
この記事を読むと
- マイカー通勤事故で企業責任が問われるケース
- マイカー通勤許可申請書で押さえるべき管理ポイント
- 必要書類と申請書の記入例をまとめて解説
この記事を読む方におすすめの資料
マイカー通勤許可申請書は、従業員が車通勤を始める際に提出する通勤管理に用いられる書類です。
しかし、「申請書にはどのような項目を記載すればよいのか」「任意保険や車検証の情報はどこまで確認すべきなのか」「添付書類として何を提出してもらうべきなのか」と悩む総務・人事・労務担当者の方も多いのではないでしょうか。
今回は、マイカー通勤の管理に悩む担当者に向けて、実務のチェックポイントを徹底検証。そのまま案内できる記入例や、回収すべき必要書類のチェックリストを分かりやすく解説します。
マイカー通勤許可申請書とは?企業が管理すべき理由
マイカー通勤許可申請書とは、従業員が自家用車で通勤を始める際、会社に対して提出する書類です。
単なる事務的な手続きだと思われがちですが、実は会社の管理体制を整えるための書類として重要な役割を持っています。
もし申請書のない状態で事故が起きてしまったら、会社は状況を把握できていないため、法的な責任問題や事故発生時の対応で混乱を招くことになります。そのため、事前にルールを明確にし、従業員一人ひとりの車両や任意保険の加入状況を把握しておくことが望ましいでしょう。
地域によってはマイカー通勤が一般的なケースもある
国土交通省の「全国都市交通特性調査」によると、三大都市圏では鉄道利用の割合が高い一方で、地方都市圏では平日・休日ともに「自動車(運転・同乗)」の利用割合が大きいことが報告されています。
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こうした地域では、通勤や業務移動を含めて日常的に自動車を利用する従業員も多く、企業がマイカー通勤を認めているケースも少なくありません。
そのため、企業には運転免許証や車検証、任意保険証券の確認をはじめ、マイカー通勤者の情報を継続的に管理する体制が求められます。
マイカー通勤許可申請書は、免許証・車検証・任意保険証券の情報を把握・管理するための基礎資料として活用される書類です。
マイカー通勤許可申請書を整備しても、その後は運転免許証・車検証・任意保険証券の更新状況を継続的に確認しなければなりません。従業員数が増えるほど、更新書類の回収漏れや期限切れの見落とし、補償内容の確認不足などが発生する可能性があります。
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マイカー通勤許可申請書が企業のリスク対策になる理由
従業員が通勤中に事故を起こした場合、会社には民法715条の「使用者責任」が問われる可能性があります。「個人の車なのだから会社は関係ない」という理屈は、法務実務では通用しないケースがあります。
また、警察庁が公表している交通事故統計では、朝夕の通勤時間帯に交通事故が多く発生しています。特に夕方から夜間にかけては重大事故も発生しやすく、通勤時の運転リスクは決して低くありません。

そのため、多くの企業では以下の項目を確認したうえで通勤許可を出しています。
- 有効な運転免許を保有しているか
- 車検が有効か
- 任意保険に加入しているか
- 対人・対物補償が十分か
- 通勤経路が把握できているか
特に任意保険については、加入の有無だけでなく補償内容まで確認することが重要です。
企業が継続的に確認・更新を行うことで、使用者責任リスクの低減につながります。
(使用者等の責任)
第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
引用:民法 | e-Gov 法令検索
さらに、自動車損害賠償保障法第3条の「運行供用者責任」により、会社に損害賠償が生じる可能性もあります。特に会社が駐車場を提供していたり、マイカー通勤を推奨していたりする場合は、企業の管理責任が問われる可能性があります。
(自動車損害賠償責任)
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。
引用:自動車損害賠償保障法 | e-Gov 法令検索
マイカー通勤許可申請書の必須項目と書き方
マイカー通勤許可申請書を作成するためには、実務で必要となる項目を漏れなく盛り込む必要があります。基本的には、誰が、どの車で、どのルートを通り、どのような保険に入っているかを一目でわかるようにします。
また、提出された情報が「最新のものか」を確認する体制も重要です。ここでは、特に書き間違いや確認漏れが起きやすいポイントを具体的に解説していきます。
基本情報と車両情報(車検証の正確な転記方法)
まずは、申請者の氏名、所属、住所といった基本情報を記載します。車両情報については、必ず「自動車検査証(車検証)」を用意し、正確に転記してもらうようにしましょう。
車種名だけでなく、登録番号(ナンバープレートの情報)や車検の満了日を記載させることがポイントです。車検切れの車両で通勤させることは、企業としての安全配慮義務に反するため、満了日のチェックは必須といえます。
任意保険情報の確認ポイント(対人・対物無制限の必要性)
任意保険の確認も欠かせません。自賠責保険だけでは、高額な賠償事故が起きた際にカバーしきれず、最終的に矛先が会社に向く恐れがあるからです。
多くの企業では、「対人・対物無制限」の保険加入をマイカー通勤許可の条件としています。保険会社名や証券番号、保険期間を記載させ、必ず最新の「保険証券の写し」をセットで回収するようにしましょう。
マイカー通勤許可申請書テンプレート
マイカー通勤許可申請書は、従業員が自家用車で通勤する際に提出する書類です。企業は申請書を通じて、利用車両や任意保険の加入状況、通勤経路などを確認し、適切な通勤管理を行います。
申請書に記載する項目は企業によって異なりますが、一般的には申請者情報、車両情報、任意保険情報、通勤経路、申請理由などを記載します。また、運転免許証・車検証・任意保険証券の写しを添付書類として提出するケースも少なくありません。
以下は、一般的なマイカー通勤許可申請書のテンプレートです。自社のマイカー通勤規程や運用ルールに合わせてご活用ください。



【理由別】マイカー通勤許可申請書の記入例
従業員から「どんな理由を書けばいいですか?」と聞かれることも多いですよね。会社としては、私的な便宜だけでなく、客観的に見てマイカーが必要であると判断できる理由を求めています。
ここでは、実務でよくある申請理由のパターンと、許可を出す際の判断基準となる記入例をご紹介します。理由が明確であれば、後のトラブルや不公平感を防ぐことにもつながります。
公共交通機関の利用が困難な場合(利便性・所要時間)
「自宅から最寄り駅まで徒歩30分以上かかる」「電車の本数が1時間に1本しかない」といったケースです。
所要時間を具体的に比較させ、「公共交通機関では片道90分かかるが、車なら30分で済む」といった数字を添えてもらうと判断しやすくなります。
家庭や地域の事情(育児・介護・積雪地域等)がある場合
「子供を保育園に送迎してから出社する必要があるため」といった理由は、マイカー通勤の申請理由としてよく挙げられます。この場合、送迎ルートも含めた通勤経路を申請させ、実際の利用状況を把握できるようにしておくことが大切です。
また、積雪地域や山間部では、「冬季は積雪や路面凍結により公共交通機関の遅延や運休が発生しやすいため、安全かつ安定した通勤手段としてマイカー通勤を希望する」といった理由で申請されるケースもあります。
業務上の必要性(直行直帰や荷物運搬)がある場合
「営業先へ直行直帰する頻度が高い」「重い機材を運搬する必要がある」といった業務直結の理由です。
このケースでは、通勤だけでなく「業務利用」のリスクも発生するため、別途「車両借上規定」などに基づいた管理が必要になることも意識しておきましょう。
マイカー通勤許可申請時に揃えるべき必要書類・添付書類リスト
マイカー通勤許可申請書の内容を裏付けるために、証憑(エビデンス)の回収は欠かせません。「言った・言わない」のトラブルを防ぐためにも、以下の書類は必ずセットで提出させるルールにしましょう。
書類の不足は管理不備とみなされるため、提出時のチェックリストを用意しておくと事務作業がスムーズになります。最近ではスマホで撮影した画像をアップロードしてもらうデジタル管理も増えています。
運転免許証・車検証・任意保険証券のコピー
これら3点はマイカー通勤管理における必須書類です。
- 運転免許証
- 有効期限内か、免停中ではないかを確認します。
- 車検証
- 申請書に書かれた車両と相違ないか、車検切れでないかを見ます。
- 任意保険証券
- 対人・対物無制限になっているか、期限は切れていないかを確認します。
また、企業によっては上記に加えて、以下の書類の提出を求める場合もあります。
- 通勤経路図
- 通勤手当の算定や通勤経路の確認、事故発生時の状況把握などを目的として提出を求めるケースがあります。
- 駐車場利用届
- 会社の駐車場を利用する場合や、通勤時の駐車場所を確認するために提出を求めるケースがあります。
使用者責任リスクを防ぐ!運用・提出時の注意点
申請書を一度受け取って終わりにすると、管理が形骸化する恐れがあります。
免許証や保険には必ず「期限」があるため、運用が形骸化しないような仕組み作りが求められます。
また、許可を得ずに勝手に車で通勤する従業員がいないか、定期的な実態把握も行うようにしましょう。
ここでは、運用面で特に気をつけるべき実務の知恵をお伝えします。
提出期限と毎年の「更新・再提出」ルール
一般的には、通勤開始の2週間〜1ヶ月前までには提出させるのが目安です。
さらに、年に一度「一斉更新」の時期を設けることもおすすめです。
「保険を更新したけれど会社に報告し忘れていた」というケースは多いため、年度初めなどに全員分を再確認する習慣をつけましょう。
虚偽申請(通勤手当の不正受給)への対処とペナルティ
「実際は電車なのに車で申請して手当を多くもらう」「逆に、車なのに電車で申請する」といった虚偽申請が発生すると、通勤手当の不正受給や労務管理上のトラブルにつながるおそれがあります。
そのため、あらかじめ規程に「虚偽の申請があった場合のペナルティや処分の可能性」を明記し、周知しておくことが、未然のトラブル防止において重要なポイントとなります。
マイカー通勤規定や車両管理規程に「虚偽の申請をした場合は許可を取り消し、処分の対象となる場合がある」旨を明記しておきましょう。
厳格な姿勢を示すことが、適正な労務管理につながります。
まとめ
マイカー通勤許可申請書は、単に通勤方法を届け出るための書類ではありません。運転免許証・車検証・任意保険証券の情報を把握し、マイカー通勤者を適切に管理するための重要な書類です。
従業員が通勤中に事故を起こした場合、企業が使用者責任や運行供用者責任を問われる可能性もあります。そのため、マイカー通勤を認める際は、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- マイカー通勤許可申請書を提出させる
- 運転免許証・車検証・任意保険証券を回収する
- 対人・対物無制限の任意保険加入を確認する
- 通勤経路や利用車両を把握する
- 毎年の更新・再提出ルールを設ける
特に、従業員数が増えるほど免許証や保険証券の更新管理は煩雑になりやすく、期限切れや未提出を見落とすリスクも高まります。マイカー通勤の管理体制を整えたい場合は、書類の回収から更新管理までを効率化できる仕組みづくりを検討してみてはいかがでしょうか。
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