棄物業界に特化したソフトウェアを、所謂SaaS型で展開しています。具体的には現在、「DXE Station」と 「DXEStation 電子契約」の 2 つのサービスを柱として、産業廃棄物収集運搬・処理業者向けに提供しています。
DXE Stationはマニフェストと言われる産業廃棄物管理票の電子化(電子マニフェスト)加速を目的としたツールです。電子マニフェスト自体は統一規格があり、仕組みとしては確立されているのですが、普及は道半ばと感じています。電子化にあたっては排出事業者側でシステム初期設定や入力マニュアルの理解、担当者の配置等多くの課題があるからです。そこで弊社は、産業廃棄物の知見が高い収集運搬業者が、排出事業者に代わって電子マニフェストの入力ができる「電子マニフェスト代行起票」の機能を取り入れました。電子化にあたっての排出事業者の利用設定や登録負担を省力化し、電子化移行の障壁を打開できると考えています。電子化に対する抵抗感やマニフェスト全般の課題を解決すべく、日々事業を推進しています。
DXE Station 電子契約は、契約書の作成・取込・保存が可能なツールです。お客様のニーズに合わせて、全国産業資源循環連合会の標準様式に準拠した契約作成、自社独自様式の取込の両方が利用可能であり、電子帳簿保存法にも対応しています。
パートナーシップにより解決できる課題を増やし、業界のDXを加速
自社商品を持っている貴社が、パートナーシップを始めたきっかけを教えてください
小山:まず、顧客の課題は多岐にわたるため、現状の我々だけでは対応しきれない部分があると感じたからです。弊社は産業廃棄物業界のDXを目指しています。しかしながら、設立からまだ2年の若い会社です。そのため、業界の深い課題である電子マニフェストの代行起票と電子契約の2つを優先して、プロダクトの開発をする必要がありました。
一方で、産業廃棄物業界の顧客の課題はマニフェストや契約だけではなく様々です。弊社のビジョンから考えると、本来ならばプロダクトに磨きをかけて、そういった課題にも応える必要があります。一方でスピード感をもって業界の課題に向き合うには、全て自前のサービスに拘るのは現実的ではありません。そこで現時点の限られたリソースの中で顧客の課題に迅速に応えるため、パートナーシップを通じて顧客の課題解決の幅を広げようと考えました。
また、Webマーケティングの難しさもパートナーシップを考えた理由です。我々のお客様は、日中外で業務を行っている方が多く、一般的なSEO対策やデジタルマーケティングによる関係構築には時間が掛かります。オンライン上でリーチできる数にも限界を感じていました。
お客様への姿勢・プロダクトの親和性・深い業界理解がポイントに
スマートドライブとのパートナーシップを決めたポイントを教えてください
小山:大きく 3 つあります。
1つ目は、弊社と同じ顧客の課題を解決していると知ったからです。 展示会などを通じて、SmartDrive Fleetを活用している産廃事業者がいると知りました。その時に、スマートドライブは弊社と同じベクトルで顧客や業界と向き合っており、パートナーシップを組むことで、お客様の広範な課題に対応できると感じました。
2つ目は、弊社のプロダクトと相性の良さを感じたからです。産廃事業者にとって車両は欠かせません。SmartDrive Fleetが収集するデータは、将来的に例えば CO2の排出量計算やルート効率化等に活用できるのではないかと感じました。
3つ目は担当営業の方が産業廃棄物業界を正確に理解した上で、サービスを紹介してくれた事です。同じマーケットに向き合い、プロダクトを研磨してきたことが伝わり、信頼できました。
こういった点も含め、同じSaaS企業として多くの障壁を乗り越えた経験のあるスマートドライブから学べることは多いと考え、パートナーシップを決めました。
パートナーの”サクセス”を意識した支援体制とプログラム
実際にパートナーシップを締結して、学べる環境や事柄はありましたか。
小山:既にパートナーシップの支援活動や勉強会を通じて、多くの知見を得ています。具体的には、営業やマーケティングに関する知見やノウハウを日々吸収しています。事前の制度説明や勉強会など、体系化されたプログラムは大変魅力的です。パートナーとして活動するにあたって必要な支援が充実していると感じました。
自社の営業力強化や社内研修の一貫として、スマートドライブの支援プログラムを活用することもできると感じています。引き続き、営業・マーケティングに関しての情報提供や組織体制づくりのアドバイスを是非お願いしたいです。
SmartDrive Fleetはお客様に安心して紹介できる
現在進めている取り組みについて教えてください
小山:まずは、弊社サービスを導入しているお客様へ優先的にSmartDrive Fleetの紹介を拡大していこうと考えています。既に弊社のシステムを導入しているため、新しいシステムへの抵抗が少なく、業務効率化の意欲が高い為、サービスを是々非々で判断してもらえると考えています。
大切なお客様に他社のサービスを紹介することは、リスクになる可能性も持ち合わせています。しかし、スマートドライブの組織やサービス実績を鑑みて、弊社も安心して提案できると判断しました。
また、弊社内の情報共有を円滑にするために、専任担当を置いてSmartDrive Fleetに関する情報収集やミーティングを行っています。そこで得た情報はすぐに営業部門やマーケティング部門へ共有されるため、推進力のある体制です。
営業・マーケティングだけではない、サービス連携も見据えた関係構築を
今後、協業を通じて目指していきたいことや、目標を教えてください。
小山:現在、弊社とスマートドライブで共同提案資料を作成中です。さらに相互理解を深めつつ、一緒に顧客に向き合えると感じています。また、セミナーを共催したり、展示会で双方のチラシを置いたりということを検討中です。
このような取り組みを通じて、事前に顧客の課題や温度感を認識した上で、営業推進ができるようにしたいと考えています。
将来的には、サービス同士の機能連携ができたら嬉しいですね。
業界全体で見るとDXは道半ばです。両社が実現したい世界に向けて協力し、顧客へ提案できる幅が一段と増えれば、ビジネスを加速させていけると信じています。